※若気の至り(http://ameblo.jp/sunflower111/entry-10235294009.html )の続きです。
土曜の夜。高校時代の友人、ワカバと2年ぶりに会うことになった。青山にあるイタリアンレストランで、現地集合だ。
赤レンガとステンドグラスの外装のこじんまりした店だった。
おしゃれな店知ってるなぁ~。
ドアをあけると2階へと続くらせん階段。登り切ると
「きゃー!きらちゃん久しぶり!!」
懐かしい声が迎えてくれた。
「ワカバ!久し振り!それに、マイとノンコも!元気だった?」
ワカバに会うのは2年ぶりだが、マイとノンコには高校卒業以来会っていないから、9年ぶりだ。二人とも綺麗になった。ちょっとまぶしいくらいだ。
「なんか…マイもノンコも綺麗になっちゃって。ホントひさしぶりだね」
「ねぇねぇ、きらちゃん、私は!?」
ワカバがいたずらっぽく笑って催促してくる。
「もちろん、ワカバも綺麗だよ」
私は、わざと男っぽく、低い声で言う。
きゃー!
ワカバが嬉しそうな声をあげる。
高校3年の時、舞台で私が男役、ワカバが女役で共演してからというもの、ワカバは普段の会話でも好んで私に男役をさせようとする。実際は二人とも男性が好きなんだけど、ちょっとしたふざけ合いなのだ。
高校時代も教室でこういうやりとりを繰り広げていたから、噂になってしまったのである。まぁ、いいけど。
「今日はマイから重大発表がありまーす!」
ワカバが言う。
「なに?」
「きらちゃん、私ね。結婚するの
(*^_^*)」
マイがちょっと頬を赤らめながら言った。
「えーー!ホントに!?おめでとう!!」
その後の会話で、マイは大学卒業後、警視庁に就職。今は警察官をしていると知った。
お相手は同僚の警察官らしい。
「すごいなあ、警察官かぁ!知らなかったよ」
高校時代のマイと言えば天真爛漫な笑い声が印象的だったけど、そんな正義感に溢れる一面もあったんだ。
なんだか、すごくかっこいい。
「でね。きらちゃん、良かったら結婚式の二次会に来てもらえないかな」
「もちろん。喜んで出席させてもらうよ」
私は二つ返事でOKした。
なにしろ、会っていなかった期間が長いので、話は尽きない。
ミニ同窓会の夜は楽しく更けていった。
ワカバはK大の大学院で建築を専攻しており、全国を飛び回る日々。結婚は当分先でいい、と笑った。
ノンコは短大卒業後、化粧品会社で入社7年目。結婚秒読みの彼氏がいるらしい。
高校までは一緒でも、その後の人生ってホントにバラバラだ。
3人とも、それぞれの人生が輝いている。
では、私は?
仕事は人一倍頑張って来た。
でも、鳴かず飛ばずの営業職。上司に叩かれ、こき使われ、毎日終電帰り。
それなりに充実しているけど、これでいいのか?と自問自答の日々。
プライベートでは彼氏もいない。直近の彼氏は同じく多忙な会社員だったけれど、些細なケンカが発端で別れてしまった。
結局はそれほど好きではなかったのだろう、お互いに。
結婚って本当に奇跡だと思う。
一人の人と一生を共にする覚悟って、どうしたら生まれてくるのだろう。
酔いがまわってきた。彼氏の人となりを嬉しそうに話すマイの顔が、なんだかボヤけて見える。
あーあ。なんかいいことないかなぁ。
…ああ、ダメダメ。いいことは待ってるんじゃなく、自分で作らなきゃ。
とりあえず、次のイベントはマイの二次会。
結婚式の二次会と言えば、出会いのチャンスだ。ここは頑張らねば!
私はグラスに残っていたワインを一気に飲み干した。
――――――――
読んでくださってありがとうございました。
「婚活珍道中」 続々更新中です♪