第54期王位戦7番勝負/第1局「ド迫力。。羽生王位、完勝」
羽生善治王位に
行方尚史八段が挑戦する、第54期王位戦7番勝負。
昨日より、注目の第1局が
愛知県蒲郡市「旬景浪漫 銀波荘」にて開幕。。
振り駒の結果
大事な開幕戦の先手となったのは、羽生王位。
その初手▲7六歩に対し
純然たる居飛車党・行方八段は2手目△8四歩と返し
居飛車を明示するとともに、戦型の選択戦を先手に委ねました。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: 角
羽生王位の3手目は「角換わり」指向の▲2六歩。
行方八段にも異存はなく、定跡手順の進行となり
上図10手目に、行方八段の方から手損のない角交換へ。。
23手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
角交換成立後
双方の右の銀が中央5筋へと繰り出し
自軍の歩に腰掛ながら天王山5五の位を挟んでで睨みあう
戦型は「角換わり相腰掛銀」となりました。。
40手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
一日目午後からは
両者ともに腰をとしてじっくりと長考に耽る慎重な展開に。
上図40手目
行方八段が先手玉に続いて、玉の入城を完成させた局面で
羽生王位は1時間29分の長考。。
41手目▲6八金右。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
長考の末、指された一手は
自陣をジッと引き締める▲6八金右。。
この手をみて今度は行方八段が長考に入ります。。
そのまま一日目終了時刻を迎え
1時間48分考え続けた行方八段は「封じ手」の意思を示し
結局、角交換以外駒がぶつからないまま、上図41手目までで
一日目は終了となりました。
42手目△1二香。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
一夜が明け
迎えた本日、決着の二日目。
行方八段の「封じ手」は△1二香。
自身初のタイトル戦を戦う行方八段は「穴熊」を示唆し
用心深く、羽生王位の出かたを伺います。。
羽生王位が次の手で
2筋の位を取り、行方八段の玉頭の圧力を強めると。。
(43手目▲2五歩)
44手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
ここまでで待ちの姿勢を貫いた
行方八段は一転、6筋の歩を突きあわせ
先に仕掛けます。。
以下、▲同歩~△7三桂~下図47手目▲6四角~
47手目▲6四角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩
△行方八段: 角
行方八段が右の桂馬を跳躍させた、次の瞬間
羽生王位は狭い地点に角を投入。。
一瞬の隙も抜け目なく、見逃しません。。
53手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩2
△行方八段: 角、歩
羽生王位の角投入を合図にいざ開戦へ。。
双方、矢継ぎ早に歩の突き捨てを入れて模様を動かしながら
主導権を争います。。
9筋の歩を切った行方八段は
続けて銀交換を狙うも(52手目△6五銀)、羽生王位は応じず
かわりに、位をとっていた2筋の歩を突きあわせました。。
54手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩2
△行方八段: 角、歩
安易に△同歩とは取り込めない行方八段も
2筋は手抜いて、7筋の歩を突きあわせ突っ張ります。。
この54手目の局面までで
二日目午前の対局は終了。お昼休憩突入となりました。
【 お昼のメニュー 】
羽生王位: ざるそば(いなり2つ付)
行方八段: うなぎ丼(肝吸い付)
55手目▲2三歩成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩3
△行方八段: 角、歩
午後開始の一手で
羽生王位は2筋の歩を力強く踏み込ませます。。
以下、△同金~▲2四歩~△同金~▲4四歩~と進行。
守りの要である金を吊り上げ、行方陣営を乱してから
飛車先の歩を突き越した羽生王位がペースを握ります。
60手目△7六歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩3
△行方八段: 角、歩4
羽生王位の圧力に押されてなるものか
と、行方八段は健気に反攻を試みますが。。。
61手目▲4三歩成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩3
△行方八段: 角、歩4
羽生王位は取り合わず
飛車先の歩を突進させ、勝負を決めに出ました。。
69手目▲3二金。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩5
△行方八段: 金、銀、桂、歩2
肉を切らせて骨を絶つかのような
激しい終盤戦となるも、やはり先に形勢を引き寄せたのは
羽生王位。あっという間に行方玉を追い詰めます。。
74手目△1一角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩6
△行方八段: 金、銀、桂、歩2
「いざ」というときのために
掘っておいて穴熊へ、角を納める形となった行方八段。。
なりふり構わぬ必死の抵抗も
羽生王位には全く響かず、次の▲3三金から無慈悲な寄せに。。
【 投了図・83手目▲3三角成 】
投了図での持ち駒
▲羽生王位: 金、桂、歩6
△行方八段: 金、銀3、桂、歩2
ひょっとして千日手も。。と思われた
最後の淡い期待も一瞬で吹き飛ばし、角が鋭く踏み込んだ
上図83手目の局面で、行方八段無念の投了。。
いつも以上に
大きく、分厚い壁に感じられた羽生王位が、全てに圧倒し
王位戦開幕戦を制しました。