日本人はもっと世界で日本食レストランを出店してほしい | MATTのブログ ~ 政治・経済・国際ニュース評論、古代史、言語史など ~

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元新聞記者。 アメリカと日本を中心にニュース分析などを執筆します。


Japanse restaurant




政府は6月17日、日本文化や食を広く海外に発信する「クールジャパン戦略」を決定しました。 民間主導の計画を政府が支援し、日本の食や商品の販売を拡大させ、日本への観光客を増やす狙いで、食の分野では、海外の主要都市で日本食が楽しめる市場を整備。現地で食材の入手や食事ができる環境をつくり、日本食ファンを増やしたい考え。東京には「食の大学院」を創設し、海外での料理店開業を目指す人材を育て、日本食の正しいブランドイメージも世界に広げていきたいということです。





いま米国では、大変な日本食ブームが到来しています。もうどこへ行っても、アメリカ人が「日本食が好き」とか「スシがいい」とか言っています。米国に滞在する中国人や韓国人やアラビア人まで「美味しい」と言っています。日本食レストランもどんどん開店しています。高級日本食レストランも増えています。世界の文化の一つの中心であるニューヨークでそういう具合なのですから、今後、欧州やアジアを含めた世界中で、今後、日本食レストランのさらに大きな市場が勃興していくのではないかと感じられてなりません。





しかも欧米の既存日本食レストランの調理人の多くは中国人で、その味もなんというか、まがい物の日本食だったりします。求められて出ていけるのですから、本当に日本にとっては大チャンスです。もっともっと、日本人が経営・調理する日本食レストランが世界中に出店できないものでしょうか。




それはビジネスとしてチャンスがあるだけでなく、日本人が経営・調理することによって、日本食レストラン自体が日本文化の発信源になるのです。日本の戦略的文化外交(パブリック・ディプロマシー)として、こんなに良い素材はありません。





「世界中どの国へ行っても中国人のいない国はない」と言われます。また同時に「中華料理店のない国もない」とも言われます。アフリカの小さな国にさえ絶対にあるらしい。それらの中華料理店を経営しているのはみな中国人なのです。そうした中国人が世界進出の尖兵と化しているわけです。


ところが、米国ニューヨークの実情は、どうやらアメリカ人は中華料理に飽きてきたらしく、中華料理店が同じ経営者、同じ調理人のまま、どんどん日本食レストランに早変わりしているのです。



また、世界中の人々は、日本人の平均寿命が世界一長いことに大きな関心を寄せています。その理由の一つは、日本人の栄養の摂り方にあります。その意味でも、日本食は世界中の人々に注目されつつあるのです。



ですから、日本政府による世界でレストランを出店する人の研修プログラムは素晴らしいと思います。だからこそ、研修・養成だけで終わらず、戦略的な出店自体の支援までできないものでしょうか。外国で、それまでその国に住んでいない日本人が飲食店を突然開業することは、いろいろな意味で関門があり、むずかしいはずです。そこをクリアできなければ、開店はできないわけです。


もう一つは、アメリカ人に限らず、世界の若者の間で、いまや日本のアニメの人気は不動の地位を築いています。「ワンピース」にしても「NARUTO」にしても「ドラゴンボール」にしても「ドラえもん」にしても「セーラームーン」にしても、いやもっともっと多くのアニメを、いまは本当に世界中の若者のだれもが知っている。

ですから、アニメやゲームを中心とするアキバ的なサブカルチャーグッズ・ショップなども出店できる余地がまだまだあると思います。そういった方向性も、政府が支援できる余地がないでしょうか。





もう一つは、海外の大学で日本語を教える教師をもっと増やし、日本語のクラスを増やせないものでしょうか。そこで日本の政府が支援できることがもっとあるように思えます。アニメをはじめとして日本文化に関心を持つ若い人たちが増えていますので、日本語教育の裾野も、まだまだ広げることができる可能性があるように思えます。日本語を勉強してくれれば、当然、知日派となってくれます。中国も国策で孔子学院という中国語学校を世界各国に設立し、中国文化の普及に力を入れているようです。







さらに、米国のような先進国には、日本のテレビ番組ばかりを放映するチャンネルがケーブルテレビなどに存在していますが、世界を見渡せば、日本のテレビ番組がまだ見られない国々がたくさんあります。ケーブルテレビや衛星放送を使って、日本のテレビ番組を視聴できる国を増やしてもらえないものでしょうか。どんなに小さな国に行っても、日本に関心を持っている人はいるはずです。視聴が有料であったとしても、日本のテレビ放送があるのとないのでは、文化の発信度合いがまったく違ってきます。





3年ほど前、来日した中央アジア各国の若手ジャーナリストに聞いたところ、それらの国々では、中国のCCTV(中央電視台)は見られるが、日本のテレビは見られないのだと言っていました。彼らも本当は日本のことに興味があるのに、情報を得る手段が非常に少ないのです。この辺りも、国策としてなんとか考えてもらえないものかと思います