- 宮部 みゆき
- 心とろかすような―マサの事件簿
- 宮部 みゆき
- 心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)
- ☆☆☆+
284p 東京創元社 1997年11月、349p 創元推理文庫 2001年4月
宮部みゆき「心とろかすような マサの事件簿」読みました。
この物語は、警察を引退した老犬のマサが探偵事務所にお世話になり、犬の目から事件を見つめるという趣向の5つの作品の入った短編集です。デビュー作「パーフェクト・ブルー」と同じ主人公だそうですが、そちらはまだ未読です。ほとんどの作品は、1990年初期ものですが、この本を作るに当たって新たに一編だけ書き下ろしのものがあります。それは、「名もなき毒」
に通じるような、事件をテーマとしています。マサが犬で、喋ることができない、もどかしさが伝わってきます。初期の作風と今に通じる作風、二つを同時に味わえる短編集です。以下にさわりを記しておきます・・・
「心とろかすような」 鮎川哲也と13の謎'90 1990年12月
探偵事務所の加代ちゃんはあるときやむを得ない事情でボーイフレンドの進也と朝帰りをしました。そのとき子供がトランクのなかに乗り込むところを見たというのです。なにやら事件の匂いがします。加代ちゃん達は調査を始めました・・・
「てのひらの森の下で」 野生時代 1989年8月号
あるとき、マサは公園で散歩中に、死体?を発見し、おまけに後ろから殴られて気絶してしまうのでした。しかし、その死体はその場にはなくなっていました。いったい何が起こったのでしょうか・・・
「白い騎士は歌う」 野生時代 1990年5月号
強盗殺人事件が起こり、1200万円が盗まれます。容疑者は行方不明のなか、容疑者の姉が探偵事務所を訪ねてきます。弟がお金に困っていた理由を知りたいと、探偵事務所に依頼するでのでした。。。
「マサ、留守番する」 書き下ろし
加代ちゃん達は、台湾へ社員旅行に行ってしまい、マサは一人で留守番です。散歩だけは近所のジュンコさんが連れて行ってくれます。留守中一人で寝ている夜中、子供の足跡がして事務所の前にウサギを置いていくのでした。マサは、誰がこのウサギを置いていったのか、調査を始めます。そうすると、意外な事実が浮かび上がるのでした・・・
「マサの弁明」 鮎川哲也と13の謎'91 1991年12月
探偵事務所に、宮部みゆきから調査の依頼がありました。それは午前二時くらいになると、外をつっかけで歩く人の足跡がし部屋の前で止まるという内容でした。見ても誰もいない。。。加代ちゃん達は調査に乗り出しました・・・
追記
「心とろかすような」は、宮部みゆき自身が選出したこども向け選集「初めての文学 宮部みゆき」 にも収録されています。
- 宮部 みゆき
- はじめての文学宮部みゆき
テーマ:宮部みゆき はこちらです・・・