ワイングラス(PART-2) 形状 | ろくでなしチャンのブログ

ワイングラス(PART-2) 形状

     ワイングラス(PART-2) ワイングラスの形状

 

 

 たくさん、たくさんあります。一般的には形状で万能タイプ、ブルゴーニュタイプ、ボルドータイプ、シエリータイプ、シャンパンタイプ(フルート型とソーサー型)等々でしょう。

 要は、どんぶりで飲もうと、空き缶で飲もうと味は変わる分が無いと思われる方はどうぞご自由になさって下さい。

 いや雰囲気とかムードが大切だからそれなりのグラスで飲みたいという方は奮発しましょう。

 いやいや考えが甘い。グラスによって根本的に味が変わると主張される方がおられますが、どうやら変わるようなのです。

 

①味覚に基づく形状

 

 よく紹介されているのが、5つの形状の異なるワイングラスに同一ワインを注ぎ、葡萄品種を当てさせたところ、全部異なる葡萄品種を答えたとされています。確かに私もグラス形状により味が異なるように感じますが、私のいい加減な舌の話をしても説得力がありません。

 曰く、ワイングラスの口に当たる部分が薄いほど(中には0.3㎜)美味しく感じる。

 ろくでなし曰く、ワイングラスとビールグラスと○キンは薄いものを。

 

 ワイングラスの形状が異なると、飲んだワインが舌に当たる位置が異なり味覚が異なります。舌先部分は甘味に敏感であり、舌の両サイド外縁部分は塩味を、内縁部分は酸味を、舌の根元部分は苦み、渋みを感じる。と言われます。もっともこのような特定の味覚を感じやすい味蕾が集中しているのであって、舌全体にも甘味や酸味等の味蕾はあるようです。

 但し、渋みについては味蕾が感じるというよりは、収斂作用により味蕾が閉じた状態となり、その状態を渋いと表現しているのであって、味蕾自体が味として認識しているのでは無いとのことです。

 

 ともかく、舌先にワインが流れ込んだ時は、甘味に対しては敏感になりますがその他の味覚には鈍くなります。舌の根元にワインが流れ込んだ時は苦みや渋みを敏感に感じ、他の味覚はぼやけてきます。

 そこで、ワインの特性にあった舌の部位に上手く載せられるようにワイングラスの形状が決まっているとのことです。

 グラスの口の部分が小さければ舌先で飲もうとし、大口径のものは前屈みになり飲むため、舌の奥へワインが流れるとの説明がありました。

 要は、グラス形状により味は変わるので、ワインに合ったグラスが望ましいとなります。

 

 話は戻りますが、形の異なるワイングラスを用意して、葡萄品種を答えよという設問自体に問題はあります。何等の説明もなく答えよとされた場合、

葡萄品種は異なるのだろうという先入観が先に働くので、5種類の葡萄品種を答えることとなるでしょう。

 設問として、1種類以上のワインが注がれています。全部同じワインかも知れません。さて、葡萄品種をお答え下さいとした場合の答えは異なる気もするのですが。

 

 ともあれ、ワインの種類により最も適しているとされる形状が現出している訳です。チェコスロヴァキアからオーストリアに工場を移したリーデル社などはその典型でしょう。

 一般的には、ワイングラスは煙突型(チムニー)が良いとされ、ワイングラスにワインが注がれる部分をボール、脚の部分をステム、台座をプレートと呼んでいますが、ボールの底が丸みを帯びており、口に当たる部分に向かって先細りとなっています。ボウル形状が丸いため、香りを包み込み、空気に触れる空間も十分にあり、トワリングを行ってもこぼれない形となっています。

 単なる筒型の場合は、ワインの個性が消えてしまうと言われています。筒が細くなるほど甘さを感じ、広くなりすぎると苦みと酸味を感じるそうです。   

 

ぶどう ブルゴーニュタンプ

 

 ワインの香りを大きめの閉じた空間に集めるためにボウル部分がかなり大きくエッジが外側に開いています。グラス形状が香り、ふくらみ、強さに影響することから大げさとも言える形状です。

 グラス底辺の湾曲はタンニンを丸く回転させ、香味に丸みを帯びさせるのだそうです。

 次に出て来るボルドータイプでピノ・ノワール種を飲んだ場合は、焦げ香り、渋味、酸味が目立つそうです。お試しあれ。

 

ぶどう ボルドータイプ

 

 ブルゴーニュタイプを細身にした形状で、エッジは内側に傾斜しています。大きさもあり、空気に触れる空間も十分に採られています。

 カベルネソーヴィニョン種をブルゴーニュタイプで飲んだ場合は、まとまりのないボケた香味となるそうです。試さなきゃ。

 

○ ワインの赤と白といった区分で考えると、

 赤は、タンニンによる渋みを柔らげ、空気の接触をより高めるために大型の形状となり、

 白は、白い果実や花の風味と味覚を楽しむためには小型の方がバランスが良いとされています。

 

ぶどう ボジョレタイプ

 

 タンニンが通常の赤ワインより少なく、全体的に果実味を柔らかい渋みとともに楽しむため、グラス形状は小型が良いとされています。

 

ぶどう シャンパンタイプ

 

 フルート型とクープ型又はソーサー型に分類されます。フルート型は、ボウル部分の底に向かって先細りとなっています。底が泡の発生地点となっており、泡立ちのきめ細かい口当たり、芳香や味覚がフルーティでエレガントに感じられる細身の作りとなっています。

 

 泡の正体は炭酸ガスであり、炭酸ガスとグラス面の凹凸が触れ合う結果泡が生じます。意外なことにクリスタルグラスの表面は細かな凹凸が多く、キメが細かいとされています。この結果ワイングラスと炭酸ガスの摩擦が生じ泡立ちが良いのだそうです。バー等では泡立ちを良くするためにグラスの底部に傷を付けることがあるくらいです。また、グラスによっては底に円状の突起を設けている場合もあります。

 

 もっとも、泡立ちを良くしたいのなら、グラスを良く洗うことをお勧めします。シャンパン(スパークリングワインやカバは別とは思わないでしょう。)は特にグラスの油膜、埃、洗剤カスがある場合、濡れている場合等は泡が生じにくいのだそうです。ビールも同じです。   

 洗剤は脂肪やグリセリンを含んでいる場合が多いので、食器洗浄機用の洗剤がお勧めとか。

 

 対して、ソーサー型と言われるお皿が乗っかったような形状のシャンパングラスについてはボロクソに言われています。パーティ用に開発されたもので、シャンパンをこぼさないで手っ取り早く次ぐための形状である。

 口があんなに広がっていたら直ぐに泡が飛んでしまう等々悲惨な批評がなされています。

 でもね、でもね、あのボウルはなんと、かのマリー・アントワネットの左の乳房から型を採ったのだという説があるのです。

 ソーサー型のシャンパングラスのボウル部分を軽く包んで飲みたくなったでしょう。

 また、ご高齢のレディのために開発されたとの説もあります。女性の顎のたるみと皺(しわ)、二の腕のたるみ、おヒップのたるみは如何ともしがたいのだそうです。顎のたるみと皺は整形でもしない限り隠しようが無いのです。

 シャンパンをフルート型で飲む姿を想像してみて下さい。なぜか顎が上がりますね。顎か上がったら・・・・・そこで、ソーサー型だと顎が上がらずに済むのです。バーでは、この説をご存知のレディにソーサー型グラスを出すと、≪私はフルート型で大丈夫です。≫と反撃を食うことがあり、グラスの選択に迷うとか・・・・・。

 

ぶどう テイステンググラス

 

 グラスで味が変わるとの説を述べましたが、そこでいつも同一の条件(少なくともグラスは)で飲むべであるとの観点から、国際ティースティンググラス(通称INOグラス又はISO規格試飲グラス)なるものがあります。ブーケ、味のバランス、風味の余韻が優れている。とされます。

 リーデル社ではお持ち運びセットのワイングラス(ブルゴーニュ・ボルドー用のグラス入り)が立派な鞄に入って売っています。そこまでーする?

 私は、一番おいしく感じられるグラスで飲みたいと思っています。でも味の比較もしたいとの観点から、生意気にも、出来る限りリーデルのマチュアグラスを使うようにしています。ほんとはアルコールに弱いので少ない量を「良い振りこいて」ということですが。


②歴史上の形状

 

 昔々は知りませんが、産業革命後における1850年代のイギリスにおいては富裕層の会食形式の変化があったと言われております。いわゆるイギリス式給仕式と呼ばれるもので、食卓にお料理を全部並べて食すものであり、クラレットと呼んでいたワインを飲むときは、赤も白もグラスはせいぜい2個で形に対する配慮はなかったようです。

 

 当時ロシア式給仕法というのが流行りだして、お料理が一品づつ厳かに運ばれるようになり、演出効果が求められるようになりました。

 そこでワイングラスも形の違うものを料理ごとに出すようになっていきます。もっとも、現在ほどの種類があった訳ではないようですし、一番大きなグラスはウオーターグラスであったとか。その風潮がやがて小金持ちにも伝播したようです。

        ワイングランスは重量とバランスが命 とのこと。


 ところで、ブラインドテイスティンググラスなるものがあり、真黒のグラスです。前記規格品を黒塗りしたような。ワインは色を楽しむことも重要なファクターであり、黒塗りなんてもってのほか。

 そこまでしてテースティング能力をひけらかしたいのかと思ったのですが、謳い文句は、テイスターは、色から多くの情報を得て輪郭を掴み、香りで確信し、味覚で確認します。そこで視覚入力を遮断することで嗅覚と味覚が鋭敏となります。とか。

 

 

ワイングラス(PART-1) 種 類  こちらへ

ワイングラス(PART-3) リーデル こちらへ

ワイングラス(PART-4) バカラ  こちらへ

ワイングラス(PART-5) 持ち方  こちらへ

 

                           溜め息  改・ブログ総索引-1 こちらへ

                          溜め息 改・ブログ総索引-2 こちらへ

                          溜め息 改・ブログ総索引-3 こちらへ  

                          溜め息 改・ブログ総索引-4 こちらへ