石垣島にアメリカの駆逐艦が入港する事に反対して、沖縄港湾組合によるストライキが行なわれ、石垣島の物流や、その先の宮古島の物流に大きなダメージを与えた。
そして韓国では、医学部の増員に反対して、日本で言うところのインターン医によるストライキが行なわれ、医療現場が回らなくなっているし、ドイツでもDB(日本で言えばJR)やルフトハンザによるストライキによって、交通に大きなダメージを与えている。
「ストライキは労働者の権利」と、今回のストライキを擁護する人達もいますし、「ストライキは労働者の伝家の宝刀」だと思いこんでいる人達もいますが、ストライキは伝家の宝刀と言うより、諸刃の剣だったりする。
個人的には「伝家の凶刀」だと思ってまして、柄の部分にも刃が付いているのが、ストライキの持つ本質であり、この凶刀を抜く事によって、自分自身の指も切り落とす覚悟が無ければ、ストライキという凶刀を抜いてはならないとさえ思ってたりもする。
確かにストライキは労働者の権利ではありますが、これは何かを人質に取る事で、自身の主張を押し付けようとする手段。
ましてや労働環境改善の為にストライキを行なうのではなく、政治的主張の為にストライキを行なう事は、最高裁においても「ストライキとして認められない」と、憲法に照らし合わせて判断が下されている訳で、アメリカの駆逐艦入港に反対してデモを行なう事は理解されるが、ストライキを行なって、その島の生活に大きな被害をもたらす事は、その権利を拡大解釈してるとしか言いようがない。
極端な言い方かも知れませんが、石垣島や宮古島の島民を人質に、自身の政治的な主張を押し付けたストライキであるとしか、私の目には映らないのである。
社会的インフラに従事する人が、それを盾に政治的主張によるストライキを行なう事は、国民からの支持を失う結果にしか結びつかない。
国鉄時代にスト権スト等を行なって、通勤客等に大きな迷惑を掛けた国労が、国民からの支持を失っていったのと同じように、今回の政治的主張によるストライキを行なった全港湾や、それを支援した左派政党などは、国民からの支持を失う結果になるだろう。
そのようなストライキが効力を発揮するには、社会的インフラが国王などの特権階級や支配階級の持ち物という前提が必要であり、持ち主である特権階級や支配階級という存在が無い状態で、ストライキを行なうという事は、単に国民に対して被害を与えるだけである。
そのような人達は、日本にも労働者階級が存在すると思い込んでいますし、労働者階級に対抗する特権階級や支配階級が日本にも存在すると思い込んでいますが、労働者階級も含めて、そのような「階級」は日本には存在していない。
特権階級や支配階級という固定化された「階級」が存在せず、労働者階級や農民階級という固定化された「階級」が存在してないという事は、「同じ階級」に属する人からの共感を得られないという事であって、だからこそ今の日本でストライキを行なう事は、ストライキを行なう側への批判しか生み出さない。
それは政治に無関心とかいった事が要因ではなく、ストライキが自分達の生活を脅かす行為にしか見えてこないから。
ストライキが意味をなすのは、固定化された階級制度が存在する国。
例えば北朝鮮だったり、中国だったりするのですが、今回のストライキを支持する人達の多くが、そのような国にシンパシーを抱いているというのも、なかなか面白い構図ですが、そのように皮肉な現実について、日本の左翼はどのように考えているのだろう?
まあ、何も考えてないでしょうけどね。