2009年12月09日(水)

確定拠出年金から脱退できない

テーマ:経済・社会

全くひどい話である。


米国の401Kをマネた「確定拠出年金制度」が日本でも2001年からスタートしているのだが、これが全く柔軟性がない仕組みであり、国民年金や厚生年金のように1人1人が社会全体を支えるためにお金を出し合っているのではなく、純粋に自分の将来のために掛け金を積み立て運用しているにもかかわらず、「脱退したい」と言っても「法律で決まっているので、60歳までは脱退することはできません」という一点張りのナンセンスな回答が返ってきた。


事の発端は「移管完了のお知らせ」という一通のはがきが私の手元に届いたところから始まった。


「あなた様は企業型確定拠出年金制度の加入者資格を喪失されましたが、資格喪失日の翌月から6ヶ月以内に他の確定拠出年金制度への移管のお申し出をされなかったため、資金が国民年金基金連合会へ移管されております」


ここまで読んでみても、最初はその意味がよく分からなかった。前職は外資系企業であったが、そこでは確かに企業型確定拠出年金制度を新たに導入したため退職までの2年弱ほど加入していたことは覚えている。もう少しはがきを読み進むと、お早めに以下のいずれかの手続きをお取り下さいとある。

(1)個人型確定拠出年金制度への移管を行う

(2)企業型年金への移管を行う

(3)脱退一時金の請求を行う


以前のブログで「公的年金制度から自由意志で脱退できる選択肢を提供せよ」 と主張している私は、国が運営する年金制度など全く信用していないため、躊躇なく(3)を選ぶことにした。従来の制度でお金を運用していた日本生命に電話をして脱退の意思を伝えると冒頭の「脱退できません」との返事が返ってきたのである。


「とにかく、この制度は税制が優遇された年金ですので、お客様の場合は厚生年金に加入されているため脱退できません」「たった2年弱でわずか51万円のお金しか積み立てていない。しかもこれは全額私のお金です。退職したのでもう前の会社は拠出しません。なぜ、脱退できないのですか」「法律で決められているからです」


納得いかないので国民年金基金連合会に直接電話をしてみた。すると判で押したように全く同じ答えが返ってきた。「今や終身雇用制度など無きに等しい世の中なのに、会社を退職して大きく環境が変わっているのに脱退できないのはおかしい」「それは、ごもっともです。実はそういう意見は多くありますが、何せ法律なので」という返事だった。


弊社では企業型確定拠出年金制度をもちろん採用していないため(採用する意志はゼロ)、私の選択肢は個人型年金への移管を行うしかないらしいのだが、「お金を移管して運用しない場合でも月額の口座管理料は441円かかります」と日本生命は説明したため、さらに絶句した。1年で5292円、10年で52,920円、20年で105,840円である。このお金が口座から確実に減っていくのである! これはものすごい数字だ。なぜならば、51万円に対して毎年約1%のフィーとなるからである。しかも運用せずに、である。


「年金」の名前を語って、毎年1%の手数料を徴収し、投信のように解約することもできず20年で20%も資産が減る、というのが私の置かれた状況であることを理解するのに時間はかからなかった。


なぜ、個人型年金が状況の変化に応じて解約も出来ず、長期にわたって「囚われの身」となり、毎年そこからお金を掠め取られるような事態を国は強要するのであろうか?


国民年金基金連合会の担当者は「個人型で毎月ご自分で積み立てをなさって、運用されれば大丈夫じゃないですか?」と呑気なことを言った。そりゃ、そうする人もいるだろう。しかし、国が提供する「欠陥だらけのスキーム」から脱退したい人たちだって世の中にはたくさんいる。そういう選択権も全く与えられていないところに「エセ資本主義国家のとてつもない恐ろしさ」を感じる。これじゃ、足を一歩踏み入れたら永遠に抜けられずにお金を奪われ続ける悪徳新興宗教と同じではないか? 「 美名」の下にあくどいことをする手口はまさに瓜二つである。


企業型確定拠出年金制度から一度外れてしまうと、私と同じ事態が起こる。そうならないように「会社に意地でもしがみつけ」 と皆様にはアドバイスさせていただく。


最後に私が訴える先は、国民生活センターですかねぇ…。

「解約もさせてもらえずに金を奪い続ける奴らがいる」のセリフに続けて「それ、あんたの親戚ですよ」と。


太田忠の縦横無尽 2009.12.9

「確定拠出年金から脱退できない」

         **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**



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