僕がアナログを一万円で売ろうと思った訳 | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

僕がカバーした
ROSE ROYCEのSTILL IN LOVE。

DANNY KRIVITや
GILLES PETERSON、
DJ SPINNAに
JOE CLAUSELLが
プレイしてくれたお陰で、
世界各地でヒットし、
アナログはSOLD OUT。

それで
気を良くした訳ではないんですが、
この曲のREMIXを
今をときめく
プロデューサー・ユニット、
KYODAIに発注したんです。

ところが、
STILL IN LOVEと
同じようには売れないだろう
という市場の見立てから、
アナログ化は難航・・・。

ヨーロッパじゃ
アナログ復権とかって
言われてますけど、
それでも
300~400枚でヒットですからね・・・。

それじゃ
とってもじゃないけど
元が取れない。

いいですか?
音楽に
お金を払わない人が
増えてるそうですが、
そんな事してたら
僕達アーティストは、
音楽が作れなくなるんですよ!

一体、
このREMIXに
いくらかかってると思います?

ボーカリスト、
NAVASHA DAYAのギャラ、
スタジオ代(バルティモア)、
エンジニア費(バルティモア)、
弦のアレンジ、指揮、
更にはクラビネットを
ダビングしてくれた
デトロイトのプロデューサー、
PIRAHNAHEADのギャラ、
素晴らしい演奏をしてくれた
ストリングス・チームのギャラ、
スタジオ代(デトロイト)、
エンジニア費(デトロイト)、
プロデューサー兼ベース兼ギター、
ROOT SOULこと
池田憲一のギャラ、
ドラマー、藤井伸昭のギャラ、
ピアノ・ソロを担当してくれた
菱山正太のギャラ、
ドラムとピアノを録音した
スタジオ代(日本)、
エンジニア費(日本)、
ドラムを取り直したので
再度スタジオ代(日本)、
エンジニア費(日本)、
オリジナル・ヴァージョンの
トラック・ダウンの為のスタジオ代(ロンドン)、
エンジニア費(ロンドン)、
マスタリング費(日本)、
KYODAIのREMIX費、
アナログ用のマスタリング代(日本)、
アナログのマスター&プレス代・・・。

これを一枚1480円とかで売る訳ですよ。
僕の所に入ってくるのはおそらく、
1枚300円?
仮に300枚売れたとして9万円ですよ!

あり得ない・・・。

だから思い切って
100枚限定で一枚1万円で売ろうかなと・・・。
売り上げ100万ですけど、
プレス代30万を引くと
残りは70万・・・。

9万円よりいいですよね。

1万円なんて高過ぎる!
というご批判もあったんですが、
そもそも
この曲
70万円で作れてません。

弦の録音だけで
50万以上かかってますからね。

えっ、
『DESTINY』に
収録してるんだから、
すでに元取れてるだろうって?

あのね、
CDが売れても、
かけたお金全然回収できてないんですよ。
アナログ完売しても・・・。

制作費は伏せますが、
350万の赤字。

iTunesの
総合3位になっても
そんなもんなんです。

ちなみにこれでも節約したんですよ。
『UNITED LEGENDS』の
半分の予算で作りましたからね。

正直
CDは名刺みたいなもんですよ。

えっ
だったらアナログも
名刺なんだろうから
元取ろうと思うなって?

ま、
そう言われると
元も子もないんですけどね・・・。

僕、
大体にして
お金かけ過ぎなんですよねぇ。

決して入って来てない訳じゃないんです。

妥協できないタチなんです。

『DESTINY』では350万の赤字。
TOKYO CROSSOVER/JAZZ FESTIVAL 2009では
一晩で500万の赤字。
今年のThe Roomの20周年記念パーティーでも
一晩で150万の赤字。

うわっ、
この3本の企画だけで1000万も赤字が出てる・・・。

だから、
「沖野さんって、商売下手ですね」
と言われる事もあります。

でも、
ちょっと待って下さい。

それは2つの意味で間違っています。

僕、
音楽を商売としてやっていません。
金儲けの為にやってる訳じゃないんです。

表現です。

それに、
その1000万、
他で稼いでちゃんと埋めてますからね。

話、えらく脱線してますけど
戻りますね。

決して
かけたコストを回収できないのに、
僕が
どうしてアナログを
1万円で売ろうとしたのか?
その話ですよね。

僕は
僕の作った音楽が
それだけの金額を
払ってもらえる価値があるかどうかを
確かめたかったんです。

CDって同じ値段で売ってますよね?

でもファッションって同じ値段で売らないですよね?
サンローランとユニクロが・・・。

百歩譲ってデジタル・コピーできるCDに
高値が付けられないとしましょう。

じゃ、限定プレスで
素人がパソコンで簡単にコピーできない
アナログ(ま、アナログ自体がそもそも複製品なんですけど)
作れば値段高くしてもいいでしょ?

この前、
DIOR HOMMEに行ったら
Tシャツ、8万円もしてましたよ!
1点モノじゃないですよ!!

ユニクロで
8万円のTシャツ売ってないでしょ?

ちなみに
THEO PARRISHが50枚限定でプレスした
アナログ、
1枚5万円で取引されているとかいないとか・・・。

そう考えると
STILL IN LOVEのKYODAI REMIX、
1万円って安く思えて来ませんw?

このSTILL IN LOVEのKYODAI REMIX、
今年の11月に
DANNY KRIVITが一晩で3回かけたんですよね。
同じ日に僕も
別の会場で2回かけました。

今、
東京で
一晩に
5回もかかる曲、
あります?


DJする時は毎回かけてるし、
先日もロンドンで
GILLES PETERSONと
PATRICK FORGEの共催イベントで
ゲストのRAINER TRUBYがプレイして
場内大熱狂だったそうですよ。

REMIXを手掛けてくれた
KYODAIもヨーロッパ各地で
反響が凄い事になっていると
連絡して来てくれました。

でも
ファンの人に直接声をかけ、
Facebookでも欲しい人も募ったんですが、
どうも反応が悪いんですよね。

考えられる理由は2つ。

一つは
やはり、
リスナーはもう
音楽にお金を払う気がない・・・。

もう一つは、
ひょっとして、
リスナーの皆さんの耳は節穴・・・?

そんな事ないですよね・・・。

あんなに盛り上がってるのにね。

有名人(僕は該当しません)が
ノリのいい曲をかけたら
大興奮状態になるけど
その曲を
手に入れたいとは思わないのかな?
実はその曲に反応してるんじゃなくて
お目当てのDJがかける曲は
なんでもOKなんですかね?

正直、
音楽作るモチベーション、
もの凄く下がります。

こっちは
既に元手を回収できない事判ってて
音楽作ってるんですよ!

じゃ、何のために作ってるかって?

作りたいからですよ。
自分で想像した曲を形にして
プレイしたいからですよ。

お金の為に作っている訳じゃない。
でも、曲を作るにはお金がかかるんです。

私財投入してやってますよ。
でも出来れば、その曲を支持してくれてる人に
CDやアナログ買ってもらって
足しにしたいと思うの普通でしょ?

こうなったら、
僕のイベントでしか聴けないようにして
CD化もアナログ化もしない!
という選択肢もありなような気がして来た・・・。

KYODAI REMIX聴きたかったら
僕を呼んで下さい!という商法。

もしくは、
もう沖野修也名義で音楽を作らない!

皆さん、それでもいいんですか?

一つだけ希望があるとすれば
友達のMark de Clive-Loweが
資金調達に成功した
Kickstarterのような投資サイトで
アルバムやREMIXの費用を
聴きたい人からの援助で収集する。

僕のアイデアを公開するとか
デモ音源をアップし、
ファンの皆さんのサポートで
その完成を目指す。

芸術を支援するパトロンを募るんです、
現代的な手法で・・・。

ちょっと待てよ。
今でも
自分の音楽を創るのに
自分で資金を集めて来て
自分自身に投資している。

沖野修也は
沖野修也の
パトロン
だったのか!!


もう一回聞きますよ。

僕が街に来ないと
僕の音楽が聴けないのがいいのか?

僕が音楽を創るのを辞めてもいいのか?

それとも
僕の音楽が
CDやアナログで買えたり、
iTunesで
ダウンロードできるのがいいのか?

どれがいいですか?

そうですよね。
普通に買えるのがいいですよね。

だったら
音楽を買って下さい。

その曲で儲けようなんて思ってません!

レコーディングの足しにしたいんで
もし
僕の次作!を聴きたいと思うなら
お金を払って下さい。

そう考えると
今回買う作品はタダに思えて来たでしょ?
払うお金は次作への投資。

皆さん、
僕の代わりに
沖野修也の
パトロンになってみませんか?

1万円なんて
高級ブランドの
Tシャツも買えないような値段じゃなく、
500万とか
1000万を
ポーンっと
出してもらっていいですよw。

いや、
どこかの親切な人が
誰かに無期限無利子で貸したみたいに
5000万
出してくれたりしないですかねw?

1万円でアナログ出すべきかどうか、
いや
この曲リリースすべきかどうかも含め
今後の身の振り方
よく考えてみます。

やっぱり高いのかなぁ?

僕のイラスト(シルクスクリーン印刷)、
一番高いの
一枚30万で売れたんですけどね。

STILL IN LOVEのKYODAI REMIX、
たったの一万円ですよ・・・。

ちなみに、
今、
STILL IN LOVEの
僕のカバー・ヴァージョンは
中古盤屋で1万円以上します。

それ考えたら
決して高くない。

KYODAI REMIXは
リリース数5分の1にするから
5万以上の値が付きますよ、きっと!

投資だと思えば安いもんですよ。

3枚買って、
1枚をプレイ用、
1枚を保存用、
1枚を手放しても
2万のおつりが来るかも!!

しつこいですか?
殆ど詐欺師ですね、僕w。

やっぱり
他のモノ売った方が儲かるかもしれませんね。
捕まるかもしれませんが・・・。