強引な営業 | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

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3K(勘、経験、気合)で語られる営業ではなく理論的に体系だった手法により、第一線のセールスのスキル向上とともに適切な部下の指導や業績管理を行い会社に貢献できる管理職、経営者の一助となる。

最近政治の世界を見ているとやたら強引な手法が目につきます。
典型的なのは安倍首相と橋下大阪市長ですね。

自分の意見に固執し、他人の意見に耳を傾けない。その意見を通すためには法律や手続きに違反しなければどんな手法も使う、そんな感じがします。
民主主義 = 多数決 と思っている人も多いようですが、民主主義のスタートは多くの人の意見をとりあげ議論していくことだと思います。
自分の意見に信念を持つことは大事なことですが、他の人の意見も十分議論した上で良いものは取り入れる態度が必要です。
橋下さんは最近空回りが目立ちますが、安倍さんはどうなるのでしょう。今回の総選挙によってはさらに強引さが加速するのではと心配しています。

営業にも非常に強引な手法を用いる人がいます。
多くの営業が担当者としかコンタクトしない為になかなか買っていただけない、あるいは競争に負けるということを何度か書きました。
そのような営業にはデシジョンメーカーである上位の人にアプローチすることが重要であることを理解してほしいと思います。
しかし、上位のデシジョンメーカーへのアプローチの効果を実感するあまり、上位の人ばかりにアプローチをする病に陥ってしまう営業も出てきます。

いわゆる「トップ・ダウン・アプローチ」です。
これは非常に効果的な手法です。
しかし使い方を誤るととんだしっぺ返しをくらいます。
お客様の担当者を飛び越して、トップすなわち社長や役員に直接はたらきかけ商談を決めてしまいます。
トップが決めたことに担当者は反論はまずできません。契約につながります。

しかし実際に商品を納め使っていただく段になると、軋轢が生じます。
だいたい現場の意見が反映されていないため、使い勝手が悪いとか効果が乏しいとかの状況に陥ります。さらにそのようなトラブルの状況に陥った時に担当者は非協力的になりがちです。担当者は無視されたわけですから、感情的にしこりが残っています。

私が経験してきたIT業界では新規顧客の獲得にこのようなトップ・ダウン・アプローチの営業がしばしば成果をあげます。
他の業者のユーザーですから担当者は他社のシステムに精通しておりなかなかアプローチが難しいので、トップに直接アプローチして一気に決めていただくのは確かに効果があります。
しかし、1年後2年後になるとプロジェクトは失敗し、お客様との関係も悪化します。

ところがこのような新規獲得に強い営業はその時はもうすでに他の新規獲得に向かっていて、このお客様の担当からは外れています。
そしてこの新規顧客獲得が得意な営業は、また新たなお客様を同様の手法で獲得します。しかし2年後にはまたお客様との関係が悪化してしまいます。その時にはもう担当をはずれています。
このような営業は成果をドンドンとあげるので高い評価を得、大きな収入を得ます。しかし会社にとっては獲得したお客様をまた失ってしまい、結局は何の利得もありません。
それがわかってくるとこの営業は会社にいづらくなり、転職します。
このような営業を何人も見てきました。そして転職後も同じことを繰り返し、結局何度も何度も転職を行い、そのうちに消息不明になってしまう人もいます。

強引な手法は長続きしません。麻薬のようなものです。
「トップ・ダウン・アプローチ」は有効な手法です。しかし中毒になってしまってはいけません。
基本はあくまでも多くの人の意見や要望をくみ上げることです。
それによってお客様にとって本当に良い提案を行うことができ、長期的な信頼関係を築くことができるのです。