「井山六冠誕生」に思うこと。。 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

「井山六冠誕生」に思うこと。。

井山本因坊、棋聖獲得で史上初の6冠



囲碁の井山裕太本因坊(23)=天元、王座、碁聖、十段=が14日

静岡県伊豆市の旅館「玉樟園新井」で行われた

第37期棋聖戦7番勝負第6局で張栩棋聖(33)に勝ち

対戦成績4勝2敗として棋聖位を奪取。


史上初の6冠同時制覇を達成した。


新6冠王は、昨年5月に結婚した将棋の室田伊緒女流初段(23)に

「感謝しかないです」と言葉を贈った。

無数のフラッシュに包まれた井山は、少年のように頬を赤らめた。


「長い歴史の中で誰も達成していない記録なので光栄ですけど

信じられない気持ちの方が強いです」。


謙虚に、伏し目がちに前人未到の偉業を喜んだ。


井山が六冠達成、現行の7大タイトル制で史上初

史上初の囲碁6冠、天才・井山裕太棋士

「これからも勉強」…独創性で六冠の井山新棋聖




柔らかい手~個人的将棋ブログ-井山六冠王



と、いうことで

昨日、将棋界のおとなり囲碁界におきまして

井山裕太五冠が棋聖を獲得し、史上初の六冠を達成。


囲碁界も将棋界と同じく7大タイトル制となっていますので

残る一つ、名人位を獲得すれば、前人未到・空前絶後の大記録

いよいよ「七冠独占」となります。。



井山六冠は現在23歳。

少年の頃からそのずば抜けた才能を遺憾なく発揮し

12歳でプロとなって以降も、20歳4ヶ月で獲得した名人 をはじめ

数々の「史上最年少」記録を打ちたてながら、次々にタイトルを載冠。


勝利率8割を超えたこの一年の間に

三冠、四冠、五冠と駆け上がり、ついに六冠王までたどり着きました。


23歳で六冠達成。

「七冠独占」に王手となれば、すぐに思い浮かぶのが

将棋界のスーパースター・羽生善治三冠。


現在発売中の「将棋世界」誌4月号にも

井山六冠が登場、羽生三冠との比較記事が掲載されるなど

すでに各方面で比較・検討され、話題となっています。



「井山フィーバー」は過熱する一方ですが

実際のところ、現在の将棋界も囲碁界と似たような

あるいは囲碁界以上に分かりやすいテーマが刻々と進行中。。


それはもちろん


現在4タイトル戦連続登場中で、無敵の強さを誇る

渡辺明二冠(竜王王座 )が「七冠制覇」を究極のゴールとして

タイトルをいくつ独占するのか?


もっと言えば


渡辺二冠の独走に待ったをかけるべく

羽生善治三冠を筆頭とした「羽生世代」が必死の抵抗をみせるも

しかし、徐々に引き離されつつある現状の中


果たして、「羽生世代」の巻き返しはあるのか

それとも渡辺二冠がこのまま突き放し、新時代を作るのか。


というテーマしか、現在の将棋界には存在しません。


それはすなわち、若手の突き上げが全くなく

相もかわらず、「羽生世代」の奮闘のみが頼りであるともいえます。。




その他の棋士にも、それぞれ

ファンや支援者はついているのでしょうが、響きは薄く

番勝負に登場し、渡辺二冠からまとめて白星を上げられそうな棋士を

一人も想像できない以上


「羽生世代」が40代半ばに差し掛かった、今

近い将来「渡辺二冠の一人横綱時代」の幕があけるのは

自然な流れであり、これほどしっかりした後継者が存在してくれたことは

将棋界にとってはむしろありがたいこと。


ただ、渡辺二冠も今年で29歳。

このまま行けば脂が乗り切って指し盛りと言われる30代で全盛を迎え

相当数のタイトルを獲得することになりそうではありますが


羽生三冠が「七冠独占」を達成したのは25歳の時であり

井山六冠は現在23歳で「七冠独占」に王手をかけており

その世間的知名度から言っても、渡辺二冠は晩成型と言えるのかも。


ここはやはり

伸び悩む若手の中から、一人でも二人でも壁を突き破り

タイトル戦線をかき回す棋士が出来てきて欲しいところであります。。


個人的には

「井山フィーバー」を目にして、いつも思い浮かぶ棋士が二人。


豊島将之七段 と、佐々木勇気四段 であります。



豊島七段も佐々木四段も

井山六冠と同じく小学生の頃からその才能を認められていたにも

かかわらず、ともに中学生棋士にはなれず。。


その理由として、「高校受験が重なって」

というのをみるにつけ、何か違和感を感じたものでした。


上記の「将棋世界」誌のインタビューで井山六冠は

師匠に高校進学を聞かれたとき、「もちろん行かない」と答えた

エピソードが、その違和感を消してくれます。


この道一本で生きていく、自らの腕一本で食っていくという

井山六冠の志の高さはまさに、歴史上の人物にふさわしいものに

感じられました。



豊島七段は来月で23歳。

佐々木四段は今年の夏で19歳。。


突き上げもなく、刺激の少ない現在の将棋界では

時間がゆっくり流れているのかもしれませんが

「才能」に命をかけて勝負するべきだった二人に残された時間は

もう、わずかしかないはず。


天才に「来期こそは」と促すのも、これまた寂しい話ですが

それでも来期こそ、突き抜けて欲しい両者であります。