あの人の一歩。
この子の一歩。
足跡がつながって【一本の線】になるのはいつになるだろう?
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首都ダッカ滞在の最終日、現地のNGOエクマットラさんの設立者のひとりである方から、お話をうかがう機会をいただいた。
エクマットラの語源は
エク(一本)+ マットラ(線)
『自国バングラデシュのため、格差に関係なく共有できるものがあるはず』
『裕福な人が見ないふりをしている事実を啓発していくことで、格差を縮めたい。その結果、裕福な人と貧しい人が歩み寄って、【一本の線】を作ることができたら』
そんな願いのこめられた名前だそうだ。
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アジア最貧国と言われるバングラデシュでも、富裕層はとても裕福でエリートだ。日本やアメリカなどいわゆる先進国を知っている彼らの中には
「バングラデシュは嫌いだ」
バングラデシュの貧困は「恥ずかしい」「自分には関係ない」
と言う人もいる。
アジア最貧国という現状に対して何をしたらよいかわからないのかもしれない。
さて
私は「先進国が途上国に何かしてあげよう」なんてこと考えるよりほかにもできることがあるのではないかと思った。
上から目線の支援やいわゆる「先進国」モデルの押し付けはいらない。
バングラデシュ人の目線に立ち、寄り添い、対話をする中で意識を変えていくことができれば、バングラデシュ人は自分たちの手で国を変えていこうとするだろう。
例えば、エクマットラでは、今日一日の生活費の稼ぎ手として子供が必要だから、学校があっても、通わせたくないと考える親が多いことに目を付けた。
その親たちと話しながらまず啓発を行うことで、少しずつ子供たちへの教育を根付かせようとしているのだ。
このように、時間はかかるだろうが、意識が変わり、行動が変わり、国が変わる。
そんな姿を私は見てみたい。
え?理想論だって?
根拠はある。
それは実際にバングラデシュで触れた人の温かさだったり
物質的な貧しさを補う精神的な強さだったり
もっともっと幸せになりたいという勢いだったり
そしておせっかいなくらいの親切心だったり。
もしこの人たちがひとつの方向を見て【一本の線】を作ろうとしたら・・・
そう考えると楽しみで仕方がない。
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あの人の一歩。
この子の一歩。
足跡がつながって【一本の線】になるのはいつになるだろう?
とりあえず、私も歩き続けてみよう。
自分にできることを探しながら。
【文責:渉外局1年 五艘志織】