“未必の故意”を福島原発事故に当て嵌めれば、
「想定外?の巨大津波が福島原発を襲えば、全電源喪失、メルトダウンに至り、原子炉から相当量の放射能を放出し、施設外の住民を被ばくさせると知りながら、その備えを“未必の故意”により怠った」となる。

 また、検察当局が立証困難とした津波対策にしても、東電は少なくとも06年と08年の二度、大津波を想定しているが、僅かな安全対策費を惜しんで何ら備えず、そして3.11直前にも東電は、大津波想定の「地震活動の長期評価」に横槍を入れ、改定を阻止している。

 敢えて想定しなかった、想定したが備えずに原発事故を起こした罪を問わなくていい?
「想定できない?津波による事故だから、誰にも罪がない」?そう検察は言いたいのか?

 想定外の津波原因説にしても、東電が想定した津波でも、タービン建屋地下に設置された配電盤が冠水し
非常電源装置を起動できず、同様の原発事故が起きた可能性が高い。

 検察が十分な検証を行えば、少なくとも東電の歴代経営陣の罪を問うことは可能だったはず。
ただ、最初に書いた「原発事故は想定外の天災が原因、事故関係者の過失の証明は不可能」とのシナリオを
書き換えなかっただけだろう。

 日経でさえ、原発訴訟で住民側が勝てない理由で、国策・原発に物申せない司法を「政治の風見鶏」と揶揄している。

 原子力ムラは、大使館や米軍基地と同様 日本の法律の及ばない治外法権の地らしい。

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 困りごとよろず相談処 ほー納得さまより
「未必の故意」と「認識ある過失」
【「痛い目にあわせてやる!」と相手に向かって自動車で突進し、重傷を負わせたら...。

 いきなり、血生ぐさい話で恐縮ですが、こんな場合、傷害罪(刑法204条)に問われることは、法律に明るくない方でもわかりますよね。

 明らかに、傷害の故意がありますから。

 では、狭い道路のわきを子供が歩いているとして、「このまま走り抜けたら、ひょっとして、子供に接触するかも。」と思いつつ、道路を走り抜けたところ、子供と接触して怪我を負わせてしまったら...。

 そういう場合は、業務上過失致傷罪(刑法211条前段)として、過失犯なのでは、とも思えます。

 しかし、この場合にも故意が認められ、傷害罪が成立する場合があるのです。

 それが、「未必の故意」なのです。

 上の事例で、「子供に接触するかも。でも、仕方ない。」と、子供が場合によっては怪我をしてもやむをえない、と結果の発生を認めてしまうと、「未必の故意」として、故意が認定されるのです。

 これに対して、「子供に接触するかも。でも、道路の幅がこれだけあれば、まさか、そんなことはあるまい。」と思った場合はどうでしょう。

 子供に接触するかも、とは思っても、そんなことはまず起こらないだろう、と結果の発生を認めない場合、「認識ある過失」として、故意は認定されず、過失が認定されるにすぎないのです。

 同じ過失でも、急に路地から子供が飛び出してきたため、自動車がぶつかり、怪我を負わせてしまった場合には、運転者としては、子供が飛び出してきて怪我を負わせることは思いもしていなかったのですから、結果の認識がなく、「認識のない過失」ということになります。

 このように、「未必の故意」と「認識ある過失」とは、非常に判断が微妙な隣り合った概念なのです。】

 朝日新聞デジタルより
原発事故、全員が不起訴へ 東電前会長や菅元首相ら
【東京電力福島第一原発の事故をめぐり、検察当局が、業務上過失致死傷などの疑いで告訴・告発された東電幹部や政府関係者ら全員を、不起訴処分にする方向で調整していることが8日、わかった。今月中にも処分を出す見通しだ。

巨大津波の予測、困難と判断
 菅直人元首相に事故後の対応などで説明を求めたことも、関係者への取材でわかった。菅元首相は告訴内容を否定するとみられ、検察当局は説明の結果も踏まえて最終判断する。

 原発周辺の被災者ら計約1万5千人は、入院患者が事故直後の避難途中に死亡し、住民が被曝(ひばく)して傷害を負ったなどとして、震災以降、断続的に告訴・告発した。対象は菅元首相のほか、東電の勝俣恒久前会長、清水正孝元社長、原子力安全委員会の班目春樹元委員長、枝野幸男元官房長官と海江田万里元経済産業相ら数十人で、検察当局は昨年8月に受理。東京、福島両地検に応援検事を集め、事情を聴いてきた。

 検察当局は、事故と死亡との因果関係は「ないとは言い切れない」とし、「被曝による傷害」は、現時点ではそもそも認定できないと判断。その上で、原発の電源をすべて失い、原子炉が冷却できなくなるような大規模な津波を予見できたか▽予見の程度に見合う対策をとったか――などの点で捜査を進めた。

 その結果、今回の規模の大地震や津波は、発生以前に専門家の間で予測されていたとは言えず、原子炉格納容器の圧力を下げるベント(排気)の遅れが原発建屋の水素爆発を招いたとする告訴内容も、放射線量が高く、停電したことが作業遅延の原因と判断。菅元首相や東電幹部らの刑事責任を立証するのは、困難と結論づけるとみられる。】