第74期C級2組順位戦/1回戦「好みの一局」
今朝のエントリーでも振れましたが
本日は第74期C級2組順位戦/1回戦・一日目が
東京と大阪に分かれて全13局行われてます。
今回はその中から
個人的に注目している棋士同士の顔合わせとなった
「藤森哲也四段-石井健太郎四段」の模様を
ご紹介させて頂きます。。
藤森四段は現在28歳。
東京都大田区のご出身で塚田泰明九段門下。
お母様は女流棋士の藤森奈津子女流四段。
お父様もプロ棋士と研究会を開くほどのアマ強豪で
文字通り、将棋一家に育ったサラブレットであります。
しかし、奨励会では苦労を重ねて
晴れて「四段、プロデビュー」を勝ち取ったのは
年齢制限(26歳)も迫る24歳の時という遅咲きの花。
つぶらな瞳にアヒル口。。
可愛らしい風貌が実に印象的な藤森四段ですが
しかしその見た目とは裏腹に、ドロドロと癖のある
昔気質な戦い方を好む力戦派。。
居飛車党で
得意の「矢倉」では「米長流」急戦を主戦に据えるなど
研究将棋全盛の中にあっても流行に流されることなく
常にわが道を行き、独自の構想を盤上に描き出します。
個性的スタイルを貫きながら
新人王戦で2年連続準優勝と実績も残す藤森四段。
玄人好みのすの棋風を、獲物を狙う鷹の様に静かに磨き
次なるチャンスを虎視眈々と狙います。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: なし
△石井四段: なし
順位戦の開幕戦で先手を得た
藤森四段の初手は飛車先を突く▲2六歩から。
石井四段も2手目△8四歩と同じく飛車先を突くと
両者はそのまま飛車先を決め、「相掛かり」の出だしに。。
石井四段は現在23歳。
千葉県千葉市のご出身で所司和晴七段門下。
居飛車なら「矢倉」、振り飛車なら「四間飛車」と
王道を行く戦法を主戦に据える本格派として知られ
その手厚い棋風は奨励会在籍時から高い評価を得ました。
実質、プロ一年目となった
前期の成績は38戦22勝16敗(.579)。
初参戦の順位戦も6勝4敗と勝ち越し。。
ある程度、手応えを掴んで迎えた
2年目の今シーズンも当然、更なる飛躍を目指し
気合が入っていることでしょう。。
7手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: なし
△石井四段: なし
気になる両者の対戦成績は
ここまで3度対戦して、藤森四段の3連勝。
両者は角頭を金で受け合い
まずは定跡通りに藤森四段から飛車先の歩を
突き合わせました。。
上図から、以下
△同歩~▲同飛~△2三歩に▲2六飛(11手目)と
浮き飛車に構えた藤森四段は、次に石井四段の
△6二銀(12手目)をみて。。
13手目▲5八金。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
グイッと玉を立て、「中住まい」に。。
この局面で早くも前例は1局になったとのことで
まさに力戦派の面目躍如の序盤戦模様となりました。
22手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
午前の対局は上図22手目まで進行。
好戦的に角交換を求める藤森四段に対して
石井四段は角道を閉じたまま先手の角を目印に
駒組みを進めます。。
【 昼食のオーダー 】
両者ともになし。
26手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
午後の対局開始直後に
両者は居玉を解除してから、ついに
石井四段が角道をオープンにしましたが。。。
27手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
藤森四段は
このタイミングでの角交換を拒否。
自ら角道を閉じました。。
28手目△4四角。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
この手を読んでいた石井四段は
角を4筋へと繰り出し、先手の飛車に当てて
手番を確保。。
藤森四段は飛車を下ではなく
横に逃がして(29手目▲3六飛)、以下
△4二銀~▲4六歩~△3三銀~▲4五歩に
下図34手目△6二角と進行。。
34手目△6二角。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
石井四段は自陣を整備しつつ
先手に突っかけを待って角のラインを変えました。。
この手をみて
藤森四段はジッと、1筋の端歩を突きます。。
(35手目▲1六歩)
38手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
藤森四段が9筋の空いたスペースへ
桂馬を跳躍させると(37手目▲1七桂)
石井四段は次の瞬間、7筋の歩を突き合わせ
先に仕掛けを開始しました。。
39手目▲6五歩。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩
△石井四段: なし
藤森四段はこの歩を取らずに
お隣り6筋の歩を突き合わせ、いざ開戦を求めます。。
力戦模様の重い進行から一転
盤上が一気に熱を帯びます。。
43手目▲6八角。
上図での持ち駒
▲藤森四段: 歩2
△石井四段: なし
石井四段が先に攻勢を強めた
上図の局面で、夜戦に備えて夕食休憩に。。
【 夕食のオーダー 】
両者ともになし。
何となく
後手の作戦が決まったようにも感じられますが。。
果たして、藤森四段の切り返しはあるのか。。
夕食休憩明けからの終盤戦が楽しみです。
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【 序 章 】
「私と将棋界」
柔らかブログ誕生のきっかけとなった
第21期竜王戦以降の将棋界を熱く振り返ります。
【 第一章 】
「愛知女子将棋界の駒音」
山口真子さん/中澤沙耶さんインタビュー
【 第二章 】
「明日咲く花」
今泉健司さんへのエール&ミニインタビュー