ワインと酸素 その4 | ろくでなしチャンのブログ

ワインと酸素 その4


               ワインと酸素 その4



コラージュ~Collage


 清澄又は滓下げと訳され、英語ではファイニングと言うようです。
清澄材としては赤ワインでは卵白、ゼラチン等の利用が多く、白ワインではベントナイト、カゼインの使用が多いとの記述も見受けられますが、高級赤ワインは卵白、ベンナイト(粘土の一種)の使用が多く、利用頻度としては次にアルブミン、ベンナイトの順位でしょう。清澄効果は卵白、ベンナイトが優れているようです。


 自然沈殿しない微量な浮遊物を卵白に吸着させるため卵白を撹拌して1樽につき3個から5個程度投入します。

 口当たりの荒い葡萄に由来するタンニンが卵白中のたんぱく質と結合して澱となって沈殿します。沈殿した滓は(折を見て)スティラージュで取り除かれます。

 造り手によってはワインの風味が失われるとして行わない場合もあるようです。コラージュを行わない場合は、濁り成分などがワイン中に残り、ワイン自体の厚みは有りますが、過剰なタンニン分による渋みが残る可能性があります。当然瓶詰後の澱の量は多くなります。

 手法としては、スティラージュの回数を多くし、清澄化させてワインの旨みを残す手法や、清澄剤を多めに利用し、後の作業であるフィルトラージュ(濾過)を行わないといった手法もあるようです。



フィルトラージュ~Filtrage


 濾過と訳されているようです。端的に表現するとフィルターに通すということでしょう。ミクロフィルターや遠心分離機で行う場合もあるようです。

 濾過を行うとワインに必要な成分も取り除いてしまう恐れがあるため、ワインの豊かさを保つためノン・フィルター(無濾過)とし、凝縮感のあるワイン造りを目指す傾向にあるようですが、酵母が残っている可能性もある(一定のアルコール濃度に達し発酵は終了しますが、未発酵の酵母菌が残る)ため、管理が悪ければ瓶内で発酵(微発泡)したり雑菌の繁殖も考えられることから安全をとって濾過したいところではあります。


 いずれにしてもスティラージュ、コラージュ、フイルトラージュの行程は、熟成中のワインの浮遊物(滓)から旨み成分、風味等をいかに取り込み、不要な滓を如何に取り除くかという問題であり、これらの選択は醸造家の考え方によるようです。



アンブティヤージュ~Enbouteillage


 瓶詰め作業であり殆どが自動化されており、ヘッドスペースにはオゾンを注入し酸化を防ぐ手法や、ヘッドスペースを真空化しているシャトーもあるようです。



瓶熟成と酸素


 瓶熟成はヴィエイイッスマン~加齢~還元的熟成(嫌気的熟成)と呼ばれるようです。

 瓶熟成の初期には、瓶内のワインに溶け込んだ酸素により、香味に変化が生じます。やがてワイン中の酸素が消費し尽されますと、還元的(無酸素状態)状態になるのですが、このような中でも既に生成されたさまざま物質が相互に関連しながら変化し、ワインの味わいや香りがより複雑になると言われています。

 しかし、いずれ我々にとって好ましいと思われる生成物質も変化が訪れ、ワインの劣化、老化と感じることになるようです。


 瓶熟成中にコルクを通して空気が入り込むかについては、ごく微量(数ml/年)ながら天然コルク、スクリューキャップ、合成コルクとも空気を通し てしまい、天然コルクは品質差により著しく差が生じる。

 コルクに空いている小さな穴(皮目~ひもく~黒っぽく目で見える穴)は空気の出入りがあるが、コルク細胞はスベリンという物質が細胞間に詰まっているため水や気体を通さない。

 といった相反する記述が見られますが、仮に空気を通すとしても高品質のコルクであれば透過空気の影響は殆どないようです。



抜栓による変化


 抜栓によりワインの味や香りに変化が生じるのは体験していることと思われます。

 ワインは空気と触れ、揮発性の成分が生成されるようです。当然酸化も始まりますが、時間が経ちすぎると酢酸菌が繁殖し、酢酸が生成されますので酸っぱくなってしまいます。酢酸発酵と呼ばれるものです。



補 足


 酸化は酸化と酵素型酸化に分けられます。酸化はワインが酸素を吸収しアルデヒド類によって化学合成物質が生成され、ワインが平板で不快な味や臭いと感じる。酵素型酸化はワインの中の酵素が酸素とタンニンや色素と結合させ変色(褐変)させる。というもので通常この2つの酸化が同時に進行しているそうですが、ブログでは単純に酸化としました。


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