dailymotionより
 ETV特集『アメリカから見た福島原発事故』
【3.11東日本大震災の地震と津波によって炉心溶融の深刻な事故を起こした東京電力福島第一原発。この重大事故は海の向こう、アメリカで原子炉の設計、研究、規制に関わってきた技術者たちからも大きな注目を集めていた。

 1966年に着工された福島第一原発は、元々アメリカで設計された原子炉を導入したものだったからだ。「マークⅠ」型と呼ばれる。「マークⅠ」はアメリカの大手メーカー、ゼネラル・エレクトリック社(GE)が手がけた最初の本格的な商業用原子炉だった。

 アメリカでは、1976年に元GEの技術者がその“構造上の問題点”を内部告発したのをはじめ、マークⅠについて多くの研究がつみ重ねられていた。

 電源が喪失するとマークⅠはどうなるのか、炉心溶融に至るプロセスは・・・、重大事故について具体的なシミュレーションも行われていた。そのマークⅠの“重大事故に至る可能性”は、日本ではあまり共有される事はなかったという。

 アメリカ原子力関係の国立研究所の元研究者、アメリカ原子力規制委員会の元幹部、そして「マークⅠ」を設計したGEの元技術者など、今回の福島第一原発の事故に注目する人々を取材し、「マークⅠ」型原子炉とは何なのか、そしてなぜ問題点の認識が日本側に十分に伝わらなかったのか、原発と安全、その本質に迫る。】

 元原子力委員会の村主進氏は、平成5年7月、東電の提出した、設置変更申請書の非常用発電機の図面を見せられ、同じような条件でタービン建屋の地下に設置するのは、安全上重要な設備は多重 多様 信頼性がなければいけない(信頼性とは共通原因故障をしないこと)、安全設計審査指針に違反するものだと明言した。

 しかし、何故、違反している申請が通ったかについては、マグニチュード9.0の地震は未曾有で想定できない
・・・と、訳の判らない言い訳を言うばかりで、結局、まともに答えなかった。

 また、東電の豊田正敏・元副社長は、非常用発電機を、原子炉建屋ではなく、タービン建屋に設置することは有り得ない、明らかな設計ミスだ、「メーカーもいてね。原子力安全・保安院だってね、解る訳だよね」

 誰かが気づいた筈だ、「非常用ディーゼル発電機がタービン建屋の中に在った事は人災と言わざるを得ない」 と述べている。

 村主進氏は、福島原発の大事故にも平然と、想定の外側は無視しても良いとの姿勢で、安全設計審査指針に明らかに違反していた事を認めながらも、何ら反省する様子も無い。

 彼のような驚くべき無神経さが、原発の安全神話の虚像を作ってきたのだ。 
良心も持たず、後悔もしない、
原子力村の、心を持たないロボットのような、不気味な生命力を改めて思い知らされた。

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