「ら抜き言葉」が矯正出来れば、「さ入れ言葉」も直る<前編>(発表・面接のための日本語No.7) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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<本記事を引用された場合、その旨を御連絡頂けると有り難いです。>

このシリーズ「発表・面接のための日本語No.4」http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10649553378.html において、

「発表に移らせて頂きます」が正しく、

「発表に移らせて頂きます」がいわゆる「さ入れ言葉」だという話が出てきました。

「さ」が余分だという訳です。


これに関連して、この「さ入れ言葉」とセットで捉えられているのが「ら抜き言葉」です。

×「出れる」×「見れる」・・・まあ、本当に色々有るものですが、こちらは「ら」が不足しています。


いずれも、「動詞の活用の型」を把握した上での運用が会得出来ていないために起こる誤りです。


(1)「さ入れ言葉」よりも「ら抜き言葉」の対策の方を優先するべきである。

それでは、「さ入れ言葉」と「ら抜き言葉」・・・どちらの対策の方が重要なのでしょうか。


やはり、「ら抜き言葉」の方でしょう。

上の例でもそうなのですが、「さ入れ言葉」の方がまだ「丁寧に物事を話そう」という姿勢が見られる場合が多いからです。

一方、ら抜き言葉から丁寧な姿勢を感じ取る事は難しいでしょう。


(2)ら抜き言葉の矯正に必要な文法ルール。

それでは、ら抜き言葉にならないためにはどうすればよいのでしょうか?

まずは下の①と②に示す「文法上のルール」を再確認する事です。

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<助動詞「れる」「られる」・・・ともに可能・受け身・尊敬・自発の意味・・・の接続法>

①「れる」→五段活用・サ行変格活用の未然形につく。

 「書か-れる」・・・五段活用

 「さ-れる」・・・サ行変格活用


②「られる」→それ以外の動詞の未然形につく。

 「見-られる」・・・上一段活用 ×見れる

 「出-られる」・・・下一段活用 ×出れる

 「来-られる」・・・カ行変格活用 ×来れる

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すなわち、日本語の5種類の動詞活用のうち、一段活用の動詞と「来る」の場合に「ら抜き言葉」が起こり得る!という事になります。


(3)どの様にして動詞の活用タイプを判別するのか?

日本語動詞の活用タイプについては、以前に本ブログの「第2外国語への手引き(第26回:フランス語規則動詞の前に日本語規則動詞)」http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10601764737.html で記しましたので、宜しければそちらを御参照下さい。


簡単に申しますと、日本語の動詞がどのグループに属するかは、「否定」してみれば(即ち、「ない」を付けて未然形を見れば)分かるのでしたね。

五段活用 (例)切ない、蹴ない 「ない」の直前がア段

上一段活用(例)起ない       「ない」の直前がイ段

下一段活用(例)明ない       「ない」の直前がエ段

「する」「来る」の2つのみが変格活用、つまりは不規則動詞です。


ということで、例えば「起きる」の場合はこうなります:

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否定が「起きない」→「ない」の直前がイ段→上一段活用なので「られる」を付ける

 「起きられる」が正解。

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御自身のためです。自信の無い方は、ぜひ色々な動詞でお試し下さい。


自分の事を棚に上げて申す様で些か僭越ではありますが、つまりは口頭発表にも一定以上の文法力が必要という事なのかもしれません。