~かこやかすれさけびし~ 「月請い」 / アヤビエ | 安眠妨害水族館

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~かこやかすれさけびし~ 「月請い」/アヤビエ
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1.月請い
2.音楽を下らぬ

3ヶ月連続でリリースされた、DVD付シングルの第二弾。
徐々に、MVの作り込まれ度合いが高まってきたような。
演奏シーンがメインながら、ちゃんと光にこだわったり、イメージショットが入っていたり。

本作は、2曲とも、演奏隊が在籍していた雛罠の楽曲のリメイク。
特に、「月請い」は、Gt.涼平さんの処女作レベルの過去に作られ、あたためられていた楽曲ということで、初期衝動の塊のような作品に仕上がっています。

その「月請い」は、民族楽器のような音色からはじまるポップチューン。
最初の数秒はミディアムテンポなんですが、突如としてスピードアップし、バンド感溢れる楽曲へと変貌していきます。
初期の楽曲ということもあり、最初から最後まで聴きやすいメロディで押し通す。
アヤビエというバンドは、難解でこまっしゃくれた展開に定評があっただけに、逆に新鮮さがありましたよね。

構成のストレートさは、ギターのフィルイン的な部分でのユニゾンなど、青臭いながらも、印象的な工夫で聴きどころもつけて。
Vo.葵さんが、サビの部分でのファルセットがもう少し綺麗に出れば良かったのですが。
雛罠のオリジナルバージョンとは、キーも少し変えているのかな。

「音楽を下らぬ」は、流行りモノが蔓延してきたヴィジュアルシーンへ、警鐘を鳴らす1曲。
個性を求めてヴィジュアルシーンに飛び込んだはずが、右にならえで、同じようなお洒落系バンドばかりになってしまっている。
そんな矛盾は、当時も今も、あまり変わっていないようです。

楽曲そのものは、王道的なヴィジュアル系ナンバー。
ギターサウンドとボーカルラインが、いかにもといったところ。
途中で転調するなど、癖は作っているものの、それも含めて、ベタと言える。
これはこれで、涼平さんのセンスが発揮されているということか。

結果的に、2曲ともメロディアスでストレートさのある楽曲となりましたが、3部作の中で、ひとつこういう作品があるというのも、彼らの狙いだったのかもしれません。
雛罠時代の音源を聴いていなかった人には、この収録内容は魅力的だろうし、ボーカリストが違うことを含め、聴き比べる楽しみもある。
個人的には、3部作ではもっとも好きな一枚。

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