ドラトーザンさんのフレンチパラドックス | Toujours avec Emma

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2011年にフランス人ダビデくんと結婚。日本で暮らしています。
2015年に第1子Emmaを出産。
日仏ファミリーの日常。

昨日、仕事の帰りにドラトーザンさんの『フレンチパラドックス』についての講演を聴きにいってきました。

ドラトーザンさんはフランス出身のエッセイスト、執筆家、コメンテーターとして活躍している女性。




『フランスはXXでいいですね。それに比べて日本は遅れてますね~』みたいな内容だったら、現在フランスが抱えている色んな問題について質問しまくって、困らせちゃお。とちょっとイジワルな下心を持って行ってきました。




フランスは素晴らしいところが沢山あるんですよ。あるんですけど、問題もたくさんあります。

ダビデくんから、しょっちゅうそんな問題点の話を聞かされているので、イヤでもフランスに夢を見れなくなってしまうんですよね~汗




予想に反して、講演内容は非常にニュートラル。

フランスが抱える問題点も認識しつつ、日仏間だけでなく他の国の話も織り交ぜながらの文化比較でした。

内容は既に知っていることも多かったけど、時間のムダではなかったと思います。

私はダビデくんからもフランスの話、教育や家族のスタイルなんかについても聞いているし、自分で本もかなり読んだので(歴史、社会、文化、ライフスタイル等15冊以上)内容を新鮮に思わなかったけれど、「フランスは旅行で行った」くらいなら「へぇ~」と思うことが沢山あると思います。




彼女が挙げているフレンチパラドックス6点のうち2つが非常に印象に残ったので、その2点について書こうと思います。

今日はそのうちの1つフランスの少子化対策について






フランスで出生率が短期間に急上昇したということをご存知の方は多いでしょう。

1994年の1.66を底に2008年は2.0にまで上昇しました。

この背後には、フランス政府が中心となって行った少子化対策があります。




以下のものは有名ですよね?

1,充実した子供手当や公共施設・公共交通機関の割引

2,3歳まで休職可能 復職後も地位保障

3,婚姻関係を結ばずとも、生まれた子供は私生児にならない。

(たぶんフランスにおいては私生児って日本ほど色眼鏡で見られない、そもそも私生児って概念があるのか?)




私の心に1番響いたのは『不妊治療に対する金銭的バックアップ』


日本ではあまり知られていない政策ではないかしら?

これについては調べてもあまり詳しい情報がでてこなかったのですが、人工生殖にも保険が適用される。(4回まで) らしいです。




日本で「少子化対策」と騒いでいる一方で、子供を望んでも持てないカップルの治療はあまりケアしてくれている印象のない日本の政策。

産みたいと言ってくれているんだから、ありがたく産んでいただきましょうよ。

妊娠するまで、ある程度はサポートしてあげましょうよ。




不妊治療には保険がきくものと全額自己負担になるものがあり、人工生殖は自己負担診療になります。

お値段は病院によって違いますが、体外受精で30万程度。

日本では、自治体から補助金が出るところが多いようです。

条件は自治体によって違いますが、見た限りでは所得制限があります。

しかもその制限が『夫婦合算所得額が730万円未満であること。』(東京都)ってけっこう厳しくない?

1人400万年収の共働きカップルは補助してくれないんですよ。。。

2人で年収730万円以下で都内在住ってけっこう生活厳しいと思いますが。

しかも、補助してくれるのは1回15万を上限に年2回だけ。




不妊治療って金銭的な面だけじゃなくてメンタル的なことが一番つらいと思うんですよ。

「こんどこそ!」って挑んで、ダメだったときの落ち込みとかを考えてしまうと、せめて医療費くらい心配なく治療を受けられる環境を整えるのが、産む意思を持つカップルへの誠意ではないでしょうか。


ちなみにフランスはほぼ医療費タダの国(その代わり社会保険料はたっぷりとられますよ)なので、「保険が適用される」ということは、ほぼ自己負担0と思われます。




くだらない行政法人や、さして働かない公務員(全員じゃないですよ。ごく一部ね)にお金渡すくらいなら、こういうサポートを充実させて欲しい。

それなら、納税する意義があるってもんです。




これから、

・コンピューターやロボットなどで必要な労働人口が少なくなるであろう。

・地球資源は枯渇していく方向


などと考えると、今の人口を維持する必要があるのかという疑問もあるにはあるんですが、国の政策としては「生めよ。増やせよ」なんですものね。

生まれてきた子供だけでなく、これから生まれてくる子供のためにも投資していいんじゃないかなぁとおもいます。




生物学的には母親に栄養が十分いきわたってない状態の方が子供ができやすく、栄養満点だと子供は生まれにくくなるそうです。

栄養状態が悪い→周囲の環境がよくない→子供を産んでも育たない可能性が高い→たくさん産んで、内何割かが大人になれればいい というのを本能で体が判断してるんでしょうね~






明日は日本人男性には耳の痛いフランスのジェントルマンについて書きます~