村上春樹の連作短編「神の子どもたちはみな踊る」の、残りの2編について | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.


村上 春樹
神の子どもたちはみな踊る

村上春樹の阪神大震災に触発されて書かれた連作短編「神の子どもたちはみな踊る」の、残りの2編について書きます。


最初の4編はこちらです・・・


☆☆☆+
かえるくん、東京を救う
銀行勤めの男が家に帰ると、2mのかえるくんが待っていました。かえるくんは言います「東京に地震が起きる。」地震を起こそうとする銀行の地下にいるみみずくん。みみずくんを倒すために、一緒に戦ってくれないかと、かえるくんは、言うのでした・・・現実離れしている話ですが、なぜか力強い文章力でぐいぐい引き込まれます。


☆☆☆☆
蜜蜂パイ
小説家の主人公淳平と、大学時代の友人高槻、小夜子の話。3人は友達になるのですが、高槻と小夜子は結婚します。二人に子供ができたのを知る淳平の気持ちが書かれている文章が印象的ですので、引用します「小夜子が母親になってしまったのだ。それは淳平にとっても衝撃的な事実だった。人生の歯車がかちりという乾いた音を立ててひとつ前に進み、もう元には戻らないことが確認されたのだ。それについてどのような感慨を抱けばいいのか、淳平にはまだよくわからなかった。」
このお話、最後は希望にあふれ、力強い話になっています。お薦めです。

淳平という主人公、「東京奇譚集」の「日々移動する腎臓のかたちをした石」 と同じ名前、職業なのですね。まだ、他の作品にもこういうのがあるのかなあ???


6編の短編が入っていますが、後半の作品ほどおもしろく、この連作短編集の印象がよくなりました。


神の子どもたちはみな踊る

神の子どもたちはみな踊る