佐藤嘉洋オフィシャルブログ「明るく生こまい」Powered by Ameba
↑愛知のレジェンドたちが大会に華を添えた

第1話「立場のない人間に、一番与えられたいモノ
第2話「今までも、今も、これからも
第3話「苦しみの向こうの境地
第4話「同じ志を見つめたDNA
第5話「妥協と拘りの境界線
最終話「レジェンドたちから受け取ったモノ

東海アマチュアシュートボクシング大会が今年を以って終了を告げる。
一体何年続いたんだろうか。
(以下ダハールさん以外すべて敬称略をご了承ください。
ファン目線で語りたいので……)

私がキックを始めて、初めて見たアマチュア試合がこの大会だった。
1994年、全日本キックボクシング連盟の王者立嶋篤史vs挑戦者佐藤孝也とのタイトルマッチが愛知県武道館で行われた翌日のことである。
このタイトルマッチや前座で見事なKO勝利を収めた佐藤孝也、鈴木秀明両名も、この春日井市総合体育館にセコンドの手伝いで来ていた。
名古屋JKファクトリー(当時は大和北ジム)からもたくさんのアマチュア選手が出場していた。
ちなみに余談だが「1001のローキック」に少しだけ出てくるダハールさんも選手として出場していた。
なんかよくわからないのだが、「いやあ、参った参った」と独り言をつぶやいていたのが印象的だ。

私は春日井市総合体育館に足を踏み入れたのが、何しろ1994年の中学2年以来だったので、外観などにほとんど記憶は無かった(ひょっとしたら改装したのかも)。
しかし、中に入ってみると……思い出した。
あのロビーのひんやりとした感じ。
ジムで初めて仲良く話してくれた安藤文彦さんという人を一番応援しよう、とか思っていた気がする。
ここには、前日の興奮そのままに戦友であり若葉中学の同級生だった杉浦磨と一緒に観に行った。
ちなみにこの体育館、駅からはほど遠く、車でなければ来る事は不可能な位置にある。

なあ、磨、俺らどうやって行ったんだっけ?
誰かに乗せてもらったんか?
全く覚えていないんだよ。

そのとき大会が終了するまで食い入るように試合を見ていた。
前日のプロ興行のレベルとは比べるべくもないが、間近で見れた試合にいたく興奮した記憶がある。
最高峰のリングを初めて生で見て、その翌日に身近なリングを生で見る。
自分の目指すべき理想のリングと、まずはクリアしなければならないリングを交互に連続して見れたことは、格闘家として大きな財産となったのではないだろうか。
撤収作業もありがたいことに手伝わせてもらえることになり、喜んで参加した。
憧れの存在だった佐藤孝也に
「おい、そこの君。佐藤くんだっけ?あそこの荷物を持っていきなさい」
と声をかけられ、私のテンションは上がりっぱなしだった。
うお!佐藤孝也が俺の名前を覚えているぞ、と。

立場のない人間には役割を与えられることが最上の喜びなのだ。

第2話「今までも、今も、これからも」に続く

明るく生こまい
佐藤嘉洋