ベソココと不真正連帯債務と相殺について☆ | 司法書士講師・三枝りょうのブログ

司法書士講師・三枝りょうのブログ

司法書士試験の受験情報を中心に、日々考えたことを書き連ねていきます。

皆さんこんにちは,司法書士講師の三枝りょうです。

 

ベソココ。
連帯債務の絶対効です。

ベソココ
↓↓↓↓
弁相更混
済殺改同

以上です。
改正前に比して随分と減りました。

使用者責任における被用者の損害賠償債務(民709条)及び使用者の損害賠償債務(民715条)は,不真正連帯債務の関係にあると解されています。
不真正連帯債務については,弁済,代物弁済,供託,相殺が絶対効で,その他事由(例:債務の免除)は相対効です。

で。です。
先日記事の話の続きですけれども。

 

A運送株式会社(以下「A」とする。)の従業員Bが,事業の執行として配送車を運転している途中で,過失によりC所有のブロック塀を損壊した場合において,損壊時から2年経過後に,被害者Cが,Aを被告として損害の賠償を請求し,それを認容する判決を得たときであっても,Cの,従業員Bに対する損害賠償請求権の消滅時効は更新しない。
そういうことになります。

上記のとおり,ベソココを除き連帯債務者の一人に生じた事由は他の連帯債務者に影響を与えません。
たとえば,『時効の完成』 などです。
連帯債務者の一人に消滅時効が完成しても,他の連帯債務者は,それによって義務を免れません。

が,しかし。です。
以下の規定に注意が必要です。

民法445条
連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ,又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても,他の連帯債務者は,その一人の連帯債務者に対し,第442条第1項の求償権を行使することができる。

A運送株式会社(以下「A」とする。)の従業員Bが,事業の執行として配送車を運転している途中で,過失によりC所有のブロック塀を損壊した場合において,Cの,従業員Bに対する損害賠償請求権の消滅時効が完成し,Bが適法に時効の援用をした後であっても,AがCに対して損害賠償債務の履行をした時は,Aは,従業員Bに対して求償権の行使をすることができる。
そういうことになります。求償の範囲は別問題です。

『相殺』 は,連帯債務の絶対効です。
民法434条
債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において,その債務者が相殺を援用したときは,その相殺は,他の連帯債権者に対しても,その効力を生ずる。

不法行為の事例の場合,民法509条にも注意が必要です。かいつまんで説明します。
悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者は,相殺をもって債権者に対抗することができない。です。

A運送株式会社(以下「A」とする。)の従業員Bが,事業の執行として配送車を運転している途中で,過失によりC所有のブロック塀を損壊した場合において,従業員Bが被害者Cに対して弁済期が到来している貸金債権を有している時に,Bは,当該貸金債権を自働債権として損害賠償債務と相殺をすることができる。
そういうことになります。
509条の「悪意」とは,積極的な害意を指します。

 

 

【PR】

人気講師の授業が圧倒的低価格
資格スクエア

 

【PR】
「今,覚えたい」を持ち運ぶ
プチまな