如月 / ElDorado | 安眠妨害水族館

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如月/ElDorado


1.如月
2.嘆きの十字架

ElDoradoが1999年にリリースした1stCT。
1st Pressは限定500本、2nd Pressは限定1,500本の生産でした。
ジャケットに変化があるだけで、収録曲に違いはありません。

この頃の編成は、Vo.KAEDE、Gt.憂、Gt.Ruli、Ba.瞬介、Dr.SHOKI。
KAEDEさんは、後に結城と改名。
Ruliさんは、脱退後、ノブ、ルリといった名義でポロリやキャンゼルに在籍します。

「如月」は、瞬介さん作詞・作曲の、ElDoradoの王道路線。
「AULA」に収録された「Univer」の原曲となります。
ハードなイントロに、コテコテなギターフレーズが絡まってきて、とても王道な疾走ナンバーとして駆け抜けていきます。
これぞ、ElDorado!といった代表曲。

「Univer」との違いは、歌詞や音質といったところは当然なのですが、Bメロの歌い上げ方に、少し変化が見られる。
こちらのバージョンでは、ファルセットで声の細さが目立ってしまうのですが、コテコテのV系ナンバーとしては、このメロディラインで再録して欲しかったかな。
また、再録バージョンではシンセが盛り込まれ、神秘的な雰囲気が増しているのに対し、オリジナルでは、生音中心の荒々しいアレンジ。
間奏での語り等から察するに、大きく表現したい内容が変わっているわけではないものの、このジャリジャリした楽曲を、よくぞあそこまでメジャー感が出るようにリメイクできたな、と驚かされます。

「嘆きの十字架」は、ツタツタダークの激しい楽曲。
作詞が楓、作曲が瑠璃名義ということで、TOMOさん加入後の、白系寄りの音楽性になってからの彼らしか知らなければ、意外性を持って聴けるでしょう。
これはこれで、当時のダークバンドシーンでは王道といった構成。
ただ、「如月」ほどのツボの押さえ方を熟知しているわけではなく、これだけであれば、シーンの中に埋もれてしまっていただろうなぁ。
シャウトっぽく声を張り上げ、笑い声と鐘の音で終わるラストシーンは、現代であればネタになってしまうくらいのベタベタなギミックですね。

このElDoradoも、時代とともにスタイルを変えていったバンドでしたが、スタートはここから。
今となっては、普遍化、陳腐化は否めないものの、「Univer」ではなく、「如月」が聴きたくなることもあるわけで。
ブレイクしたのは、白系路線に切り替えてからでしたが、この編成でコテコテの王道を貫いていた時代のファンも、案外多いのですよ。

2nd Pressが作られすぎた感があり、そこまで手に入れにくい作品ではなかったはずですが、そもそもデモテープを取り扱う店がなくなってきている中、見かけなくなったのは寂しい限り。
残念ながらメインコンポーザーが他界してしまったため、難しいところはありそうですが、復活ニーズも強いバンドなんですけどね。

<過去のElDorado(EllDorado)に関するレビュー>
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