第60期王座戦決勝トーナメント/決勝戦は「羽生二冠-中村六段」
【 投了図・98手目△6八銀 】
投了図での持ち駒
▲木村八段: 飛、角2、金2、銀2、歩
△羽生二冠: 桂、香、歩
第60期王座戦挑戦者決定トーナメント/準決勝
「羽生善治二冠-木村一基八段」は、上図98手までで
後手・羽生二冠が勝利。
この結果
先に決勝進出を決めている中村太地六段と
渡辺明王座への挑戦権をかけて対戦することが決定。。
16手目△3三角。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩3
△羽生二冠: 歩2
半年ぶりの公式戦顔合わせとなった
「羽生二冠-木村八段」は「横歩取り」へと進行。。
ちなみに
羽生二冠が「横歩取り」の後手を持つのは
5月31日-6月1日に行われた第70期名人戦/第5局 以来
今シーズンまだ2局目。
その1局も黒星 を喫しており
ここ数年、後手番で積極的に採用していた印象がある
「横歩取り」を今シーズンも主戦に据えるのか。。
先手より明らかに勝利率が劣るだけに、気になるところであります。
23手目▲5八玉。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩2
△羽生二冠: 歩2
羽生研究会の主力メンバーである木村八段
さらにはもう一人の主力・松尾歩七段も「横歩取り」の
エキスパートということで、手馴れた感じでサクサク進行。
▲8七歩とさせる前に、さっさと下げられた
羽生二冠の飛車の引き場所は△8四の地点。
両者ともに玉を立て、最近よくみかける形に。
38手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩3
△羽生二冠: 角、歩
大流行した「△8五飛+中原囲い」から進化した
銀を携え中央5筋に立てた玉の真下に金を配する
最新形の囲いを、羽生二冠は披露。。
先手も負けじと同じ形の囲いを完成させた(37手目▲5九金)
次の瞬間、羽生二冠から角交換へ。。
40手目△2七角。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、歩3
△羽生二冠: 歩
さらに羽生二冠は
交換した角を間髪入れずに2七の地点に投入。。
畳み掛ける攻撃で主導権を握ります。。
木村八段は飛車を取られてはたまらないと
5筋へと移動(41手目▲5六飛)。
54手目△3八歩成。
上図での持ち駒
▲木村八段: 桂、歩
△羽生二冠: なし
木村八段の角の打ちこみ(43手目▲6六角)に
先駆けて、左の桂馬を跳躍させ(42手目△3三桂)
自陣の左辺を鉄壁のガード。
さらに桂取り(45手目▲8二歩)に構わず
飛車を転換し、3筋からの一気に突破を狙う羽生二冠。
ものすごい勢いと迫力を感じさせます。。
70手目△4八「と」金。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、桂、歩
△羽生二冠: 角、銀、歩
羽生二冠、怒涛の指し回しを前にしても
「千駄ヶ谷の受け師」木村八段にとってはむしろ
アドレナリンの出る展開。
丁寧な折衝を重ねながら
木村八段も8筋からの突破を目論見ます。。
しかし、先に踏み込んだのは羽生二冠。
まずは銀を剥がしアクセル全開、決めに行きます。
79手目▲3八金。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、桂、歩2
△羽生二冠: 歩
逆に木村八段は踏み込めず。。
強く受けに回り、両者の持ち味の出た終盤模様に。。
88手目△5九角成。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、金、銀2、桂、歩
△羽生二冠: 飛、金、銀、香
とはいえ、受けてばかりじゃ勝負にならないと
木村八段も2筋に歩を突きつけ、反撃の狼煙を上げます。
しかし
羽生二冠はもう見切っているとばかりに
木村八段に銀と金を渡し、ギリギリのタイミングで
木村玉に引導を渡す、角の飛び込み。。
【 投了図・98手目△6八銀 】
投了図での持ち駒
▲木村八段: 飛、角2、金2、銀2、歩
△羽生二冠: 桂、香、歩
羽生二冠の華麗で力強い寄せの前に
木村八段、なす術を失い上図98手目までで
無念の投了となりました。
しかし、本局でも際立った羽生二冠の強さ。
春先から連続してタイトル戦をこなす
過密日程をものともせず、公式戦連勝を8に伸ばしました。
王座戦挑戦者決定戦は
第83期棋聖戦と同じ顔合わせ。
その棋聖戦でも
若き精鋭・中村六段相手に貫禄を十二分に示し
ストレート勝利で防衛 を果たしている羽生二冠。
王座戦登場へのモチベーションの高さもあり
今後の動向からますます目が離せなくなってきました。。