第54期王位戦7番勝負/第1局・一日目「間合いの計り合い、封じ手は行方八段」
羽生善治王位に
行方尚史八段が挑戦する、第54期王位戦7番勝負。
本日より、愛知県は蒲郡市「旬景浪漫 銀波荘」にて
第1局の幕が開きました。
振り駒の結果
先手となった羽生王位の初手は角道を開ける▲7六歩。
さあ、今シリーズがタイトル初挑戦となる
将棋界きっての人気者・行方八段の2手目は何か?!
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
注目の行方八段の2手目は△8四歩。
居飛車を明示し、先手に戦型の選択権を預けました。
純然たる居飛車党である行方八段らしい
自らの主義と誇りを示す、心の篭った一手。。
将棋界屈指のオールラウンダーである羽生王位ですが
基本は居飛車。タイトル戦など大きな舞台の先手ではなお更。。
ということで
戦型の選択権を委ねられた羽生王位の作戦が明らかとなる
3手目に、今度は注目とともに緊張が高まります。
▲6八銀なら「矢倉」、▲2六歩なら「角換わり」
果たして羽生王位の決断は。。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
羽生王位の3手目は、飛車先の歩を突く▲2六歩。
先週の土曜日に行われた第84期棋聖戦/第3局と同じく
「角換わり」を目指します。。
7手目▲7七角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
「角換わり」は
行方八段も主戦に据える戦型であり、文句なし。
一手、一手を噛みしめるような定跡手順の進行となり。。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: 角
上図10手目に
行方八段から手損のない角交換へ。。
18手目△6四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
角交換成立後も、おなじみの定跡手順で進行。。
端歩が突かれれば(13手目▲9六歩)、受け(14手目△9四歩)
4筋の歩が突かれれば(17手目▲4六歩)、すかさず
対角をなす6筋の歩を突き返す。。
行方八段が羽生王位に追随する形で
「角換わり」の現代の主流であり、現在進行形で最先端を行く
「相腰掛銀」を目指します。
33手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
互いに右の銀が中央5筋へと繰り出し
自陣の歩に腰掛ながら、天王山5五の位をはさんでにらみ合い
王位戦/第1局の戦型は「角換わり相腰掛銀」に。
羽生王位が右の桂馬を跳躍させた
上図33手目の局面までで、午前の対局は終了。
お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
羽生王位: 温かいうどん
行方八段: うな丼
35手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
行方八段は
午後の開始の一手をなかなか指さず。
まだまだ前例の多い局面ながら、納得がいくまで読み耽り
午前とあわせて1時間と20分の長考の末、指された34手目は
飛車のコビンを開き、桂馬の活用を見据える△7四歩。。
その手をみて
羽生王位は争点となるかもしれない6筋の歩を突き
後手の動きをけん制。。
しかし、行方八段は次の36手目に
右の桂馬を跳躍させることなく、3三銀とし囲いを優先しました。
37手目▲4八飛。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
すると
羽生王位は手馴れた手つきで飛車を4筋に移動。。
先に仕掛けるタイミングを模索します。。
以下
△4二金右~▲8八玉~下図40手目△2二玉~と進行。
40手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
双方、玉の入城を果たし
駒組みは一応の完成をみて、開戦ムードが高まります。。
ここで、羽生王位が長考へ。。
41手目▲6八金。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△行方八段: 角
1時間29分の長考の末
羽生王位はジッと金を玉の囲いに連結させ、間合いを計ります。
すると今度は行方八段が長考に。。
行方八段の長考時間は1時間48分にも及び
そのまま一日目終了時刻となり、次の42手目を封じて
一日目は終了となりました。。
いずれにしろ開戦間近。。
大事な開幕戦ということで、両者ともにギリギリの線で
間合いを計り、相手の懐を探ります。。
決着は明日。
果たしてどのような展開となりますでしょうか。。注目です。