EGOISM / ElDorado | 安眠妨害水族館

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EGOISM/ElDorado

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1. EGOISM
2. サーカス
3. SANATORIUM
4. MISERY
5. DESTINY
6. 黙示録
7. 砂の王国

ElDoradoの1stミニアルバム。
2001年の作品です。

初回盤3,000枚を売り上げ、後に2nd Press盤を5,000枚をリリース。
こちらには「CHAIN GANG」が追加されています。
また、「EGOISM」と「CHAIN GANG」が、「弟切葬」に差し替えられた3rd Press盤も、メンバーチェンジ後に全編リテイクのうえ発表されました。
「EGOISM」がカットされたのは、SEだからということもあるのだろうけれど、その時点で脱退していたGt.Ruliさんが作曲していたという事情もありそうですね。

何度も再発されたり、個々の楽曲も以降の作品でリテイクを繰り返されたことからもわかる通り、本作はElDoradoの原点とでも言えるでしょう。
ダークでハードな楽曲あり、幻想的な白系ナンバーありと、音楽性が定まっていない部分もあるのですが、コテコテ、王道、どこを切り取ってもヴィジュアル系!という内容になっている。
特別強い個性を持っていたわけではない彼らが一気にブレイクまで至ったのは、この"かゆいところに手が届く"感覚に他ならないのですよ。

粗削りながらも、彼らの音楽性にハマっていたVo.KAEDEさんの歌声と、メインコンポーザーであったBa.瞬介さんの描くファンタジックな世界観。
彼らの武器は、何と言ってもこのコンビネーションであり、どんなタイプの楽曲が送り込まれても、"こういうのを待っていた!"と興奮してしまう。
初となるCDではありましたが、このカタルシスは、シーンに大きな衝撃を与えました。

それぞれの楽曲は、再録バージョンと比較すればクオリティは低いと言わざるを得ない。
音も厚くはないですし、ボーカルもやや苦しそう。
だが、やはり初期衝動というものは侮れないもので、それでも本作で聴くのが一番、という楽曲も少なくない。
その後の作品を集めてしまえば、楽曲の網羅性の観点からは必要ないアルバムになってしまうのですが、それでもこの「EGOISM」は聴いておいても良いのでは、と思ってしまうほどです。

ダークで退廃的な「サーカス」、激しく煽る「SANATORIUM」、疾走感のあるメロディアスチューン「MISERY」、幻想的な「DESTINY」、ハードさとマニアックさが融合した「黙示録」と、佳曲揃いではあるのだが、代表曲である「砂の王国」がとにかく素晴らしい。
この楽曲を生み出したことに、ElDoradoが結成した価値があった。
そのくらいに圧倒的なインパクトを誇り、多くのリスナーを魅了したナンバーである。
「AULA」でリテイクされるバージョンではメロディが追加され、アレンジもよりファンタジックになっているのですが、バンド感溢れるシンプルなこちらのバージョンも捨てがたいので、是非聴き比べてもらいたいところですな。

メンバーチェンジ後のほうが全体的な安定感はあるのだが、ガンガン勢いに乗っていたこの頃のサウンドにあったワクワク感。
路線変更せずに、このまま突き進んでいたらどうなっていたのだろう、なんて考えてしまいます。
14年前の作品ということで、さすがに古臭い部分もあるのですが、時代が一周した今だからこそ再評価されてもいいのではないかなぁ、と。

<過去のElDorado(EllDorado)に関するレビュー>
FLYING DRAGON
AULA
如月