今の国会では法案の審議がなかなか進みません。
特に安全保障の法案がひどいですね。
それに対して安倍首相は「丁寧な説明を心がける」と言っていますが、本当にそのようになっているのでしょうか。
世論調査でも「そうは思わない」との回答がかなり多いとのことです。
「丁寧な説明」を「国民に理解して納得してもらう」ことが目的だということだと考えると、ちょうど営業がお客様に商品を説明し納得して買っていただく行為と同じです。
そこでいつも述べている「四つの不」にあてはめて見てみましょう。
納得していただくためには阻害要因、「不信」、「不要」、「不適」、「不急」を解消しなくてはいけません。
国会中継を見たり、テレビや新聞で報道されているのを見てみると、安倍首相は国防の必要性を唱えているだけのようです。
どのような質問に対しても、「国を守ることが政治家の責務」といった答えしか返ってきません。
これは「不要」を解消しようとする答えです。
しかし、そのほかの三つの要因についての答えは何も出てきません。
一つづつ見てみましょう。
まず、「不信」です。これは解消しようとするどころか、首相自らがヤシを飛ばして陳謝するなど、自らが信頼を損なう言動が目立ちます。まったく「不信」を解消しようとの意図は見えません。
次に「不適」ですが、なるほど国を守ることは必要だとしても、この法案しか方法がないのかどうかわかりません。いろいろな選択肢を示したうえでこれが最適であるとの説明が必用です。まず、結論ありきの説明では「不適」を解消することはできません。さらに憲法学者などから「違憲」との声もあがり、逆に「不適」であることが立証されてきている有様です。
最後に「不急」ですが、安倍首相が米国会でこの夏に法案成立と明言しましたが、なぜ今なのかは国民には示されていません。
どうも阻害要因を解消するとの意図がまったく感じられません。
結局は数の力でゴリ押しをするのではないかという心配が芽生えます。
営業でもお客様に納得していただかないまま、取引の力関係や政治的な力で買っていただいても、ご満足はいただけません。長期的な商売にはかえってマイナスです。
こんなことを続けていれば安倍首相も思わぬところで足元をすくわれるのではないでしょうか。
少なくとも「丁寧な説明」とはとても言えない状況ですね。
参照: 2014-02-02 「負けに不思議の負けなし」 なぜ買っていただけないかを考えよう
2014-12-12 強引な営業