帝の至宝~いつか、その日まで(2)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「志季。」

「何?」



 この国の帝である志季。どうあがいたって手の届かない至高の存在なのに、志季は平民の私のことを大切な友人だと言ってくれる。



「ありがとう。」



 だから私は勘違いをするんだ。手を伸ばせば、届くんじゃないかって。

 今手に持っている欠けたお菓子のように、いつか本当に届くんじゃないかって。



「?何のお礼?」



 でも志季は帝で。完璧な彼には、一生手を伸ばすことさえ許されない。

 

「えへへっ、いつも一緒にいてくれるお礼。いつもありがとう、志季。」



 だからこの想いは胸に秘めなきゃダメだ。志季に絶対に気付かれてはいけない。



「こちらこそ、ありがとう。香蘭。」



 友人として。志季が治める国の民として。

 私は彼の傍にいる。



 いずれ志季がお妃さまを娶って、その人との時間を大切にする時までは。



「香蘭。」

「何?」

「私と一生一緒にいようね。」



 切ない想いに胸が苦しくなった私。そんな私の耳に飛び込んできたのは。

……平然とした顔をした、志季からの信じられない発言だった……。



「~~~~っ!!何言ってるの!?」

「え?何が?」

「そういうことはただの友達に言っちゃダメなの!!」



 真っ赤になって私は怒ったけれど、志季は何が悪いのか分かっていないみたい。

 でもこれ、勘違いしたらプ…プロポーズだと思うよね!?

 も~~~!!これだからズルイんだ!!私が勝手に盛り上がっちゃうのは、私だけの責任じゃないよね!?



「?どうして?君との友情を一生のものにしたいと思うのは、私だけなのかな……?」

「!?いっ、いや…。そりゃあ、私もだけど……。」



 寂しそうに言うものだから、肯定してみたけれど。



「じゃあ約束。毎日私に会いに来てね?」

「え!?い、いや…あの、それはさすがに無理…。学校があるし、じっちゃんの手伝いとか薬草摘みとか、色々仕事もあるし…。」

「そうか…。じゃあ、公務を巻きで頑張るから、私が君に会いに行くね?」

「!?そ、それもどうなの!?っていうか、志季、自由すぎない!?志季、帝だよ!?」



 志季ってマイペースだし適当すぎるところがあると思う!!っていうか、雨帖様も笑ってないでなんとか言ってよ~!!護衛も兼ねているんでしょう!?



「それじゃあ、毎日は無理かもしれないけれど。できるだけ一緒にいよう。私は香蘭といる時間が一番楽しいんだ。」

「~~~~っ!!」



 優しい口調で話すから、全然強引じゃない感じがするけれど、志季は結構色んな事を押し通すところがある。



「…分かった。でも、私が会いに来るからね?志季はあんまり無茶しちゃダメだよ!?すぐ護衛の人をまいちゃったりするんだから!!」

「ははは……。」

「笑い事じゃない!!」



 しっかり釘をさして、叱りつけたけれど。

 私の口元はきっと緩んでいたに違いない。



 ……まだ、傍にいられる。志季の傍で、一緒に笑っていられるんだ……



 それがとても嬉しくて。



 *****



いつか『その日』が来ると分かっているけれど。

 

今だけでいい。傍にいさせて。



あなたがいつか、私ではない大切な人を傍に置く。

いつかその日まで。






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