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平清盛第13話「祇園闘乱事件」Vamos流解釈1 事件の発端編

の続編で、

にて述べた史実との対比で話を進めます。


※使用した画像はNHKの公式HPや、録画したドラマの


データから抽出して利用しております。
全て批評目的の引用であり、他意はありません。



忠盛の指示で下手人は検非違使に差し出されましたが、

それでは延暦寺側は納得せず、忠盛と清盛親子の流罪を

求めて再び強訴に及びます。そこから話を再開します。


あらすじ
僧兵を阻んだのは源為義、源義朝ら源氏の武士たち。
神聖な神輿を避けて矢を放ち威嚇する源氏軍勢だが、
一本の矢が神輿に突き刺さる。この矢を放ったのは清盛だった。



徒然草現代版by Vamos~時事問題からサブカルまで、ワタシVamosが徒然なるままに語ります~

ナレーション(頼朝)
比叡山延暦寺は、目の上の瘤だった平氏の力を削ぎ落とすべく、
神輿を担いで強訴に及んだ。
それを知った鳥羽院は、源氏に鎮圧を命じられた。


「平清盛と、その父忠盛を流罪にせよ~
(大勢で)流罪にせよ~!」
と大声で叫びながら、神輿をもって進む強訴の荒法師集団。
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何だか現在のシュプレヒコールを上げながら行進するデモ隊
みたいですが、現在の日本のデモ活動は暴力に及ぶことは
ほぼありませんから、非常に紳士的です。
強訴の荒法師達はモロに暴力に訴えましたから、
現在でもギリシャなどで盛んに起こっている暴動に近いものがあります。
(強訴側の要求が忠盛・清盛親子の流罪であったことは
史実と同じですが、彼等が一旦引下がったのは鳥羽法皇が
「三日で裁決して処罰する」と強訴側に約束したからです)

平氏の清盛やその父であるミキプルーンパパ盛忠盛が
当事者ですから、さすがに平氏贔屓の鳥羽法皇であっても、
今回の強訴鎮圧には源氏の武者達を差し向けました。
(史実では為義も動員されたようですが、主力では無かった模様です)

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荒法師共、ここから先へは
行かせぬビックリマークとっとと山へ帰れ」
と源氏の棟梁ながら、実際は一介の検非違使にすぎない
ダメ義為義は、ここぞとばかりに威勢を張るのですが...


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この回で初登場の鬼若(弁慶)に
「お前達こそそこをどけ」
と軽くいなされてしまいます。

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「はよ往ねさもなくば、その身を貫くぞ」
と義朝が矢をつがえて脅しますが、鬼若はなおも源氏の武士達を
挑発します。そこで義朝は矢を放ったのですが...

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鬼若は造作もなく義朝の矢を払い落とします。
一応鬼若(弁慶)の初登場としては、充分な見せ場が作れた感じです。


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「神輿に矢を向ける気か~
神輿はご神体も同じぞ~!」
荒法師は神輿の威光を盾に、無敵コマンド発動状態で
押し寄せてきます。

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荒法師達が神輿の威光を全面的に押し出してくるため、
源氏の武者達は弓を構えながらも、射ることを躊躇します。
神仏の威光が非常に強かった時代ですから、仕方の無い
反応であります。現在で言えば核兵器や爆弾を前にして
躊躇するような感じでしょうか?
腫れ物に触るような接し方しか武士側は出来なかったわけです。

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「神輿を外せばよい。射よ」
ダメ義ならぬ為義パパが、必死こいて虚勢を張って部下達に
矢を射ることを命じますが、「神輿を外せ」と言ってる
わけですから、調子に乗った荒法師共は全く気にしていません。

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強訴の首謀者である明雲は、ここぞとばかりに荒法師達を煽ります

「神輿には矢を向けてはならんぞビックリマーク
ダメ義為義が、配下の武者達に重ねて神輿に矢を射ることを
禁じる指示を出したその時、

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ありえないはずの事態が生じました。
神輿に矢が突き刺ささったのです。


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思わず「ポカーン」なダメ義為義さん

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弓矢を構えながらも、思わず目を見開いた義朝さん

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「誰じゃ~、神輿に矢を射たは誰じゃ~ビックリマーク
「神罰がくだるぞよ~ビックリマーク
強訴の荒法師どもは、あり得ないハズの展開に大わらわ。


徒然草現代版by Vamos~時事問題からサブカルまで、ワタシVamosが徒然なるままに語ります~
鬼若(弁慶)などは、あまりのことに腰を抜かしていますビックリマーク
一番イケイケだった彼がこうなるところが、面白いといえば面白い。
弁慶は一応実在の人物らしいのですが、その実像はほとんど
分かっていないため、平家物語などで知られるその豪傑ぶりは
完全にフィクション。どうも戦国時代の山本勘介と大差が無いようです。
なので史実にある事件を無視したでっち上げをしない限りは、
ある程度話の作り手が自由に動かしても良いキャラですので、
この大河での描き方は今のところ問題なしであると、私は判断します。


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棟梁のダメ義為義パパが神輿を射ることを禁じていたのに、
神輿に矢が突き刺さるという事態が生じたことを変に思う義朝。
後ろを振り返った彼の眼に映ったものは...

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神をも恐れぬスナイパーの姿。


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ドヤ顔全開の清盛でありましたビックリマーク

ナレーション(頼朝)
白河法皇の御代、時の関白藤原
比叡山の求めに応じず、武力で討ち払った後に急死した
人々はこれを神罰と恐れ続けてきた。
神輿には神が宿るといわれている。
その神輿に矢を向ける者など、現れるべくもなかったビックリマーク

でも書いた通り、実際迷信が幅を利かせていた時代ですから、
神輿に矢を射るなんて到底考えられない罰当たりな行為です。
だからこそ神輿を射た清盛は、まさに規格外な人物である
という描写がされています。
「規格外で、過去の迷信などにはとらわれない自由な精神の
持ち主である清盛だからこそ、世を変えていくことが出来た」
という風に、制作サイドは見せたいのでしょう。
それ自体は十分理解出来ることなのですが、あくまで
ドラマですから、どうしても誇張や脚色がはいるわけです。
問題は
「その誇張や脚色が妥当な範囲のことであるのか?という点である」
と私は考えているため、こんな検証記事を書いているわけです。

「祇園社での小競り合いの際に、清盛が派遣した家人の
誰かが矢を放ち、それが宝殿に突き刺さった」というのが、
史実が伝える真実です。
まぁドラマですから、ある程度の脚色をして話を面白くする
必要性は認めます。なので、この場面で話を面白くするための
処置としてなされたのが、
「清盛が誰にも出来なかった神輿を射るという行為に及んだ」
という描写であります。
このこと自体は全く史実と異なります。それに、源氏の軍勢が
強訴対策に当たった点は史実に従ってるのに、
「清盛が一人でのこのこと現地に出向いて神輿を射る」
という行動に出るのは、いくら腹心の部下である盛国が
牢獄にいたという設定であったとはいえ、いかにも不自然です。
まぁこのあたりは話の落としどころが難しいところですが、
どうせフィクションであるなら源平両氏で強訴と相対したと
してしまったほうが、よっぽどスッキリとしたように思える次第です。
ドラマでの描き方では、神輿に対して怯んだ源氏の武者達が、
何だか愚か者の集団みたいな印象を視聴者に与えてしまいます。
いくら何でも、これでは源氏の武者達に失礼でしょう。

あと「清盛が神輿を射た」という行為自体についてですが、
吉川英治の「新平家物語」でもなされていた描写ですし、
誰もが出来なかったことを清盛だけがやったということで、
キャラを立たせるには十分な効果があることは理解できます。
ですがNHKの大河ドラマの内容をそのまま信じてしまう人も多いし、
実際私も今回の記事を書くにあたって調べてみるまでは、
『「祇園社にて小競り合いがあった際に、清盛の家人が
放った矢が宝殿に突き刺さった」というのが事実であり、
清盛自身が神輿を射抜いたことなど記録に無い』という
事実を知らないでおりました。

ですから、先の検証記事

でも述べたとおり、
『「清盛紀行」のコーナーで、明確に
「清盛が神輿を射たドラマでの描写はフィクションです」
と解説してほしかった』
という風に思った次第です。そうであれば、
「源氏が強訴対策にあたったなか、一人でノコノコと出向いた
清盛が神輿を射た」という行為について充分納得できます。
要するに「話の核になった部分くらい、フィクションで
あるなら、そうであると説明してほしい」ということであります。

に続きます



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