独り言 1 (いいところを見つけるのは、 そのための目を 磨いておかないとできない)
独り言 10 (自分にできることを 集中してやりきるかどうか)
独り言 18 (今日も精一杯やったと 思える一日を過ごしたい そのためには・・・)
の続き
【人気連載「歴史の教訓」でおなじみ、
知の巨人・渡部昇一さんが語った
「運を引き寄せる要訣」とは】
明治から昭和にかけて活躍し、
数々の小説を生み出しただけでなく
『努力論』『修省論』などの人生論で
高い評価を得る文豪・幸田露伴。
しかし、露伴の文章は難解であり
原書を読んだとしても理解するのは、
難しいと言われます。
そんな露伴の書を座右に置き、
自身の人生に生かしてきた
渡部昇一さんが易しく教える
「運を引き寄せる要訣」とは――。
-・-・-・<『致知』より抜粋 >・-・-・-
私はいま、齢八十六を数えました。
幸田露伴の『努力論』は
いまも私の座右にあり、
年に一度は読み返しています。
そこに示されている人生の要訣は
常に私の思いを新たにし、
その実践に向かわせます。
露伴は人生における運を
大切に考えています。
運というと他に依存した安易で
卑俗な態度のように思われがちです。
だが、露伴の言う運は
そんなものではありません。
その逆です。
・ ・ ・ ・
露伴は人生における
成功者と失敗者を観察し、
一つの法則を発見します。
露伴は言います。
「大きな成功を遂げた人は、
失敗を人のせいにするのではなく
自分のせいにするという傾向が強い」
物事がうまくいかなかったり
失敗してしまった時、
人のせいにすれば自分は楽です。
あいつがこうしなかったから
うまくいかなかったのだ――
あれがこうなっていなかったから
失敗したのだ――
物事をこのように捉えていれば、
自分が傷つくことはありません。
悪いのは他であって
自分ではないのだから、
気楽なものです。
・ ・ ・ ・
だが、こういう態度では、
物事はそこで終わってしまって、
そこから得たり学んだりするものは
何もありません。
失敗や不運の因を自分に引き寄せて
捉える人は辛い思いをするし、
苦しみもします。
しかし同時に、
「あれはああではなく、
こうすればよかった」という反省の思慮を
持つことにもなります。
それが進歩であり前進であり
向上というものです。
失敗や不運を自分に引き寄せて
考えることを続けた人間と、
他のせいにして済ますことを
繰り返してきた人間とでは、
かなりの確率で運のよさが
だんだん違ってくる、ということです。