【かとうぎ桜子の質問】

特別支援教育について伺います。

障害者権利条約の批准のため、国は障害者施策についてさまざまな検討をしています。文部科学省には「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」が設置され、今年の2月には「合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ」が報告をまとめています。

昨年改正された障害者基本法では、第16条第1項に、「国及び地方公共団体は、(中略)可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない」と書かれており、練馬区としても積極的に障害のある子への教育の支援の充実を図らなければなりません。そこで以下、質問します。

★まず、国の特別支援教育の在り方に関する特別委員会での議論の内容を区としてはどうとらえているのかをお聞かせください。

★2011年度、中村橋福祉ケアセンターを利用していた50名のうち、26名のお子さんが普通学級に進学されたとうかがいました。また、就学相談を受けて特別支援学級等への進学が適していると判定されても普通学級への進学を選択される方も少なからずいらっしゃるとうかがいました。
普通学級に進学をした後に、その子が地域の学校で友人を作り、充実した学校生活を送るための支援が必要と考えますが、現在、区として、普通学級に通いたい障害のあるお子さんへの支援をどのように行っているかをお聞かせください。

★「合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ」の報告の中には、合理的配慮について学校側と本人・保護者の意向が一致しない場合には、第三者機関による解決が望ましいと書かれています。
また、普通学級に進学する際の支援のほかにも、放課後の生活、将来の生活など、何を選択するのがその子にとってもっとも望ましいか、本人・保護者に寄り添って情報提供し相談を受ける体制が必要と考えます。

国の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」では、第三者機関の役割を都道府県や市区町村の教育委員会に持たせられないかという観点から議論をしているようですが、教育委員会では第三者の役割は果たしづらいだろうという異論が出ているようです。
区としても、より第三者的立場から支援できる方法を検討すべきですが、ひとつには、今年度中に開設する予定のこども発達支援センターで、様々な相談支援が可能になるのでしょうか。また普通学級での生活における合理的配慮を進めるためにスクールソーシャルワーカーを置くことが有効と考えますが、お考えをお聞かせください。

★子ども分野が教育委員会に移ることに関連して、教育委員会の中の子どもの福祉的な支援にかかわることは保健福祉サービス苦情調整委員への申し立ての対象になるということですが、普通学級における日常生活の中で実際に合理的配慮が行われない場合の調整として、苦情調整委員が対応していくことができるのか、考えをお聞かせください。


【教育長の答弁】

特別支援教育についてであります。

平成22年7月に設置された特別支援教育の在り方に関する特別委員会では、障害のある子もない子も共に学ぶインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進について、多方面から検討が進められ、現在、取りまとめの作業が行われている段階であります。
特別支援教育において、インクルーシブ教育システムをどのように進めていくかは、就学相談のあり方、教育環境の整備および教職員の専門性の向上等、多くの課題があると認識しており、今後、策定される国の方針等を注視してまいります。

教育委員会といたしましては、これまでと同様、可能な限り保護者の意向を尊重しつつ、子供の可能性を最大限に伸ばし、生活や学習上の困難を改善または克服するために、きめ細かい教育を行ってまいります。

次に、通常学級に通いたい障害のある児童生徒への支援についてであります。
教育委員会におきましては、就学相談の際に児童生徒の状況を的確に把握した上で、保護者の意思を尊重し就学先を決定しています。就学後は、配慮を要する児童生徒の学習や生活への支援を目的として、平成21年度から非常勤職員として学校生活支援員を設置しております。配置人数を毎年徐々に増やしており、今後も児童生徒の状況に応じて適切に配置してまいります。

また、学校では個々の児童生徒の実態に即して、個別指導計画や保護者とともに個別の教育支援計画を作成しております。これらの計画に基づき、障害の状況や指導の仕方について全教員が共通理解し、同じ考え方で成長を支えるよう努力しています。

教育委員会といたしましては、このような取組を継続・充実するよう引き続き学校に働きかけてまいります。

なお、スクールソーシャルワーカーの設置につきましては、通常学級における障害のある児童生徒一人一人の障害の状態や必要とされる教育的ニーズなどを総合的に把握し、適切な支援を行う上で有効であると認識しております。今後、学校教育支援センターを整備する中で、課題を整理しながら検討してまいりたいと考えております。


【福祉部長の答弁】

(仮称)こども発達支援センターについてであります。

(仮称)こども発達支援センターでは、これまで心身障害者福祉センターで行ってきた事業を移管・拡充し、地域の障害児の中核的支援施設として、相談・療育事業、家族・地域支援事業、障害児支援ネットワーク事業等について、こどもの成長段階に応じた支援を実施する予定であります。学校側と本人・保護者の意向が一致しない場合の第三者機関的な役割を担うことは想定しておりませんが、進学する際の支援や、放課後の生活、将来の生活などに関わる相談については、適時、必用性等を判断しながら実施してまいります。

次に、保健福祉サービス苦情調整委員会についてであります。
保健福祉サービス苦情調整委員会は、これまでと同様に、福祉的な支援に関わる案件については申し立ての対象であり、具体的な事例ごとの判断により対応しております。


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【コメント】

障害のある人にどう接したらいいのかは、身近に障害のある人がいなければなかなか分からないものです。
でも、障害のない人が学校に通っている限りにおいて日常的な生活の中で障害のある友達が身近にいる体験ができないというのが、現状かと思います。

車椅子を利用している人、視覚障害のある人など、私たちが見てすぐに障害があると分かる人であっても、慣れていなければどう声かけて良いのか、手伝って良いのか分からないということがあると思いますが、発達障害、知的障害、精神障害、聴覚障害などは一見すぐに障害があると分かるわけではないことによる困難も抱えていると思います。障害のある人は、街中で障害のない人からの無理解による嫌な思いをすることが多いと思います。

無理解による嫌な思いは、障害のない人にとっても嫌な体験ですから、お互い快適に暮らせる社会を作るためには、子どものころから一緒に過ごす環境を作る必要があると思います。

現状では、普通学級に入学することは拒否はされることはないものの、まだまだ十分な配慮がなされているとは言えないので、保護者がすごく頑張らないと普通学級に通い続けるのが難しいということはあるのではないかと思います。
一方で、障害のある子のケアについて、お母さんにかかる負荷がとても大きかったり、一人親だったり、経済的にかなり厳しいといった場合は、普通学級に通わせるために闘うことはできない人もたくさんいらっしゃると思います。

保護者も子ども自身も過度な負担を感じずに普通学級に通う環境整備が必要です。


また、障害のある子を丁寧に見る物理的余裕がない学校というのは、障害のない子のこともじっくり見る余裕がないということでもあると思います。
障害のある子が通いやすい学校は、障害のない子にとっても通いやすい学校になるのではないかと思います。
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【かとうぎ桜子の質問】

介護予防事業の実績と今後について伺います。

もともと介護保険では要介護認定の「非該当」として対象にならなかった高齢者を一般高齢者・特定高齢者と位置づけて始めた「介護予防事業」は、2006年の介護保険の改定から加えられたものですが、対象となる人の利用が進まないなどの課題が指摘されているところです。

私は、本来、介護保険は介護が必要になった方が使う保険制度であり、要介護認定で非該当となる高齢者の介護予防については保険とは別に、高齢者福祉の観点から、バリアフリーや居場所づくりなども含めておこなっていくべきものであり、予防を介護保険制度に組み込むことは制度の分かりづらさにもつながっていると考えています。
そこでうかがいます。第4期における介護予防の実績について区としてどうとらえ、第5期においてはどう取り組もうと考えているか、区のお考えをお聞かせください。

今回の介護保険法改正で、「介護予防・日常生活支援総合事業」が新設されました。これは要介護認定で要支援となっている方と、要介護認定は非該当である旧・特定高齢者、2次予防対象者が利用できるものにしていくということです。

要支援の方は、訪問介護などの介護予防給付を利用するか、介護予防・日常生活支援総合事業を利用するかを選択できるようにするということですが、この新しい事業は、本来介護保険では非該当と言われる方と要介護認定を受けている方とが混在して利用するものになり、介護保険の分かりづらさをさらに助長するものになるのではないかと危惧します。

また、介護の支援が必要だからと認定を受けている要支援の人を介護保険の給付から外していくことにつながるのではないかという懸念の声もあります。
制度的な課題もあり、現場の心配の声もありますので、この新たな事業を始めるのには慎重であるべきと考えますが、区のお考えをお聞かせください。


【福祉部長の答弁】

第4期における介護予防の実績については、区民との協働による介護予防キャンペーンの充実などにより、第3期の課題であった介護予防の必要性の普及啓発に一定の成果をあげたものと考えております。

第5期につきましては、これまでの成果を踏まえ、高齢者が気軽に継続して介護予防に取り組めるよう、事業の名称やプログラムの内容を見直しております。今年度の初回分の事業への申込は昨年度を大きく上回っており、今後も、介護予防の推進に向け、高齢者が関心を持ち参加意欲を喚起する事業を積極的に展開してまいります。

次に、介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、サービスに対する需要や事業者の動向、財源等の観点から、事業実施の必要性を検討してまいります。

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【コメント】

質問の本文に書いたことですが、今、介護保険のなかに介護予防事業というものがあってなかなかサービス利用が進みません。介護認定を受けてはいないけれど弱っている高齢者を「特定高齢者」という呼び名をつけた、その名前が悪いんじゃないか、なんていう話もありますが、私はそういう問題ではないと思います。

そもそも保険の中に「予防」というのが入ることじたい分かりづらい。
たとえば、自動車保険は自動車事故が起きたときに出るものですが、「事故が起きてからお金を出すのではお金がかかるから、事故を起こす前の予防にお金を出しましょう」と言い始めたとしたら、なんだかよく分からないではないですか?

先日、介護保険について考える研修に参加したのですが、その中で、「小泉構造改革で福祉にもお金が出せなくなったので、お金がなくてできなくなった事業を介護保険のほうから捻出させるために作られたのが介護予防事業
なんじゃないか」という意見が出ていて、そう理解した方がすっきりするんじゃないかという気が私もしてしまいました。


また、要介護認定を受けている人の中で比較的軽い度合いである「要支援」を介護から切っていこうという動きがずっとあります。「比較的軽い時からヘルパーなどを入れるから余計に介護が重くなるんだ」という意見もあるようです。

その流れとして「介護予防・日常生活支援総合事業」というものを始めて、「特定高齢者」と「要支援」をごちゃまぜにして、そのうち要支援を切っていくつもりなのではないかと心配されているところです。

でも、たとえば認知症の初期の段階で、身体的には元気であるという人は介護度が比較的軽く出がちですが、身体が元気な分、外にひとりで出かけて帰ってこられなくなってしまうなど、家族の負担は大きいのです。
だから、介護認定が比較的軽く出るからといって、必ずしも楽な状態なわけではないのです。


答弁の内容を見ると、「介護予防・日常生活支援総合事業」を始めることには慎重なようですが、現行の介護予防については制度上やらざるを得ないので、やるからには良いものにしようと努力している、というのが区の姿勢というところでしょうか。
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【かとうぎ桜子の質問】

今年度でホームヘルパー1級、2級研修がなくなるという問題について伺います。

ホームヘルパー1級、2級の研修は今年度いっぱいで終了し、来年度からは新たな研修課程に変更されると伺っています。これは、従来のヘルパー養成課程が、1級・2級のほか、介護職員基礎研修や介護福祉士の資格など、複雑になっていたため整理をし、初任者研修・実務者研修を経て介護福祉士というように、経験を積むほどに、より上位の資格をとるという展望の描きやすい体系へと変更することを趣旨としているようです。

今年2月に行われた厚生労働省の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」の資料によると、新たに設立される「(仮称)初任者研修」は、ホームヘルパー2級と比べて研修時間は変わらないものの、カリキュラムが変更され、また修了時の評価を実施するというものです。

ここでやはり心配されるのは、先に述べたサービス提供責任者の問題と同様に、新たに研修を受け直さなければ報酬の減算になるかどうかという点です。厚労省の資料によれば、すでにヘルパー1級、2級等の資格を取得している人は今後も続けられると記載されていますが、今後、報酬減にはならないという確認が取れなければ、人材不足がさらに深刻化するのではないかと、不安の声が現場から聞かれます。

そこで伺います。

★この問題について、区はどのようにとらえているのか。将来的にも報酬減にはならないという確認が取れているのか、事実関係をお聞かせいただいた上で、区としての見解をお聞かせください。

★また、障害者自立支援法の重度訪問介護の場合、重度訪問介護従業者養成研修を修了した介護者などが従事をしているケースもあります。
ヘルパー研修の変更は介護保険だけではなく障害者サービスへの影響もあるものですが、今回の研修体系の変更によって障害者分野への影響はあるのでしょうか。重度訪問介護従事者研修はヘルパー1,2級研修の終了の動きとは関係なく今後も継続されるのか。報酬への影響はあるのか。まずは把握している事実関係をお聞かせください。

また、当該の障害者サービス事業所に対し、情報提供と意見交換をする必要があると考えますが、区としてどのように取り組まれているかをお聞かせください。

★介護従事者の質の向上は、介護サービスを利用する当事者の人権の観点から重要なことですが、処遇改善のとりくみがなされてもなお実態としては他業種に比べてまだまだ賃金が低い中で、お給料の改善よりも資格の水準アップを先行することはさらなる人手不足を招くおそれがあり、国の動きは拙速であるといわざるを得ません。

介護人材の確保のため、区はこれまで介護人材育成研修センターへの支援や面接会の開催など、区としてできる範囲でのとりくみを進めてきたわけですが、今後の国の動きによってはこれらの努力も無になる心配もあります。まずは現場の声を区として聴取し、保険者として国の制度設計に声をあげていくべきと考えますが、区としてのお考えをお聞かせください。


【福祉部長の答弁】

訪問介護員養成研修課程の変更についてです。

今回の訪問介護員養成研修課程の改正は、今後の介護人材の育成の道筋を簡素でわかりやすいものにすることを主な目的として、国が見直しを図ったものです。
従来の2級課程は、平成25年度から初任者研修課程へと移行することになりました。なお、国は、2級課程の修了者については、初任者研修終了者として引き続き業務に従事することが可能であり、研修を受け直さなくても、報酬の減額にはあたらないと説明しています。

次に障害福祉サービスについてであります。
障害福祉サービス事業所は、介護保険事業を併せて行っていることが多く、訪問介護員養成研修課程の変更は、障害福祉サービスの質の向上に寄与すると認識しております。重度訪問介護従事者研修は、介護職員またはその予定者を対象としており、来年度も実施すると東京都から聞いております。

また、今年度の障害福祉サービス等の報酬改定においては、訪問介護員養成研修課程の変更による影響はありません。事業所への情報提供については、必要に応じ、障害福祉サービス事業者連絡会等を通して、実施してまいります。

次に介護職員の質の向上にむけた取組についてであります。
まず、介護職員の処遇見直しについては、介護職員処遇改善加算の創設や、地域区分の見直しにより、一定の配慮がなされたものと考えております。
区では、介護サービス事業者連絡協議会やケアマネジャー連絡会などでの意見交換を通じて、改定内容について説明するとともに、介護職員の声の把握に努めてまいります。今後も、介護サービスが円滑に提供されるよう、必要に応じて国や東京都に要望してまいります。

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【コメント】

詳しい内容は、今年2月にあった厚労省の全国介護保険・高齢者保健福祉担当者会議のこちらの資料 に書いてあるのですが、ヘルパー1級、2級の研修が今年度いっぱいでなくなるということで、現場に与える影響が心配されるので質問をしました。

私もヘルパー2級の資格を持っていますが、たしかに資格取得の課程には課題があるとは思っていました。

現場の見学の時間も含めて130時間のカリキュラムをこなせば、最終の筆記試験などもなく資格をとることができます。つまりは10万円程度の授業料を払って出席さえしていれば取れてしまうわけです。

130時間のうち、30時間が現場の見学の時間です。つまり4日くらい。

ちなみに、教員免許をとる大学生がその前段として介護施設や特別支援学校などで「介護等体験」をすることが課せられていますが、この体験の日数は7日間。

これから介護を仕事にするヘルパーの学校に通っている人の現場研修が4日間で、教員免許を取る人が7日間って、何か変ではないかと思ってました。

場合によっては人の命にもかかわる仕事なのですから、せめて講義の内容を覚えているかどうかの確認をする試験をするなど、自動車運転免許を取るのと同程度の難易度はあるべきだろうと思いながら資格をとりました。


今回、新たな研修に変わるにあたっては、現場見学は必ずしも増えるわけではないようなのですが(厚労省に電話をして聞いてみたら、現場見学にどのくらいの時間をとるかは都道府県や事業所が決められるということでした・・・)、受講生同士のグループワークなど演習の時間を増やすことと、修了時の試験をやるということです。


カリキュラムの内容を充実させていくことは大事だとは思うのですが、実態としてはヘルパーの人手不足があるわけで、本当に今までのヘルパーが報酬を減らすことなく働けるかどうかを確認したくて質問しました。




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介護人材の問題については、サービス提供責任者のことと、ヘルパー研修のことを質問しました。
いっぺんに書くとややこしいので、まずはサービス提供責任者のことを書きます。

サービス提供責任者というのは、訪問介護のサービスを提供するときに、そのヘルパー事業所と利用者の契約に関わったり、ヘルパー派遣の調整をしたり、ケアマネと連絡をとって調整をしたりする仕事です。基本的にヘルパー1級以上の資格を持っていなければなれないものですが、2級資格でも3年以上の実務経験があればやることができました。しかし今年度から、2級資格しか持っていない場合は報酬が減算になるという問題です。

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【かとうぎ桜子の質問】

介護人材の確保について伺います。
今回の介護報酬の改定で、ヘルパー2級資格を持ったサービス提供責任者については、報酬を1割減算することになりました。
今年度中に介護福祉士やホームヘルパー1級などを取得する見込みがあることを条件にして1年間は減算を行わないという経過措置は設けられていますが、特に在宅介護については、人手不足とパート等での対応、低い賃金という現実がありますので、新たな研修の受講の負担が増えてしまうと、費用や労力の負担が重く、サービス提供責任者の離職が心配されます。

キャリアアップのインセンティブであれば、2級の報酬減ではなく、1級以上の資格取得者の報酬増という形もあり得るわけで、国の方法には疑問を感じます。
そこでお聞きします。

★区として、このサービス提供責任者の報酬の減算の問題について、現場の実態をどのように把握しているでしょうか。また、この問題について区としてはどう考えているのかをまずお聞かせください。

★二点目に、研修への支援など、区として2級資格でサービス提供責任者をやっていた人たちの離職を防ぐための支援策についてどうお考えになっているか、お聞かせください。

【福祉部長の答弁】

サービス提供責任者の報酬の取り扱いについてです。

今回のサービス提供責任者の報酬改定は単に報酬の引き下げを目的としたものではないと受け止めております。サービス提供責任者が、利用者に質の高い介護サービスを提供することができるよう、「介護福祉士」資格の取得に努めることを促すため制度改正されたものと認識しております。

なお、「介護福祉士」の資格取得に向けた研修の実施などについては、練馬介護人材育成・研修センターと協議を行っているところであります。

新しいキャリアアップの仕組みが、離職にむすびつかないよう適切な情報提供や制度改正内容について、丁寧に説明を行い、介護職員の声を聴いてまいります。

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【コメント】
単に報酬の引き下げを目的にするものではない、というのは当然のことなのですが[emoji:e-263]

前回紹介したヘルパーの生活援助の時間の引き下げもそうですが、ヘルパーの働きづらさがさらに進むのではないか。そうすると離職が増えて利用者にとって使いづらくなるのではないか・・・心配です。

ひとまず区としてできることとしては、答弁にもあるように研修センターでの研修の充実と現場の声を聞くことかと思います。
これから数回にわたって、6月5日に私がおこなった一般質問の内容をご報告します。

「私の質問」「行政の答弁」「私のコメント」という順に書いていきたいと思います。

今回は、介護保険の問題のうち、この4月におこなわれた介護報酬の改定についての質問です。

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【かとうぎ桜子の質問】

介護保険が本当に介護の必要な当事者や家族にとって使いやすいものになるように、保険者であり身近な自治体である区が声をあげていかなければなりません。
声をあげるためにはまずは実態をしっかりと把握し対応を考える必要があります。

まず、今回の改定で訪問介護の生活援助の報酬区分が変更になった点について伺います。

今まで、家事を中心に行うヘルパーの「生活援助」は「30分以上60分未満」と「60分以上」という2区分がされていましたが、今回の改定で「20分以上45分未満」と「45分以上」に変更されました。

家事をするのに長い時間は必要がないというのが国の判断のようですが、これは自宅で、地域で、介護が必要になった人が自らの意志で「生活」することを軽視し、当事者を主体においたヘルパーの動きを阻害するものと私は考えます。

私自身も議員になる前はヘルパーをやっていましたが、訪問した際、ご本人のその日の体調ややってほしいことをお聞きし、お話をしながら掃除、洗濯、調理などをするのは、単に事務的にヘルパーがやりやすいように家事をこなすよりも長い時間を要します。

ヘルパーが利用者と話をする時間を持つことは、利用者の孤立予防やうつ状態の改善にもつながるものですから、大切な役割です。ところが、ヘルパーが時間に追われるようになると、利用者の声を十分に聞き取った上でのケアが行えなくなります。定められた短い時間の中で仕事をこなさなければならない、という役割と、じっくり話を聞いてほしい利用者の間に立たされたヘルパーは、利用者の話に耳を傾ける余裕が無くなり、なんとか利用者からの話を短時間で済ませて仕事をこなさなければならないというところに重点を置きかねません。

本来、在宅での生活は、介護が必要になった当事者が自分の意志で自分の生活を組み立て、それをケアマネジャーやヘルパーが支援するということが基本であるにもかかわらず、時間制限のためにヘルパーが利用者の意志を確認できなくなることは、人権侵害といえます。

そういう点からも、45分という時間への変更が現場にどのような影響を与えたか、保険者である区は責任を持って実態把握に努めなければなりません。


また、今回の改定では、デイサービスの利用時間の見直しも行われました。たとえば今までは「6時間以上8時間未満」と分類されていたものが「5時間以上7時間未満」または「7時間以上9時間未満」に変更されました。
国は、本人や家族の状況にあわせて、短時間のケアが望ましい人は7時間未満を選択し、長時間のケアが必要な人は7時間以上を選択すれば良いと考えているようですが、事業者側は今までよりも報酬が減れば運営が厳しくなりますので、長時間化する傾向があるのではないかと予想できます。

特に認知症の高齢者の場合、長時間にわたるデイサービスでのケアが辛く、「帰りたい」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。デイサービスの利用時間が制度的に長時間化することによって利用者の心身の負担が重くなる懸念があります。
また、「7時間以上9時間未満」のサービスが提供された場合、準備時間等を含めると従事者の労働時間が8時間を超える場合も出てきますので、時間によるシフトを組む必要が出てきます。これもまたデイサービス事業者への大きな負担になりかねないものです。
デイサービスの時間の設定が、利用者・家族のニーズをふまえた形で行われているのか、単に報酬の都合で決められる傾向にあるのかという点は非常に重要な問題であり、区として実態を調査する必要があると考えます。

これらの改定による影響が実績として見えてくるのはこれからですが、以上指摘した問題点をふまえ、区には次のような点での現場の声の吸い上げと国への要望をするように求めます。

★まず、訪問介護とデイサービスの報酬区分の変更によって、現場にどのような影響を与えたか、事業所への聞き取りのほか、介護人材育成研修センターの受講生への聞き取りなどの方法で実際に日常的に高齢者と接する従事者からの声も聞く形で現場の実態調査をすべきであると考えますが、区のお考えをお聞かせください。

★また、ヘルパーやデイサービスが利用できる時間の変更によって、利用者にどのような生活上の影響が生じたか、当事者・家族への聞き取り調査もすべきです。お考えをお聞かせください。

★そして、これらの調査を通じ、見えてきた課題を保険者として主体的にとらえ、国に対して制度設計する際の現場の声を伝えるべきと考えますが、お考えをお聞かせください


【区長からの答弁】

区は、保険者として、高齢者基礎調査など各種調査を実施したうえで区内の高齢者や事業者などの実態把握に努め、3年ごとに高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定してまいりました。

今般の介護保険法の改正につきましては、国において実態調査を実施し、その結果に基づき、新たな事業メニューを加えるなど、一定の改善がされているものと認識しております。

区といたしましては、従前から財源や保険料抑制等をはじめとして、介護保険制度について、特別区長会を通じて、国や東京都に要望してまいりましたが、今後とも、必要に応じ、国や都へ働きかけてまいります。

【福祉部長からの答弁】

介護ヘルパー、デイサービスの報酬区分の変更についてです。

訪問介護の報酬区分改定については、国が生活援助について実態調査を実施し、その結果に基づき区分を変更したものと認識しています。区は、事業所への指導の際に、介護職員や利用者の声を聞くとともに、アンケート調査などにより実態の把握に努めており、改めて、実態調査等を実施することは考えていません。

次に、訪問介護などの時間区分の改定についてです。
この改定については、国のサービス提供実態に関する調査結果によるものであり、利用実態に合わせて改定されたものと認識しています。サービスの利用は、利用者の希望、心身の状況などに応じてケアプランに基づいて行われますので、利用者の状態に応じたサービスは提供されており、区が実態調査を行うという考えはありません。

一方、区は保険者として、今後想定される団塊世代の高齢化などに伴い、介護施設整備等の推進や、介護サービスが必要な区民への適切な給付の提供などについて、国や東京都に必要な要望を行ってまいります。

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【コメント】

この項目の答弁が、今回の私の質問に対する答弁の中で最もひどい答弁であると私は考えています。
「国がすでに調査をした上で決定しているから区はやらない」と答えているわけですが、国の言うことを鵜呑みにすることなく、国が言っていることが本当に現場の実態に即しているのか、声を聞いていくのが自治体の役割じゃないかと私は思うのです。

国がすでにやった調査は区としてはやらないなんて、地域主権には程遠い考え方です。

国がやった調査というのは、こちらの資料 の3,4ページにあるものです。(これは、社会保障審議会・介護給付費分科会の資料)

資料を見て分かるように、これは、厚労省からお金をもらって調査会社がおこなった調査結果です。一調査結果であることを考えれば、調査のしかた次第で違う結果が出るかもしれません。(もしかしたら、厚労省は、自分達が持っていきたい結論に近い調査をわざと引用している可能性だってないとはいえません)

だから、練馬区の介護の現場から改めて実態調査を行うのは十分意味があることだといえます。


また、この資料の中には「生活援助については複数行為を組み合わせて行われることが多いが、一つの行為は15分未満ですむ場合もあり、組み合わせによっては30~40分程度になる。」と書かれており、これが「生活援助は45分でいいだろう」という根拠になっています。

でも、よく読めば、「一つの行為が15分ではすまない場合」も「組み合わせによっては30~40分程度になるけどもっと長くなる場合だってある」と言っているということも分かります。

「45分を過ぎたって、サービス提供してはいけないわけではない」と国は言うのでしょうが、45分以上を過ぎれば1時間やろうが2時間やろうがまったく報酬は増えないのだから、事業所ができるわけがありません。


区にはもっと保険者としての自覚を持って、高齢者の生活の実態を見てほしいものです。