味の手帖 2月号 | Toujours avec Emma

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2011年にフランス人ダビデくんと結婚。日本で暮らしています。
2015年に第1子Emmaを出産。
日仏ファミリーの日常。

$Sonia's Style-sonia

ちょっとパリ旅行から話がズレますが、「味の手帖」という雑誌をご存知でしょうか?
書店では買えず、飲食店においてある雑誌です。
この雑誌の「ケ・セ・ラ・さ・ら」というコーナーはエコールエミーズの卒業生が受け持ってエッセイを連載しています。
2月号の担当は私で「りんごとハチミツのローストポーク」をご紹介しています。
お店で見かけたら手にとってみてくださいね。

本来、このエッセイには料理に関する想い出などを書くというお題が与えられていたのですが、最初に何も考えずにバババーっと文章を書いてしまいました。
結局この文章はお蔵入りになったのですが、もったいないのでblogで使わせていただこうと思います。
味の手帖に載っている文章とは全く違うものですが良かったらこちらもお楽しみくださいませ。

ほんの数年前まで、フランスは大嫌いだった。
私の通っていた学校はフランスの修道会が創立したミッションスクールだったので、希望者は中学二年生からフランス語の授業を受けることが出来た。身の程も知らず、「お友達も受講するから」という理由だけで、受講を決めた私は初回の授業で激しく後悔した。先生はフランス語しか話してくださらないのだ。フランス語で話しかけないと返事もしてもらえない。まだ英語もおぼつかない中学生から見ると、このフランス人教師はなんとも横柄に思えてしまった。結局フランス語講座は参加者の大半が一年でリタイヤしてしまった。これ以来フランスにはずっと苦手意識を持っていた。本土に足も踏み入れたことがないくせに、食わず嫌いだったのだ。
そんな私が、ひょんなことからフランス・パリに一人旅をすることになった。初めて訪れる国でひとりきりというのは心細いもの。フランス語は当然しゃべれない。そんな私に親切に接してくれたのは、意外にもフランス人だった。身振り手振りで、助けになりたいと一生懸命になってくれる姿は、私の中の『高飛車なフランス人』のイメージを覆した。そんな親切な人々のお陰でなんとか旅から無事に帰国した頃には、すっかりフランスが大好きになっていた。あれからフランス語も独学で勉強して、まだカタコトだが少しは話せるようになった。フランス人の友人もできた。
あんなに嫌っていたフランスを好きになれたのは、愛嬌のある人々と魅力的な食文化のお陰だ。家族や仲間と食卓を囲み、おいしい食事とおしゃべりで何時間も楽しむ。彼らの「食」に対する情熱(執着?)は、食いしん坊では人後に落ちない私でも驚くことがあるくらいだ。今では年に二回のペースで通っているパリで新しい味に出会うのが旅で一番の楽しみ。この料理も友人に食べさせてもらった料理を基にアレンジして出来上がった。家庭料理もお店で食べる料理もそれぞれ違って、その違いがまた楽しい。これからもフランスは私の舌と心を魅了し続けることだろう。
「そうだ、パリにごはんを食べに行こう!」