変わり種でも飛行機は飛行機 | 北アルプスのほとりからですが、何か?

北アルプスのほとりからですが、何か?

仕事の都合で、群馬から長野は信濃大町に居を移すことになりました。

私は、基本的に競技用機を飛ばすことが多いです。というのも、確実に滑空時間を確保でき、またその姿も美しいからです。ただ、二宮先生も長松さんもそうなのですが、ちょっと変わった機体も設計されています。

まずは二宮先生のホワイトウィングスから。

非対称機2機

これまたかなり癖の強い機体2種です。向かって左側は、斜め翼無尾翼機。かつてNASAでも、超音速時の燃料節約に有効とのことで実験が行われたことがあるそうです。結果、主翼が胴体となす角が小さくなれば小さくなるほど操縦性に問題が出てくることが判明、それを持って実験終了となったとのこと。可動部やらいろいろ問題が出てくるのではと素人でも判断つきますから、当然の成り行きだったのかもしれません。ただ、紙飛行機としてはよく飛びます。ゴム動力機のビデオなども「斜め翼」で検索すると出てきますのでご覧いただければ参考になるかと思います。右側の機体はまんま「左右非対称機」です。この機種はかなり古い物なのですが、右と左の形状は違っていても、作用する力のバランスが取れていればきちんと飛ぶんだぞ、という証明とも言えます。実は、三角胴の非対称機がまだあるのですが、これはまだ製作すらしておりません。

続いてこちら。

リング尾翼機「スペースシャトル」と円形翼機

左側がリング尾翼機「スペースシャトル」、右側が先尾翼円形翼機です。スペースシャトルとのネーミング、かのNASAで運用されていたスペースシャトル搭乗のはるか昔に、既にそのことを予見して紙飛行機化されていました。驚くばかりの先見性ですが、特徴のあり過ぎるリング状の水平尾翼のため、通常の調整ができません。つまり、頭上げ頭下げの調整は、全て主翼のねじり具合、つまりは迎角の増減で行わなければなりません。調整がドンピシャリなら気持ちよく飛びますが、そこまでの道のりは一筋縄ではいきません。円形翼機は、先尾翼が補助的な揚力を発生しているおかげで比較的ふわふわと浮くものの、空気抵抗の大きさは否めません。ですから、高度獲得をして滑空というスタイルは無理ですが、当然ながら飛ばない訳ではありません。

で、今日はこんなのを飛ばしてきました。

EDGIE CX

長松さん設計のEDGIE CXです。これはCanonのCreative parkページに掲載されているモデルですが、ご覧の通り無尾翼機でありながら立体胴という、かなり調整には面倒な形態をしているのです。紙飛行機というのは、強度保証のため比較的厚手のケント紙を使用します。およそ0.3mmほどですが、貼り合わせ胴ならば主翼と尾翼ののりしろのみを曲げるだけですからそれほど寸法誤差を気にせずに工作できます。ただ、この立体胴は、折り曲げの回数が多いだけでなく、それを接着するのでどうしても厚紙だからこその寸法誤差が出やすくなっています。そうなると、必然的に機体全体の工作精度も下がりますので、無調整でよく飛ぶ、という訳にはいかなくなります。現に私もこの機体を飛ばしてみて、初飛行は地面に一直線でしたから。ここまで来ると調整もちから技的になってきます。

ついでにあと3機ご紹介。こちらは全て先尾翼機です。

先尾翼機3種

向かって左から、Wizard CX、Azit CXの長松さん設計2機、そして一番右は、Light Plane 306 Orvilleで二宮先生設計の機種です。全て低翼機なので、手投げの場合持つ場所を探すのに苦労します。高翼機の場合主翼の下あたりを持てるのですが、低翼機はそこに主翼がでんと居座って邪魔をしますので。ほとんどがゴム射出での試験飛行を強いられるということにはなります。で、工作精度が低いと、前述の無尾翼機ではありませんが、地面に一直線などと言うお粗末な内容になったりします。

いろいろ書かせていただいたのですが、これらの機体は「本当に飛ぶの?」と疑問を持たれて当然の形態をしてるにもかかわらず、それどころか良好な滑空性能すら持っているものです。以前競技用機の高性能さについて書かせていただきましたが、極端な話、揚力を発生する部品があって、前後左右のバランスが取れれば飛行は可能だ、ということです。その際形状から前後左右のバランスが取れない場合がほとんどですので、調整ということで縁を上げたり下げたりする訳です。

ちなみにですが、長松さんはらせん翼なる機体を設計、実際に飛行させています。リンクを貼りますので是非ご覧になって下さい。

らせん翼機 COBRA-X