明日より、第54期王位戦7番勝負が開幕。。
羽生善治王位に
行方尚史八段が挑戦する、第54期王位戦7番勝負が
いよいよ明日より、愛知県蒲郡市「旬景浪漫 銀波荘」にて
開幕いたします。。
羽生王位の今期ここまでの成績は
13戦6勝7敗(.462)。
A級順位戦は
開幕戦で谷川浩司九段に勝利 し白星発進。
森内俊之名人に挑戦した
「春の本場所」第71期名人戦から3タイトル戦連続の
登場となります。
現在進行形であるもう一つのタイトル戦
渡辺明三冠の挑戦を受ける第84期棋聖戦は
ここまで3局を消化し、2勝1敗とリード。
開幕2連勝 を飾り、早々と6連覇に王手をかけたものの
先週の土曜日(6日)におこなわれた第3局を先手番で落とし
理想的だった王位戦開幕前の決着は、叶いませんでした。。
40手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺三冠: 角
その棋聖戦/第3局は
初手▲7六歩から△8四歩~▲2六歩~△3二金~の進行で
戦型は「角換わり相腰掛銀」に。。
89手目▲3二馬。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 飛、金、銀、歩3
△渡辺三冠: 角、金、香、歩2
今シリーズの羽生棋聖は実に手が伸び、指がしなります。
第3局でも飛車、角の大駒を大胆に捌き、前2局と同様に
積極的に仕掛けますが。。
99手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 金2、銀、歩2
△渡辺三冠: 角2、香、歩
好調な時の終盤戦では
将棋界一強い踏み込みをみせる羽生棋聖ですが
さらに渡辺三冠が相手の時は頭を押さえつけて腕づくで
勝ってやろうという傾向が昔から強く感じられます。。
しかし、本局では渡辺三冠が受けに回る姿勢をみせ
押せ押せとなってからの強引な攻めが、結果的に裏目にでての
劇的な逆転負け。。
【 投了図・146手目△7七角 】
投了図での持ち駒
▲羽生棋聖: 香、歩4
△渡辺三冠: 金2、銀、桂2、香
あの開幕3連勝から4連敗を喫した
悪夢の第21期竜王戦7番勝負を即座に連想させた
羽生棋聖が対渡辺三冠戦でみせる典型的な負けパターン。。
第21期竜王戦終了後は、勝利率5割前後を彷徨う時期もあり
「不調説」も囁かれた羽生王位。
率直に言って同世代の森内名人や佐藤康光九段戦以上に
渡辺三冠との対戦後は精神的なダメージが大きく感じられますが。。
果たして
棋聖戦/第3局から一週間と間をあけずに行われる
王位戦/開幕戦で、どのようなパフォーマンスが披露されるのか
期待と不安が交錯します。。
対します挑戦者・行方八段。
今期ここまでの成績は12戦11勝1敗(.917)。
4月の終わりから現在まで公式戦10連勝中と白星街道ばく進中。。
昨日のエントリー でもご紹介させていただきました通り
5年ぶりに復帰を果たした順位戦の最高峰・A級の開幕戦でも
同じ居飛車党の本格正統派・郷田真隆九段を相手に
後手番で堂々、完勝をおさめました。
今回の王位戦は
まず、挑戦者決定リーグ戦で全勝優勝 。
大熱戦となった佐藤九段との挑戦者決定戦を制し
強さと魅力 を存分に感じさせながら、見事挑戦権を獲得。。
15手目△6一馬。
上図での持ち駒
▲行方八段: 金、歩
△佐藤九段: なし
ちなみに挑戦者決定戦では
佐藤九段の十八番「康光流ダイレクト向かい飛車」に対し
行方八段は羽生王位のA級順位戦の開幕戦で採用した
▲6五角~▲4三角成~▲6一馬~という強い踏み込みから。。
【 投了図・143手目▲2一龍 】
投了図での持ち駒
▲行方八段: 桂、香、歩3
△佐藤九段: 角2、金2、銀2、歩
もともと定評のある終盤力はさることながら
昨シーズンからは中盤の切れ味が尋常ではない行方八段は
闘将・佐藤九段を向こうにまわし腰の据わった難解な中・終盤を
競り勝ち、スタミナと技術の確かさを改めて示しました。
羽生王位とのシリーズも、力の篭ったねじり合いが
幾度となく披露されそうです。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで7戦して、羽生王位の5勝2敗。
行方八段は生粋の居飛車党ということで
両者の対戦は「矢倉」での勝負が多く採用されています。
特に有名なのが
09年の夏に行われた第30回将棋日本シリーズでの対戦。
この時は後手・行方八段が「阿久津流急戦矢倉」を仕掛け
竜王戦の悪夢を引きずる羽生王位から完勝 をおさめました。
そして、今年の1月
それ以来の対戦となった第6回朝日杯での顔合わせ では
再び同じ手番で、行方八段は「阿久津流急戦矢倉」を投入。。
18手目△5三銀右。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: なし
△行方八段: なし
しかし、同じ轍を踏まないのが王者の証。。
羽生王位がきっちりと返り討ち に斬って取りました。
ひょっとすると
羽生王位が後手番で飛車を振る可能性もありそうですが
基本的には今シリーズも相居飛車が主戦であり
目の離せない、面白い展開を期待しています!