女性に対する暴力撤廃の国際デー 〜 その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

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Le ambasciatrici in arancione dal Papa per dire no alla violenza contro le donneLe ambasciatrici in arancione dal Papa per dire no alla violenza contro le donne
 
去る11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」であった。
 
イタリア国立統計研究所・ISTAT(Istituto Nazionale di Statisticaの 略)によると
 
2022 年には 322 件の殺人事件が発生し(21 年と比較して +6.2%)。
女性殺人被害者の平均年齢は55.1歳
加害者は被害者のパートナーまたは元パートナーによルものが9割以上で、男女関係のもつれから殺害される女性が多い
 
と言う。
 
またイタリア内務省のデータによれば、今年の11月19日までの時点で106名の女性が殺害されているとの事。

こういった事件の背景にはイタリアでの(日本でも言えるかもしれぬが)「男性優位思想」が影響しているのだろうか?とはいえ、男女の愛憎劇の歴史は、聖書やギリシャ神話にもみられ、特にギリシャ神話では、多くの神々が人間のように愛憎劇を繰り広げている。

 

ところで、今イタリアで話題になっているのが、やはり元ボーイフレンドに惨殺されたジュリア・チェケッテインさん。殺害される39日前に友人に相談したという電話メッセージを聞いたが、元彼による過剰な束縛と自殺すると脅し?強要?されたり、ととにかく嫉妬妄想で治療が必要な段階であったのかもしれない。まだまだ22歳で初々しく将来もあったのに、親御さんの気持ちを思うと、その悲しみは計り知れない。

 

画像は、国連女性機関(UN Women)が主導する女性や女児に対する暴力のない明るい未来を象徴する色「オレンジ」をシンボルカラーとした、暴力撤廃を呼びかける活動をする在ヴァチカン女性外交官によるパパ様との謁見であった。

 

11月25日(土)の女性に対する暴力撤廃の国際デーから12月10日(日)の「人権デー」までのキャンペーンのテーマは「団結しよう!女性と少女に対する暴力を防止するよう投資しよう!」。家庭内における女性に対する暴力の防止、減少は地域社会の意識を高めることが重要であろう。公共の場、学校、職場だけでなく、デジタル世界、移民現象や戦争の状況でも必要である。また、世界的な緊急事態、危機、紛争により、女性に対する暴力がさらに激化し、引き金や危険因子が悪化していることも要因であろう。

 

PapaFrancesco@Pontefix,it

La violenza sulle donne è una velenosa gramigna che affligge la nostra società e che va eliminata dalle radici. Queste radici crescono nel terreno del pregiudizio e dell’ingiustizia; vanno contrastate con un’azione educativa che ponga al centro la persona con la sua dignità.
女性に対する暴力は毒草と同じで、わたしたちの社会にはびこっており、その根から絶やさなければなりません。というのも、その根は偏見と不正義という土壌の中で育っていくからです。その根を絶やすためには、人の尊厳を中心に据える教育による取り組みが必要です。
 
ジュリアさんの葬儀日程がまだはっきりしていないようだが、永遠の安息とご遺族の悲しみが少しでも癒されますようお祈りします。
 
 
 

(イタリア内務省データ)

https://jp.ambafrance.org/article19840