ジャパニーズロウレゾ キャラメルタウン / アヤビエ | 安眠妨害水族館

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ジャパニーズロウレゾ キャラメルタウン/アヤビエ


1.ジャパニーズロウレゾキャラメルタウン
2.みみずく
3.「スキマノホシ」

2006年にリリースされたアヤビエのシングル。
AタイプはDVD付、Bタイプはボーナストラック「スキマノホシ」が追加収録。
この販売手法、最近の定番かと思ったら、もう8年前には存在していたということなのか・・・

タイトルから連想させる通り、ジャケットも和風なイラスト。
異国の日本街といった、石造りの街に和風なモチーフが溶け込んだイメージで、設定や背景を想像すると面白い。
こういうセンスが、Gt.涼平在籍時代の彼らの強みでしたよね。

表題曲である「ジャパニーズロウレゾキャラメルタウン」は、本作を象徴する和風V-ROCK。
尺八や琴などを意識した音作りになっていて、ガチャガチャとしたバンドサウンドと、フワフワとした和楽器の音色の噛み合わせがたまりません。
不思議な音階を使用する、アヤビエ節、涼平節は相変わらずに全開なのですが、この和風テイストにより、新鮮さを与えていました。
ファルセットに頼りがちなボーカルラインは、儚い美しさととるか、ピッチが不安定になるリスクをとるか、といったところなのですが、ここをきちんと歌いこなせていればなぁ。

「みみずく」は、イントロから速くてアグレッシブ。
ズタズタと響く重低音が押し出されているので、それまでの楽曲であれば、"ここでシャウトが来るだろうな・・・"と予測が付いたのですが、意外と言うか何と言うか。
シャウトに依存しないで、メロディで勝負してくるパートが増えたような気がします。
非常に攻撃性が高く、激しい楽曲なのですが、メロディアスなナンバーとして聴くこともできる。
ミニアルバム、「EquAL pRayer 2 aLL」にて、彼らなりのラウド・ロックを模索したわけですが、従来の持ち味と合わせて、上手く昇華させたといったところ。

「スキマノホシ」は、Vo.葵さんが作詞作曲を手がけたミディアムチューン。
歌を前面に押し出した構成になっていて、いかにも、ボーカリストがコンポーズを担当した楽曲と言えるでしょう。
切なくキャッチーなメロディは、違和感を武器とする涼平さんの作曲スタイルとは異なるアプローチで、このコントラストがあるからこそ、双方が際立つのかもしれません。
ネックとして、歌詞を詰め込みすぎるあまり、歌いまわしが厳しくなっている部分があるのですが、結果として、アヤビエっぽさに繋がっている気がしないでもない。

改めて振り返っても、マンネリ化しそうなところでのマイナーチェンジが上手いバンドでしたな。
新しい試みを加えながら、シングルっぽいメロディアスな楽曲、激しく攻めるハードチューン、ミディアムテンポの歌モノナンバーと、バランスのとれた作品として纏め上げる。
良い意味で、あざといです。
曲を量産するだけでなく、見せていく順番や方法について戦略を持ち込んだという意味で、アヤビエは、V系文化を変えてしまったという見方もできるのかと。

「ジャパニーズロウレゾ キャラメルタウン」の世界観は、もっと広げられそう。
これをベースにしたコンセプトアルバムなんてのにチャレンジしていたとしたら、すぐにノックアウトされていたのだろうな。
ベストアルバムを除いて、涼平さん在籍時にフルアルバムを残せなかったというのが、本当にもったいない限りですよ。

<アヤビエ(彩冷える)に関する過去のレビュー>
夏物語
六花星
LEMPICKA
EquAL pRayer 2 aLL
~まなつゆきとろけるしょうげん~「キスミイスノウ」
~かこやかすれさけびし~ 「月請い」
戴冠式前夜~いぎょうのそうのとうじしゃ~
クロイツカササグイトシネガイ(セカンドプレス)
アヤビエ即完音源集
鉄の島