■戦評■J1第11節 浦和-千葉 「壊れたチーム」 | picture of player

■戦評■J1第11節 浦和-千葉 「壊れたチーム」

■浦和3-0千葉
■短評

完全に壊れてしまった。もちろん、千葉が。

試合内容については簡単に。スタメン4-4-2でサイドバックにもCBを二人並べた千葉は、最終ラインをマンマーク気味につけて前半を乗り切るが、後半には完全に足の止まったところでトゥーリオの個人能力から2得点、最後には気持ちが完全に折れ、エジミウソンにとどめの一発を叩き込まれ、完膚なきまでに轟沈。

何が悲しいって2-0で負けてるのにボールを全然前に運べないことだよね。これが意味するのは何かと言えば、チーム力の差というものが決定的で、どうにもなんねー、ということ。たぶん、10回やったら9回くらいは負けると思う。以前は優勝争いをしたこともある両チームだが、現時点での力の差はいかんともしがたいまでに離れてしまった。

この状況について、クゼ監督の帰責性を逃れるのは難しいだろう。確かに5人の日本代表が抜け、新たな選手が多数抜けた今年はかなり難しい年になることは予想できた。ただし、一からチームを作り直すというやりやすさはあったし、すべてがデメリットだらけというわけでもない。代表選手の移籍金で何人かの有望な選手も取れたしね。ただし、その状況の中で、11試合を終えて勝点2というのは予想できる限りほとんど最悪に近い結果だろう。

しかも、内容もよくない。首位ではあるが、連戦の疲れからかそれほど中盤が引き締まらず、前線でもミスが非常に多かった浦和を相手にこの体たらく。意地さえ見せることができなかった。以前の清水戦ではこのままゆっくりでも成長できればと書いたが、それ以降前進が見られない。クゼ監督は日替わりメンバーの場当たり的な采配に終始していて、確固たるチームの方向性を打ち出せていない。以前にガンバを指揮していた時代のサッカーをあまり見ていなかったのでその頃のことはなんともいえないのだが、今回の采配を見ている限り、クゼ監督はトレイナー型というよりはセレクター型の監督のようだ。選手の個人能力が高く、うまくはまればそれでもいいのだが、若い選手の多い千葉ではフィットしていない。目指すべきモデルがないので、選手は余計な判断を強いられる。チームとしてどこを向くか、というのが明確でないので、精神的な磨耗が激しいのだろう。その弊害はジーコジャパンによく似ている。終盤に崩れていくことが多いのも、練習量が少ないという体力的な問題によるところもあるのだろうが、精神的な疲労も影響していることは間違いない。そこを含めてマネージメントできていないというのは、監督として失格と言われてもおかしくはないだろう。これで擁護するのはOJシンプソンの弁護団でもなけりゃ無理。

では、解任すべきだろうか?(一部報道では今日負けたら辞任と言う話も出ているようだが…。)現時点では、それもやむを得ないと言うしかないだろう。結果が出ない。チームとしての方向性も見せることができない。ほぼ3分の1の日程を終えてこれでは、急激に変わることも望めないだろう。途中交代によって成績が上がらないことは以前に書いたが、監督としての求心力の低下を考えると、差し引きはプラスになると思われる。急激に成績が上がることは考えづらいが、このまま座して死を待つよりはましだろう。幸いなことに、J1にはほとんど毎年中断期間がある。今年も6月いっぱいという長い期間、チームを作ることが出きる。ビッグネームは難しいだろうが、今の千葉の状況に合う新しい監督を引っ張ってきて、1ヶ月間みっちり鍛えれば、まだ望みはあるかもしれない。難しい判断になるだろうが、この1ヶ月を空費しないためにも、フロントは最大限あがくという責務を全うしてもらいたい。そろそろ時間的なリミットが迫っている。

いやあ、でもショックだったよ。3-0で負けて自陣のPA近くで鳥かごパスをされてるのをただ見てるだけとは。あんな舐められたことやられて、ファウル覚悟で潰しにさえ行けない or 行かないという状況を考えると、そろそろ選手は精神的・体力的に限界が近いのだろう。せめて、意地を。そう悲観せざるを得ないほど、今の状況は切羽詰っている。

■picture of player いねーよ、ばーか