ブラジル リオ・デ・ジャネイロの空
映像の監督として。
また、写真家として。
モデルさんや役者などの表現者たちと、同じ目線、対等な立場で仕事をする事が、良いものを創れるのではないか。
とは言っても、立場や役割りが違う。
彼らにとっては、僕はやはり発注者である事に変わりはない。
ならば、立場を超えて、お互いに尊敬心を持って、そしてお互いに成功を目指していけばいい。
そう考えるようになった。
監督にとってのカメラマン、助監督のように、絶大の信頼をおけるパートナーとして。
だから僕は、キャスティングには厳しい。
命を預けるつもりで、出演者を選ぶ。
そういう信頼関係が成り立つ表現者たちとの仕事は、極限の集中力を生む。
結果、最高の出来となるのである。
その信頼関係の奥底にあるものこそ、「人間力」ではないだろうか。
人間のダメなやつに、誰も信頼は置かない。
クリエイティブや表現の世界と言っても、ビシネスなのである。
ビシネスとは、人と人が関わるもの。
人間力の高い人は、どの業界であれ、高いポジションに就く。
「そうか。心のレンズを磨くとは、人間力を高める事なんだ」
師匠から教えて頂いた意味を、長い時間をかけてようやく理解し、実行した。
実行と言っても、大それたことではない。
いつも謙虚に。
感謝の気持ちを忘れない。
人との約束は、必ず守る。たとえ、自分の部下であっても。
人を裏切らない。当然、自分の誓いも裏切らない。
これだけである。
これだけでも、自分の創るものは大きく変わった。
いつしか、自分の作品は、
「酒井さんらしいね」
と言われるようになった。
僕らしさ、自分の人柄を作品に乗せれるようになったのかもしれない。
だから、今は、役者やモデルさんとのコミュニケーションなどに、あまり悩むことはない。
信頼関係さえあれば、何も問題はないのである。
僕は、役者には結構厳しい。
でもそれは、信頼関係の上にしっかりと成り立っていると思う。
逆に、意見を言われても、いっこうに構わない。
お互い、目指すところが同じであれば、そこに対立などは生まれないから。
そして、命の状態が良い方向にさえ向いていれば、必ず良いものを創れることが分かっている。
ご飯をちゃんと食べる。
良い睡眠をとる。
よく笑う。
どんなに忙しくても、いつも感動できる感性を保つ。
命の状態を、いつも良い方向にフォーカスすることが、僕にとってとても大切なことだ。
技術的にもあまり悩むこともなくなった。
技術の壁を突き破る源泉も人間力なのかもしれない。
「良い作品が撮れるかどうかは、心のレンズが磨かれてるかによる」
師匠に教えて頂いた最大の財産。
作品とは、自分の命が投影されたものにしか過ぎない。
だから僕は、もっと心のレンズを磨いていきたい。
慢心する事なく、さらに成長します!