夏物語 / 彩冷える | 安眠妨害水族館

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夏物語(初回生産限定盤C)/彩冷える
¥1,500
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1. 夏物語
2. ゆびきり
3. オリオン

彩冷えるにとって、メジャー2ndシングルとなった「夏物語」。
タイプA、タイプBは、表題曲のMVを収録したDVD(それぞれバージョン違い)が付属。
タイプCにはブックレットとボーナストラック「オリオン」、通常版にはボーナストラック「secret room」が収録されています。
この4種売りは、エグいよなぁ・・・

ヴィジュアル面の変化が顕著だったメジャーデビュー後の彩冷える。
コテコテな衣装や、濃いメイクは封印。
悪い意味で、「メジャー進出で変わったバンド」のテンプレ通りになってしまった、という声が多いのも事実。

本作は、音楽性の面で、それを象徴したシングルだったのかなと。
もともと、ポップな要素は強いバンドではありましたが、この「夏物語」は、更にマイルドになって、80年代アイドルポップ風の仕上がり。
Gt.タケヒトさんが作曲を担当したサマーチューンです。

ギターに夢人さんが加入以降、ダンサブルなアレンジが多かった彼らですが、本作では、かなりシンプルにまとめられている。
アコースティックギターの音色も夏っぽく、キャッチーな歌メロは、一度聴いたら耳に残って離れません。

しかしながら、これが求められていた音楽なのかというと、違うような。
より広いファン層へのアプローチを狙ったということかもしれませんが、ありきたりとも言い換えられるし、難しいところ。
インディーズ時代のファンが離れるきっかけにしかならないような。
一応、オリコントップ10に入る躍進を見せ、結果を出したのも確かなのだけれど・・・

なお、カップリングの「ゆびきり」は、Dr.ケンゾさん作曲の、ストレートな疾走ナンバー。
一昔前のソフビ全盛期に、こういう曲をよく聴いたようななぁ、という懐かしさ。
こちらの楽曲でも、歌詞の普遍化が目立つなぁ。
ストーリー性があって切ない歌詞と、淡々とマイナーコードに落ちていく抑えたメロディーラインがマッチしていて、なかなかの佳曲だと思います。

タイプCにのみ収録された「オリオン」は、夢人さんが作曲しているということで、本作、どの楽曲も作曲者が違うのですね。
テンポはそんなに遅くはないのだけれど、メロディの乗せ方もあって、サビは壮大なイメージ。
夜空のパノラマが浮かんでくる、タイトルに馴染んだポップソングです。
この手のナンバーだとVo.葵さんのボーカルスキルが若干気になるのですが、全体的に丁寧に歌っている印象なので、良しとしようか。
まぁ、トータル的には少し中途半端かねぇ。
徹底的に壮大な楽曲として持っていくのか、ポップにしたいのか、どっちつかずで終わってしまったのが残念です。

当初のアヤビエは、涼平さんがほぼひとりで作曲してたのに対して、夢人さん加入後の彩冷えるは、全員体制で曲を作るスタイル。
そういう部分で、もしかすると音楽性が固まりきらないところもあったのかもしれません。
もう少し煮詰めてみても良かったのでは。

セールス的には波に乗ったかに見えたが、その後、バンドが分裂するという結果になってしまう彼ら。
インディーズ時代と聴き比べれば、それも仕方ないかなぁ、とは思ってしまいます。

<彩冷える(アヤビエ)に関する過去のレビュー>
六花星
戴冠式前夜~いぎょうのそうのとうじしゃ~
クロイツカササグイトシネガイ(セカンドプレス)
アヤビエ即完音源集
鉄の島