道北の産業遺構とそれを利用した温泉(歴史旅行記第7回) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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・歴史旅行記や言葉(日本語・フランス語・ドイツ語など)へのこだわりや検定・歴史散策などの実践録を書き綴ろうと考えています!    
                      
<本記事を引用された場合、その旨を御連絡頂けると有り難いです。>

本日2度目の投稿です。資料が揃いましたのでアップいたします。


(1)最初に


「歴史の旅で廃線跡ですか?」と訝る方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、旅が見知らぬ土地に思いを馳せるのが「(一般の)旅」ならば、 過ぎ去った昔に思いを馳せ、想像力逞しくその「有りよう」を探るために史跡を巡ったり街道を辿るなどを行うのが「歴史の旅」なのではないでしょうか。両者には「未知のもの(簡単には目にする事の出来ないもの)に思いを馳せる」という「心の動き」が有り、やはりこの点で共通性が有ると考えております。


今回の「廃線跡などを辿る」という「移動を伴う」行為も、「過去の人々の営みに思いを馳せる」という意味では「歴史の旅」と大きく変わりは無く、これも「歴史の旅」に内包されると判断した次第です。

もう一つお断りさせて頂くとすれば、北海道の廃線跡は初めてであるために極力多くの物を(浅く)見たいという希望もあり、その大部分を「ダイジェスト版」的に自動車での移動によって訪問・観察させて頂きました。実際に歩いた箇所が少なかったという点ではいつもと勝手が違う訳ですが、時間的な制約が厳しかったという事も併せて斟酌下されば幸甚です。


(2)再会

朝の道北行き特急に合わせ、豊富駅にて下車。旅先で知り合ったMr. Hと久々の再会となりました。実はその前年の渡道時にも廃線跡めぐりを企画して頂いていたのですが、小生達との折り合いが付かずに延期となっていました。



(3)晴天下で宗谷岬からサハリンを見る
当初の予定では、そのまま豊富方面へ向かう事になっていました。気温は低めだとは聞いていたのですが、太陽が眩しく車内は暑いぐらいでした。


「この天気なら樺太が見えるかもしれませんね。行ってみましょうか。」とHさん。宜しくお願いします。と答えました。急遽、自動車は宗谷岬へ向かう事に。

宗谷岬も晴天。そして岬訪問「3度目の正直」で樺太(サハリン)を目にいたしました!

「あれは・・・おお、サハリンですね!」

「サハリンではありません!樺太です!」


Hさんの機転に感謝しております。


prof_hiroyukiの語学・歴史談義-サハリン
宗谷岬より樺太(サハリン)を望む


(4)ガス発電所

温泉に立ち寄る途中に風変わりな構造物が有るという事で、早速案内して頂きました。
風変わりな構造物の招待は「ガス発電所跡」。JR豊富駅からは約5km程離れており、徒歩での訪問は苦しいと思いますので、自動車などがなければ1日7往復のバスを利用する事になります。現在は鈴木産業(株)の営業所となっていますが、内装を撤去した発電所の外形が取り壊されず、そのまま傍らに残されているのが「不思議」という訳です。


prof_hiroyukiの語学・歴史談義-豊富ガス発跡1

ガス発電所跡(外観)

豊富温泉付近では熱水の他に天然ガスも採取出来、1957年から約20年間にわたって天然ガスを利用した発電が行われていたのです。ただ、長年の稼働のために発電装置自体が老朽化し、結局は修理・更新は採算が合わないという理由で「廃棄」という事に。
prof_hiroyukiの語学・歴史談義-豊富ガス発跡2
↑ガス発電所跡。機材は撤去され、オブジェクトとして残る。


(5)石油温泉

発電所施設跡の再利用。温泉街までパイプラインによって天然ガスが輸送されています(下の画像)。

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天然ガス輸送パイプ


実は、以前は微量ながら石油も採取していたそうです。天然温泉に「石油が混じる」のはその名残りで、大衆浴場の独特の臭いには驚きました。ただ、石油の混じり具合は以前ほど強烈では無い様です。
prof_hiroyukiの語学・歴史談義-豊富石油温泉1

↑「石油の混ざる温泉」を体験するのは地元民用大衆浴場の方がよい。

prof_hiroyukiの語学・歴史談義-豊富石油温泉2

↑注意書き。湯に石油が混じるので床がよく滑る。


(第8回:道北の炭鉱廃墟跡http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10564880439.html へつづく)