光と闇のフォークロア~sideキョーコ(8-3)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「っ!!」



 その瞬間に、奪われた唇。

 震える彼の唇は、本当に弱々しくて冷たくて…。

 その後に満面の笑顔を浮かべた彼の表情はとても美しくて。



「忘れないで…俺は…いつでも…君の、傍にいる。姿はなくても…守るよ、必ず…」



 私の頬に触れてくる、彼の手。その手を包みこむ。



 ……勝手なことを言わないで。置いていくくせに。私のいけないところに、いってしまうくせに……



「君だけを…愛してる…ティア」



 勝手に守って、勝手にいなくなるだなんて……なんて身勝手な男だろう。



「や…、いや、いやよ!」



 もう、嫌なのだ。

 想っているのに。全てを隠して、生きるのは。



「私は、光の勇者なんかじゃ、ないっ!!」



 使命のために、心を消すのはもう嫌だ。

だって、彼を失ってしまったら、他の誰が微笑んでいたとしても。皆が幸せだったとしても。

『私』は、幸せなんかじゃない。



「かえして…」



 『彼』が望んだ世界は、光溢れる幸福の世界。でも、私にとってその世界は、どんな闇よりも深い、絶望の世界だ。



「私の……を…お願い!」



 ―――ティア―――

 ―――最上さん―――



 ―――君だけを…愛してる…―――



 そんな言葉はいらないから。

 私の傍にいなくてもいいから。



 でも、追いかけられる場所に、あなたはいて。

 例え置いていかれても、私はあなたであれば絶対に追いかけるから。



 そうでなければ、私の世界は壊れてしまう……。



 私は『彼』の頭を抱きしめて、心の底から願った。








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