おおがき談義(第5話:京ことばと大阪ことばの違いは色々あれど・・・) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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<本記事を引用された場合、その旨を御連絡頂けると有り難いです。>

一昨日に続き、本日も3度目の更新です!


<本文はここから。事実に基づいたフィクションです。>

第4話「京阪語」http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10633550816.html の続きです。

※人物紹介は第1話http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10594521992.html を御参考に。


H「京都と大阪では言葉遣いにすごく大きな差のある部分が有って、これはコミュニケーションに支障をきたし得る・・・かもしれません。」


Y「『よそ者』の私にとっては口調以外にそんなに大きな違いは無い様に思えるのですがね。例えばどの様な?」


H「先程の動詞(前回を参照)で行きましょう。『書く事が出来る』もう少し簡単な表現に出来ますよね?」


Y「え?ええ。『書ける』の事ですか?」


H「そうです。その様に『可能動詞』を使う表現があります。そしてあと一つ。」


Y「可能の助動詞を用いて『書かれる』ですね。」


H「さすがです。それを京言葉と大阪言葉に当て嵌めればその答。

即ち、京都では『かけへん』、大阪では『かかれへん』です。」


Y「確かに違いますね。でも、標準語的には2種類とも使われるので大きな問題は無いのでは?」


H「いえいえ。困った事に、大阪では『書けへん』は『書かない』の意味なのです。」


Y「可能の意味が無いんですね。」


H「こんな状況を考えましょう。

大阪もんが京都もんに『なあ、これ書いてくれへんか?』と頼んだとします。

京都もんが何かの理由で書けなくて『書けへん』と言ったとき、大阪もんが『なんでやねん!』と怒り出すという。」


Y「大阪の人は、京都の人の事を『書けるのにわざと書かないと言っている。なんていけず(意地悪)なんだろう。』と思ったのですね。」


H「『なんていけずなんやろ』・・・ははは、その通りです。まあ極端な例ですが、可能の意が有ると無しでは大違いですからね。ところでYさんはどこの御出身で?私にとってはかなり綺麗な標準語の様に聞こえるのですが。」


Y「標準語という表現は実は気になるのですがね。」


H「いえ・・関東方言という意味です。」


Y「なるほど。私が関東者だと・・・でもまあ『東京と同じアクセント形式』の地域です。」


H「『第二式アクセント』の場所という訳ですね!」


(つづく)