今日は、公立の中高一貫校(適性検査)でよく出題される「てこ・てんびん問題」についてです。
最初に最低限おさえてほしい用語・ポイントをまとめてみました。
■てことは?
重いものを持ち上げたり,動かしたりするときに,固い棒状のものを使うと楽に動かすことがきる。
このように,力の大きさを変えるために使う棒をてこという。
てこには,支点,力点,作用点の3つの点があり,これをてこの3点という。
■てこの3点
□支点……てこを支えている動かない点
□力点……てこに力を加える点
□作用点……作用させるものにはたらく点
■てこの利用
てこを利用した道具は,支点,力点,作用点の位置によって,次のように3種類があり,それぞれてこを利用した道具がある。
□第1種のてこ: 作用点ー支点ー力点 の位置関係にある。
支点からのきょりによって,作用点にはたらく力を大きくすることも小さくすることもできる。
道具例:バール,はさみ,ペンチ,せんたくばさみ,上皿てんびん
□第2種のてこ: 支点ー作用点ー力点 の位置関係にある。
支点から作用点までのきょりよりも,力点までのきょりの方が必ず大きくなるので,作用点に
大きな力が生じる。
道具例:せんぬき,ホッチキス,缶切り
□第3種のてこ:支点ー力点ー作用点 の位置関係にある。
力点に加わる力よりも,作用点にはたらく力のほうが小さくなる。
道具例:ピンセット,日本ばさみ,毛抜き,トング
■てこの力
① 支点から力点までのきょり(下図ア)が長いほど,小さな力でものを動かすことができる。
② 支点から作用点までのきょり(下図イ)が短いほど,小さな力でものを動かすことができる。
■てこのつり合い
てこにかかる力は,「力の大きさ(おもりの重さ)」×「支点からのきょり」できまり,てこがつり合うとき,『てこの原理』
「力の大きさ(おもりの重さ)」×「支点からのきょり」=「力の大きさ(おもりの重さ)」×「支点からのきょり」
が成り立つ。
■てこ(てんびん,シーソー)問題の解法
解法には,主に
①てこのつり合いのきまりを用いる解法
と
②逆比を用いる解法
の2通りがある。
下記例題を参照。
■てこにつるされているおもりの位置が3つ以上のときの解法。
てこにかかる力(「力の大きさ(おもりの重さ)」×「支点からのきょり」)を左側と右側で分け,分けた側でのそれぞれの値を合計すればよい。
■上に引くばねばかりがあるときの解法
てこを上に引き上げるばねばかりが,支点から右側(左側)の位置にあるとき,ばねばかりは「左回り(右回り)に回転させようとする力」となる。
例えば,ばねばかりがX(g)の力で支点からx(cm)の位置(右うで部分)で上に引く力は,
支点からx(cm)の位置(左うで部分)にX(g)のおもりをつり下げたときにかかる力と同じになる!(下図参照)
下記例題参照。
適性検査の「てこ・てんびん」で出題される問題のほとんどが
『てんびんやシーソー、モビール(紙やプラスチックなどの軽いものを糸や棒でつるし,バランスをとって安定するようにしたかざりのこと)を題材にした計算問題』
ですが、「てこを利用した道具」についても出題されています。
そこで道具について出題された問題を紹介したいと思います。
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■問題(2014年 仙台市立仙台青陵中等教育学校)
(1) 図1の道具の中で,作用点ではたらく力が加えた力より大きくなるのはどれですか。
すべて選び,記号で答えなさい。
(2) (1)のように,作用点ではたらく力が加えた力より大きくなるのは,作用点,力点,支点の関係がどのようになっているときですか。
「作用点」,「力点」,「支点」の3つの言葉を使い,説明しなさい。
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■解答・解説
道具は,力点,作用点,支点がどのような位置関係にあるかで,作用点ではたらく力が大きくなったり小さくなったりします。
①作用点ー支点ー力点の位置関係にあり,支点から力点までの長さが,支点から作用点までの長さより長いとき,作用点ではたらく力は 加えた力より大きくなります。
このような道具の例には,くぎぬき(バール),はさみ,ペンチ,せんたくばさみなどがあります。
②支点ー作用点ー力点の位置関係にあると,必ず,支点から力点までの長さが,支点から作用点までの長さより長くなるので,作用点ではたらく力は加えた力より大きくなります。
このような道具の例には,空きかんつぶし機,せんぬき,ホッチキス,缶切りなどがあります。
③支点ー力点ー作用点の位置関係にあると,必ず,支点から力点までの長さが,支点から作用点までの長さより短くなるので,作用点ではたらく力は加えた力より小さくなります。
このような道具の例には,ピンセット,日本ばさみ,毛抜き, トングなどがあります。
以上より,作用点ではたらく力が加えた力より大きくなるのは
イ:くぎぬき, ウ:空きかんつぶし機, オ:せんぬき ……(答え)
(2)
力点から支点までの長さが,支点から作用点までの長さより長いとき。
その他の問題(青森県立三本木高等学校附属中学校、仙台市立仙台青陵中等教育学校、福島県立会津学鳳中学校、神奈川県共通(神奈川県立相模原中等教育学校,神奈川県立平塚中等教育学校)、千葉市立稲毛高等学校附属中学校、広島市立広島中等教育学校、鹿児島県立楠隼中学校、沖縄県立与勝緑が丘中学校)の詳しい解説とまとめ集は,「自宅でできる受験対策ショップワカルー!」にて販売しております。
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是非挑戦してみてください!