経済災害への備え | たまき雄一郎ブログ

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衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

いつ来るか分からないが、来る可能性がある大地震や津波に対する防災・減災について、国民的関心が高まっている。


それを踏まえて、国民も政治家も、公共事業の拡大には寛容になっている。その財源が借金(国債)であってもだ。


もちろん、備えは大切だ。私もそう思う。


しかし、もう一つの危機に対する備えの意識は、逆に、薄くなっていると感じる。


その危機とは、急激な金利の上昇に伴って生じる経済の混乱である。


仮に金利が急騰すれば、国の利払いが急増し、他の政策経費をまかなうことができなくなる。借り換えも困難になる。また、国債の価格が暴落し、国債を大量に保有している銀行の資産が毀損し、貸し渋りや貸しはがしが発生する。


今、貿易赤字が過去最大となり、政府の債務総額が、我が国の超過貯蓄を上回りつつある中で、国債の長期金利の上昇には、これまで以上に注意を払う必要が出てきている。


国債の発行・償還が国内で円滑に行えなくなる可能性が高まっていると言っていい。


ただ、その確率が、巨大地震が発生する可能性と比してどちらが大きいか、また、どちらが早く訪れるのか、私には分からない。


しかし、いずれも危機である以上、備えが必要であることは間違いない。


つまり、アベノミクスと言われる政策が、国債発行を伴う積極財政と、事実上そのファイナンスのための緩和的金融政策の組み合わせだと思われている以上、金利の急騰を防ぐための、いわば「経済防波堤」を作っておく必要がある。


金融政策について言えば、インフレが進んだときの具体的な制御方法や、いわゆる出口戦略について明確にしておくべきだ(容易なことではないと思うが)。


日銀の独立性に対する敬意も失ってはならない。人事権や日銀法改正をちらつかせて言うことを聞かせるようなイメージを国際的に広げるべきではない。


財政政策について言えば、プライマリーバランスの2020年までの黒字化を堅持することを明確にしておくべきだ。これはG20などで表明した国際公約でもある。


そして、そのためには、2014年、2015年にわたる+5%の増税に加えて、さらに、6%半ば以上の追加増税が不可避であることを、隠さずに宣言すべきだ。


具体的には、参議院選挙の前の6月には、追加増税の必要性を正直に国民に説明すべきだと思う。自省を込めて申し上げれば、民主党時代のように、追加増税の必要性をうやむやにするようなことを安倍政権はすべきではない。


社会保障関係費も含めた歳出削減も不可避だろう。


これらの「経済防波堤」を設けずに、アベノミクスを進めるのであれば、国民生活や経済を破壊する「経済災害」に転じる危険性がある。


そして、それは、巨大地震同様、ある日突然やってくる可能性がある。


何事にも、備えが必要なのである。