2009年12月04日(金)

会社に人生を預けるなvs会社に意地でもしがみつけ

テーマ:経済・社会

「会社を辞めたいんですけど、どう思われますか?」


たまにそのような相談を受けることがある。以前の私であれば、「今の会社を卒業するという意味ならば、積極的にトライしたほうがいいよ」と背中をポンと押す側に回っていたのだが、最近はもう少しその動機の背景をいろいろと聞いて「ダメ、止めたほうがいいよ」と言うことが大半だ。


『会社に人生を預けるな』とは経済評論家の勝間和代さんの著作で、「日本が停滞するすべての原因は終身雇用制度にあり」と主張しているのだが、もはや終身雇用制度は大企業においても崩壊しており、10年前の主張ならイザ知らず「何をいまさら」というのが私の印象である。まあ、それはともかくとして、「会社やお上に人生を預けるな」はその通りであり、改まって言われなくても社会人であれば大半の人々が十二分に認識しているだろう。


終身雇用制度というユニークな仕組みは日本固有であり、それがきちんとワークしていたのは実は高度成長期においてであった。だから、余裕のある社会運営ができる時代には非常にすばらしい仕組みであると私は考えている。


しかし、問題は、終身雇用制度が崩れて本来ならば「労働の流動化」が活発となり、〈個人の才能〉を社会がダイナミックかつ効率的に求める時代にならなければならないはずが、全くそうではなく「終身雇用崩壊+雇用流動市場機能不全」のダブルパンチとなっているのが問題なのである。


日本における現在の雇用問題は次の3つに集約される。

①仕事がない

②あっても不安定かつ安すぎる

③年齢が上がると雇用条件がどんどん厳しくなる


雇用問題は製造業だけではなく、ありとあらゆる産業に及んでいる。私がいる金融業界も深刻な状況であり、才能がありスキルも高い人間が次の職に就くことができないケースは身近に非常に多く存在しており、驚くばかりである。


「雇用創出!」と国が躍起になって政策を掲げてもドメスティック的な発想だけでは限界があるだろう。外国(とくに新興国)にも労働力を求める切り口がなければ、日本の雇用のパイはこれからもどんどんと減っていくとしか思えない。単なる景気の問題ではないということだ。資本効率の追求がマストである高度な産業社会では当然のことだ。


だから、冒頭のような相談を受けた時、私の最後のセリフは「会社に意地でもしがみつけ」である。今の会社の雇用から切り離されれば、ほとんどの人はダウンカレントに引き込まれて戻って来れない。スキューバダイビングでは一番危ない状況である。


太田忠の縦横無尽 2009.12.4

「会社に人生を預けるなvs会社に意地でもしがみつけ」

         **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**




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