京大医学部4名合格講師」による受験対策講座(262) | 「京大」を7回受け、英語8割の英検1級講師「京大セブン」が添削したら、10年連続「京大」合格(うち4名は医学部医学科)。

「京大」を7回受け、英語8割の英検1級講師「京大セブン」が添削したら、10年連続「京大」合格(うち4名は医学部医学科)。

 訪問していただき有り難う御座います。このブログでは、京都大学、大阪大学、名古屋大学、国立大学医学部に合格できる学力をつけるためのアイディアを真摯に書かせてもらっております。

「京大医学部4名合格講師」による受験対策講座(262)

     

アメリカで教師をしていた英検1級講師は「京大」英語で何点取れたのか?

 

 

第五章

 

  実験だけでは納得してもらえないと思うので、私が得た経験を実際に通塾生の方や、通信生の方の指導に使ってみました。

 A子ちゃんのこと

  もう10年以上経ったから書いても人物が特定できないだろう。長く受験指導をしていると忘れられない生徒がいる。A子ちゃんも、その一人だ。

  私の塾に来てくれたのは彼女が小学6年生の時のことだった。最初に面接した時に、一目見て

「この子は賢い子だ」

 と分かった。学力を確認しようとプリントを渡したら、いつまで経っても提出しようとしない。完全に仕上げるまで粘る子だった。

  彼女は小学校の時から

「私は医者になりたい」

 と言っていた。私の塾はそういう子が多い。しかし、家庭は金持ちではないので何がなんでも国立大でないといけないと覚悟していた。私の小学校時代とはえらい違いだ。

 中学校では猛勉強して常に学年でトップクラスだった。そして、

「自治医大だと無医村に行けば学費が浮くとか聞いた」

 とお金がなくても医者になれる情報を集めだした。私もできるだけ協力して情報を収集した。

 そう思わせてくれる塾生だった。

  灘やラサールや東海の過去問を集めて練習する授業も彼女から始めた。そして、当然のように四日市高校の国際科に合格した。

 その頃、メールやファイルが普及し出したので私はさっそく

「家庭学習中に出た質問はなんでも送れ」

 と塾生に檄を飛ばした。私は中学生は5科目、高校生は英語と数学に対応できるのだ。

 A子ちゃんはほとんど毎日ファイルを送ってきた。その質問の内容も勉強していないと出来ない質問ばかりで感心することが多かった。私は、A子ちゃんからどれほどの力をもらったことだろう。実は、白状するが高校の数学を指導しようと決めたのは彼女の影響が大きい。

  英語に関しては、高校の時に英検の準1級に合格した。だから、英検1級の先生が必要になった。私は彼女の書いてくる英文の日記を読みながら添削をし始めた。これが、後にネットによる通信生の募集につながった。まことに、A子ちゃんが私に与えた影響は大きい。

  1級レベルのアドバイスをすると、たいていの生徒の方は

「何を言っているのか分からない」

 という反応だったけれど、A子ちゃんは私の意図することを即座に理解するため、授業も楽しかった。語彙や文法が正しければ良い英作文が書けるわけではない。

  当たり前だが、マナーやエチケット、採点官に対する思いやりが欠ける英作文は高く評価されない。学力だけではなく、そういう人間的な深みがないと合格の見込みがない。浅い理解では京大などの難関大は合格できるものではない。

  実は、私に京大を7回も受けさせたのも直接的にはA子ちゃんの影響が大きい。

「この子は日本の宝だ。何としても志望校に合格させなければ」

  と思った。出来ることは何でもやる。娘以外の人間で、私にそんな思いをさせたのはA子ちゃんが初めての生徒だった。

  A子ちゃんは、あるクラブに所属して大会で入賞する成績をおさめていることは耳にしていた。ところが、高校2年のある時、自主的にそのクラブを引退した。理由は分からなかったけれど、成績が伸び悩んでいたのが理由だということは推測できた。

  私は、彼女の覚悟というか気魄に驚いた。

「先生はバツイチでも、1回結婚できたからいいですよ」

 と笑っていた。言葉の端々にクラブばかりか、彼氏も結婚も何もかも犠牲にしても医者になるんだという強い決意が満ちていた。彼女のクラスがある時は、楽しかったけれど緊張した。

 「この仕事を始めてよかった」

 私にそう思わせてくれた塾生の子は多いが、彼女はダントツの存在だった。

    A子ちゃんは家庭環境にも、経済的にも恵まれていなかった。多くの生徒は、過酷な環境に置かれるとグレるか性格が歪む。しかし、彼女は厳しい環境を自分を育てる肥やしにできる稀な子だった。

 「政策金融公庫と奨学金と私のバイトで何とかする」

 そういうA子ちゃんだった。そして、ある時ボソっと

「お母さんが生命保険を解約するって・・・」

 と小さな声でつぶやいた。しかし、その目には絶対に合格するという覚悟が見えた。

  そんな貴重なお金を塾に提供してくれるのだから、リキを入れないわけにはいかない。損得勘定などなかった。何としても合格してもらわなければならなかった。彼女が多くの患者さんを救うことは間違いない。待っている人がいっぱいいる。

  私は中学・高校時代を通じて、A子ちゃんと言えばジャージと思っていた。たまに制服で来てくれたけれど、可愛い髪飾りを付けるでもなく、フリフリの洋服を着るでもない。もちろん、髪振り乱して勉強ということはなく、清潔にしていたけれどファッションに時間も金もかけるヒマはなかった。 

  A子ちゃんは、その後「国立大学医学部」に現役合格して「旧帝の大学院」で学び、現在は研究職に就いている。私はA子ちゃんを長く見ていて思うことがある。

  A子ちゃんは気づいていなかったが、当塾では彼女の指導から生まれた教材群のお陰で、その後なんと「京大医学部」合格者が4人も続出した。私の塾の救世主でもあったのだ。

 

高木繁美

 「高木教育センター」塾長。名古屋大学卒業後、アメリカユタ州のローガン中学校で教師をした後、帰国。英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などに合格。京大二次試験英語81%の正解率。少林寺拳法二段。ジャッキー・チェンの前でヌンチャクを披露したことが自慢。「私の京大合格作戦」(エール出版)2020年度版から2022年度版に漫画化されて掲載。チャットワークを用いた質問無制限の通信添削を全国の難関校受験生対象に募集中。「高木教育センター」検索。