公立中高一貫校 適性検査でよく出る「ふりこ」問題とは? | 恋する中高一貫校 適性検査 徹底攻略!

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今日は、公立の中高一貫校(適性検査)でよく出題される「ふりこ」についてです。

 

最初に最低限おさえてほしい用語・ポイントをまとめてみました。

 

 

■ふりことは?

 

糸や棒などにおもりをつるし,左右に往復して振れるようにしたものをふりこという。
ふりこのふれはばは左右同じとなる。

 

※実際のふりこは,空気抵抗や支点での摩擦などによって,振れるたびに少しずつふれはばが小さくなり, やがて止まる。しかし,理科では,ふりこはいつまでも同じ振れ幅で振り続けるものとしてあつかう。

 

 


■ふりこに関する基本用語

 

□支点

糸や棒がてんじょうにつり下げられている場所が支点となる。

 

 

□ふりこの長さ

糸や棒の長さではなく,支点からおもりの中心(重心)までの長さをいう。

 


□ふれはば(振れ幅)
ふりこのふれはばは,主に次のように3つの考え方がある。

 

① 支点を通る縦の線とふれるはし(最大にふれたときのおもりの重心を通る縦の線)とのはば(下図,ふれはば a )
② ふれるはしからはしまでのはば(下図,ふれはば b )
③ ふれるはしからはしまでの角度(下図,ふれはば c ) ※参照

 

※「『ズバピタ』文英堂」はa
「『?に答える! 小学理科』学研」はa
「『小学 まとめ上手』受験研究社」はb
「『応用自在』学研」はb  と書いてある。

 

 

 

 

□周期
ふりこが1往復するのにかかる時間。

 

 

 


■ふりこの性質(おもりが1往復するのにかかる時間は何に関係するか)

 

 

 

 

Point !
ふりこの周期はふりこの長さによって決まり,おもりの重さや形,ふれはばには関係がない。
また,ふりこの長さが長くなるほど周期は長くなり,ふりこの長さが短くなるほど周期は短くなる。

 


■ふりこの速さ

 

ふりこの速さは,おもりが最も高い位置にきたとき,速さは 0 (一瞬止まった状態)になる。

 

その後,高い位置から低い位置に下がっていくにつれてだんだん速くなり,最も低い位置にきたとき,速さは最も速くなる。

 

最も低い位置から,高い位置に上がっていくとき,だんだん遅くなり,最も高い位置で速さは 0 になる。

 

 

 

■ふりこの速さは何に関係するか


おもりの位置が最も低いとき,おもりの速さは最も速くなるが,そのときの速さは振れ始めの位置によって決まる。

 

つまり,ふりこの速さ(最も低い位置での速さ)は,ふれはばが大きくなるほど速くなる。
また,おもりの重さを変えても,ふりこの速さは変わらない。

 

 


Point !
ふりこの速さ(最も低い位置での速さ)は,ふれはばが大きくなるほど速くなる。

 


■周期の測定の際に平均の時間を出す理由

 

ふりこはいつも動いているので,ストップウォッチの押しかたによってわずかな時間のずれ(誤差)が生じる。

 

こで,往復回数を増やした時間をはかったり,測定回数をより多くし,平均時間を求めることで,1往復する時間をはかるよりも正確な測定結果が得られる。

 

 


■ふりこの長さが変わるふりこ

 

図のように,ふりこの途中にくぎなどを打つことによって,ふりこの糸の長さを変えた場合,変化するものと変化しないものがある。

 

 

□変化しないもの
・おもりが最も高くなるときの位置(振れ始めの位置)
・おもりが最も低い位置(支点の真下)にきたときのおもりの速さ


□変化するもの
・おもりが移動する時間。

 

図のように,糸の長さが左半分は長く,右半分は短くなる場合を考えると,図の左半分では,ふりこの長さが長いので,おもりが移動する時間は長くなり,右半分では,ふりこの長さが短いので,おもりが移動する時間は短くなる。

 

Point !
ふりこの長さが変わる問題を解く場合には,左半分と右半分にわけて考える!
左半分と右半分では,おもりが移動する時間が異なることに注意!

 

 

■ふりこを利用したもの

 

ふりこ時計,メトロノーム(音楽のリズムをきめる器具で,ふりこを逆にしたもの。)などがある。

 

 


■ふりこ時計(金属製)が季節によって時間がくるう理由

 

金属は温度によって体積が変化する。夏は気温が高いので,ふりこの長さが長くなり,冬は気温が低いので,ふりこの長さが短くなる。

 

また,ふりこの長さが長くなるほど,ふりこの1往復する時間が長くなるので,ふりこの長さが長くなる夏には時計の針がおくれ,ふりこの長さが短くなる冬には時計の針が速く進む。

 

 

Point !  ふりこ時計の季節による針の速さ

 

夏は気温が高い。 → 金属がぼうちょう(膨張)。 → ふりこの長さが長くなる。
 → 1往復する時間が長くなる。 → 時計の針がおくれる。

 

冬は気温が低い。 → 金属がしゅうしゅく(収縮)。 → ふりこの長さが短くなる。
 → 1往復する時間が短くなる。 → 時計の針が速く進む。

 

 

 

特に適性検査で出題されているのが

 

・ふりこの長さは,どこからどこまでもいうか

 

・ふりこの性質(おもりが1往復するのにかかる時間は何に関係するか)

 

・周期の測定の際に平均の時間を出す理由

 

・ふりこ時計(金属製)が季節によって時間がくるう理由

 

です。

 

 

それでは,過去問題を紹介します。

 

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■問題(2015年 山口県共通)

 

図のふりこのおもちゃはおもりの位置を動かすことによって,イルカのかざりが1往復する時間を変えることができます。

 

 

 

おもりが図で示した位置にあるときと比べ1往復する時間を長くするためにはどのようにすればよいか,次の2つの言葉を使って説明しましょう。

 

「 支点, おもりの中心 」

 

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解答・解説

 

ふりこの長さは,支点からおもりの中心(重心)までの長さをいいます。

 

 

 

ふりこの1往復する時間はふりこの長さによって決まり,おもりの重さや形,ふれはばには関係がありません。

 

また,ふりこの長さを長くするほど1往復する時間は長く,ふりこの長さを短くするほど1往復する時間は短くなります。


これより,1往復する時間を長くするためには,

 

「おもりを下にずらし,支点からおもりの中心までの距離を長くする。」 ……(答え)

 

 

 

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その他の問題(秋田市立御所野学院中学校、仙台市立仙台青陵中等教育学校、兵庫県立大学附属中学校、京都府立洛北高等学校附属中学校、京都市立西京高等学校附属中学校、高知県共通、山口県共通、福岡県共通、沖縄県立与勝緑が丘中学校)の詳しい解説、

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★こちらでは,頻出の「ふりこの性質(おもりが1往復するのにかかる時間は何に関係するか)」など参考書よりも詳しく解説しています。

 

2014年,2019年までに出題された問題はココに公開しています。

 

是非、挑戦してみてください!