真っ白のレース編みのショール。
顔がぱぁっと華やぎます。
厚みもあって
「マダム」な雰囲気にぴったりかしら?
実は、これ、わが母の作品です。
女は、基本的に何かしら手仕事が好きな生き物。
母は食品手作りはさほどしないのですが、
編み物、縫い物は昔から得意でした。
既製の服が着たい!なんて、
今思えばとんでもない願いをもっていた子ども時代の私。
つい、先日、母が「やっぱりこういうのを作ることで
皆様の役に立てたら・・・」と言い出しました。
私たちが生まれる前は、近所の方やお友達に依頼されて
作ってさしあげて、お金を頂いていたのだそうです。
よーく編み物はやっていましたが、それは初耳でした。
先月、田中数人さんのパーソナルカウンセリング
を受けて、
純銀+水晶を身につけるようになったから・・・かしら。
…といっても、そうそう物事は綺麗にばかり進むものではありません。
母は、つい最近、昨今の荒らくれた大和魂による
あまりに心なき行為の被害にあいました。
母は熟年別居しておりますから、
70を過ぎた今でも細々と働いて、
なんとか暮らしを繋いでいます。
銀行を出て駅に向かい、駅の階段を上りきったところで
誰かにぶつかられ、転倒。
周囲の人がとっさに荷物を拾い上げてくれたけれど、
恥ずかしいやら、痛いやらで
早々にその場を去ってしまった。
が、あとで気づいたら、かばんの中のお金を入れた封筒はなかった…。
ああ、そういうことか。
親切にすぐ近寄ってきた人は、そうだったのか。
緊張感がとれてみたら、体のあちこちは痛いわ、
悲しいやら、悔しいやら…。
過去の事業の失敗などで未だ借金のある身、
その時に、私たち子どもたちには
さんざん迷惑をかけていると思っているので
できれば、自分でなんとかしたいと思う母です。
そんなふうに途方に暮れているときに、宅急便が届いた。
こんなジュエリーが届くことさえ忘れていた。
それは、失意の底から這い上がる力を与えてくれるかのような美しさだった。
* * *
先日の「作ってみようと思う」と言った母の言葉からは
今まで感じたことのなかった「揺るぎのなさ」がありました。
今、書いていてこんなにも涙が溢れてくるのは、
自分を主語に生きられなかった世代の母が
自分を主語に、自分の意思を表明したそのすがすがしさに
私が感動しているからなのでしょうか。
そして、転んでも転んでも立ち上がる人間の強さに
胸をうたれるからなのでしょうか。