外国人向けキラー・コンテンツを集めたテーマパークを外国人観光客誘致の起爆剤に! | MATTのブログ ~ 政治・経済・国際ニュース評論、古代史、言語史など ~

MATTのブログ ~ 政治・経済・国際ニュース評論、古代史、言語史など ~

元新聞記者。 アメリカと日本を中心にニュース分析などを執筆します。




居合い



政府・観光庁及び観光業界が外国人観光客の日本への誘致を目指しさまざまな手を打ってきた結果、訪日観光客が増えており、喜ばしい限りです。けれども、日本の観光資源・文化資源は豊富なわりに、有効に活用し切れていないような気がします。




トリップアドバイザーによる 「外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2015」 によると、8位に京都のサムライ剣舞シアターという場所がランクインしています。剣舞の体験などをしつつ、サムライ文化を学ぶことができるのだそうです。





私の個人的な体験でも、東南アジアと中央アジアの若手ジャーナリストを日本に研修のため招聘する外務省のプログラムをお手伝いしたとき、さまざまある日本体験プログラムの中でいちばん深く印象に残ったと言ってくれたのが、居合抜きの道場に連れていき、道着に着替え、剣術のさわりを学び、日本刀の真剣に触ってもらったことでした。



あるいは、知り合いのカナダ人男性をはじめ多くの外国人が忍者に興味を持ち、忍術専門の道場で学んでいるそうです。そのカナダ人は、忍術道場で学んだ、人に気づかれずに近づく「抜き足の術」とか、人を油断させて後ろから首の骨を折る方法とか、そんな不気味な術を、さもすごそうに教えてくれました。




そこから考えると、日本にはもっと大勢の観光客誘致を目指した、剣術や忍術に関する体験型の総合アトラクションテーマパークがあっても良いように思えます。そういうものがあれば、日本文化に関心を持つ世界の人々に爆発的な吸引力を持つと思うのですが、いかがでしょうか。





次に、これも私の知人のオーストラリア人男性が言っていたことですが、白人男性二人で京都に旅行して、どうしても芸者が一目見たくて、街中をうろうろしたのだが、残念ながら会えなかったと言っていました。「そりゃそうです。日中、街中に芸者さんがうろうろしているわけがないでしょう」と言ったのですが、日本の芸者・舞妓は、世界的には日本の魅惑的な文化として大変に有名なのですが、観光客にとって簡単に見られる場所がないということですね。れは観光客にとっては残念な状況です。この辺りも、比較的低価格で、つまり普通のテーマパーク並みの料金で、簡単に見られるテーマパークがあると良いと思うのですが、どうでしょうか。



ついでに、芸者さんだけじゃなく、着物を来た武士や町人が街中をうろうろしているようなテーマパークになると良いですよね。武家の娘とか、町人の娘とか、浪人とか、火消しとかも。自分が外国人だったら、きっとグッとくると思います。すでに日光に「日光江戸村」という江戸時代をモチーフにしたテーマパークがあって、たしかにそのイメージに近いことは近いのですが、剣術も忍術も体験できないし、芸者さん・舞妓さんもいないし、観劇が中心で、なんとなく子供向けのイメージがしてしまうのですが(私の記憶が正しければ)、外国人の皆さんの評価はどうなんでしょうか。少なくとも「観光スポット ランキング」の25位以内には入っていないようですね。


そして、大勢の武士や町人が着物を着てそぞろ歩いているのを目撃した外国人観光客は、必ず自分用にも着物がほしくなります。ですから、お土産として、日本の着物をたんまり購入していっていただきます。



もう一つ驚くべきことに、広島の平和記念資料館(原爆ドーム)が堂々の第2位にランクインしています。こういうことを言うと賛否両論あるかもしれませんが、場所は広島じゃなくてもいいのですが、日本のCG+3D技術を使って、被爆地の惨状を自分がその中に立ってリアルに体験できるようなテーマパークが作れないものでしょうか。記念資料館の展示資料は写真と白黒映像と文字と展示物ですよね。もっとリアルで強烈な印象を与えることができれば、「原爆の悲惨さを日本と世界の人々に伝える」というその精神がさらに生きてくるのではないでしょうか。





仮にですが、「こんなにむごい惨状を強烈に体験させることが良いのか、悪いのか」という議論が世界的に起こったとします。とくに原爆を落としたアメリカからは、アレルギー的な反応が出てくるかもしれません。そうなればそうなったで、「でもこれが、原爆というもののリアルなんですよ」「見ないようにすれば解決するのですか」と反論することもできる。そして、その議論を通じて、世界に原爆の悲惨さを改めて印象づけることができるのではないでしょうか。




あとは当然ですが、日本の美しい風景が数多くランクインしています。第1位が京都の伏見稲荷神社。真っ赤な鳥居がたくさん連なっている、美しいあの風景ですね。外国人観光客はあれが本当に大好きみたいですね。3位が広島の厳島神社。4位が奈良の東大寺。5位が京都の禅林寺 永観堂。これはとくにその美しい日本庭園が魅力ということですね。7位が高野山奥の院。11位が金閣寺。13位が富士山。16位が松本城。17位が横浜みなとみらい21。いずれもユニークで美しい景観が観光客の皆さんを惹きつけるのだと思います。




そこで、これらの美しい日本の風景を、やはり映像・CG技術を駆使して、リアルに見せつける設備がテーマパークにあっても良いような気がします。若干の背景・文化の説明があっても良いでしょう。いわゆる日本観光に出発する前のプレビューみたいなものになるのではないでしょうか。このフレームの中で、日本の四季の景観の美しさも味わってもらいたいものです。仮に日本でのツアー日程が1週間あったところで、日本の四季を味わうことはできませんから。


日本庭園の素晴らしさを堪能したら、自宅の庭に日本庭園が欲しいと思う人もいるはずです。そういう観光客には、「日本庭園セット」を販売しましょう。設計図も付けておき、自身かもしくはその国の庭師でも配置できるようにして。


あと、ランキングのどこにも出てきませんが、個人的に、外国人の皆さんにお勧めしたいのが、日本の「お化け」「妖怪」の世界です。現実の観光地で言えば、青森の恐山。この世のものとも思えないおどろおどろしいその雰囲気は、まるで「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる妖怪の世界です。こうしたものをCG空間のリアリティゲームのように体験していただく。これはそんじょそこいらのお化け屋敷と違って、奥深い日本文化を知ることができるスリリングな場所になりそうです。既存のキャラクターを使用できるように、水木しげるさんとコラボしても良いでしょう。イギリス人のラフカディオ・ハーンがかつて英語で紹介した日本の怪談や不思議な世界も、欧米で広い読者を魅了したといいます。


ディズニーランドの中にも、トゥモローランドとかアドベンチャーランドとか区分があるでしょう。日本を表現したテーマパークにも、「お化けランド」「お化けワールド」があっても良いのではないでしょうか。


そして、なんといっても、日本の魅力は日本食です。このテーマパークには、寿司、刺身、天ぷら、すき焼き、しゃぶしゃぶ、魚料理、懐石料理など、本物かつ選りすぐりの日本食レストランを集めねばなりません。



そして、外国人観光客にはできるだけ多くのお金を日本に落としていっていただく必要がありますので、その隣にはホテルだけでなく、カジノも併設したいものです。「風紀の乱れ、退廃のもととなる」という批判があるのであれば、外国人だけ遊べるようにしても良いのです。ついでにカジノの一部は、丁半博打(ばくち)とか花札にしても良いかもしれません。


総じて言えば、今ある観光資源をどう使いやすくするか、行きやすくするか、という観点も重要なのだとは思いますが、外国人観光客の気持ちをくすぐる、選りすぐりのキラー・コンテンツを集めたテーマパークを建設し、起爆剤にすることができるのではないか、という提案です。


今でも日本には、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、多くの外国人観光客を集めるテーマパークは存在しているのですが、いずれもアメリカ製の受け売りで、「日本」をテーマにしてはいないのです。その内容ならば、日本じゃなくても、ロサンゼルスでもフロリダでも良いわけです。そこが日本のテーマパークの残念なところですよね。



もっと日本人独特の創造力が発揮できないものでしょうか。日本人には、なかなか日本の良さが気付きにくいっていうこともあるんでしょうけど。