今日は高校時代の同級生、マイの結婚式の日だ。
天気は快晴。初秋の涼しい風が心地よい。
つい先日、9年ぶりにマイと再会した私は、結婚式の2次会に招待されていた。
いいことは待ってるんじゃなく、自分で作らなきゃ。
ヨーコとマイの結婚に触発されて決意した私は、服装にもメイクにも気合いを入れてきた。
おろしたてのハイヒールとシルクシフォンのワンピースに身を包み、恵比寿駅に降り立つ。
会場のレストランに着くと化粧室に直行。
ちょっと気合いが入りすぎたかな…。手鏡を出し、マスカラのダマをチェックする。
よし!まぁ、こんなもんでしょ!
受付で会費の支払いを済ませ、会場へと進む。
40~50人が収容できる、着席タイプの会場だ。まだ開始時間までには間があるが、ほとんど空席がない。
皆、結婚式から引き続いて参加しているのだろう。
今日の新郎新婦はふたりそろって警察官である。当然、来賓も警察官が多いと聞いている。
警察官といえば公務員でしょ。最近、結婚相手としても人気が高いらしいし…今日は期待できる!
内心のドキドキを押し隠しながら、どこに座ろうかと素早く視線を走らせる。
「きらちゃん!ここ!ここ!」
「あっ、ノンコ!!」
高校の同級生、ノンコが手招きしている。私はノンコの隣に腰をかけた。
キョロキョロと見渡すと、周りは50代前後のオジサマばかり。
ここじゃダメだわ。仕方ない。あとで席を移ろう。
「おまたせいたしました!新郎、新婦の入場です!」
司会者のアナウンスと共にウェディングマーチが鳴り響く。
入口の扉が開き、マイが新郎と腕を組んで登場する。
淡いピンク色のウェディングドレス姿で、高く結いあげたヘアスタイルに大輪の花をあしらっている。マイの女らしい雰囲気に良く似合う。
「マイ、おめでとう!」
新郎新婦が私の席の近くを通るとき、声をかけた。
「きらちゃん、ありがとう!」
いいなぁ~幸せそう…。
笑顔がキラキラしてるって、こういうことを言うんだろうなぁ…。
背の高い新郎は、そっとマイの手を取りエスコートする。周りの先輩や上司につつかれ、からかわれながら進む。なんとも穏やかな笑顔だ。きっと優しい人なのだろう。
司会から、簡単な結婚式の報告があったあとで、乾杯の発声。
あとはフリータイムとなった。
あちこちで「イッキ!イッキ!」と掛け声がかかる。若手の警察官が立ち上がり、ジョッキのビールを素晴らしい早さで飲み干している。
へぇ~警察官ってマジメなイメージだったけど、意外。こういうときはけっこうフランクな感じなのね。体育会系って感じ。
ストレスの多い職場だから、メリハリをつけないとやってられないのかも知れないなぁ…。
「きらちゃん!こっち座って!」
突然、マイに呼ばれて近くに座る。
「皆さん、私の高校時代の同級生のきららさんです!現在彼氏募集中!!」
マイったら、な、なにを言うんだ、いきなり…。
私は赤面しながら
「よろしくお願いします…
(//・_・//)」
と頭を下げた。
「君がきらちゃんか。はじめまして。話はマイから聞いてるよ!」
新郎が笑顔で話しかけてくる。
「ここのテーブルにいるのは独身ばっかりだから、遠慮せずに声かけて!」
周りから笑いが起こる。
マイ…ありがとう。でもすごーーーく恥ずかしいんですけど…。
その時、隣の席に座っていた、いかにもスポーツマンという雰囲気の爽やかな男性が
「お酒、持ってきましょうか」
と声をかけてくれた。
お、かわいいじゃん。
これが、彼への第一印象である。
彼は名前をミサト君と言い、私よりも3歳年下だった。
お酒を持ってきてくれた彼に、さっそく
「ねっ、連絡先教えて。今度飲み会しよう!」
ミサト君がやがて、可愛い後輩の旦那様になろうとは、このときは知る由もない私であった。
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