[追記2あり] 『夢って・・・ みんながひとつの気持ちになれることで叶う気がするんです』
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一番大事な気持ちに
嘘は付かないと決めた
遠回りをしたけど
これが本当の願い
○『願い(2008年)』
作詞 : 中田ヤスタカ
作曲 : 中田ヤスタカ
歌唱 : Perfume
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Perfumeのインタビューが掲載された『音楽と人』 2015年12月号を読んだ感慨が心に深く刻み込まれて・・・・ 心から離れない。
そして、いつかは書きたい・・・ いや、かなり以前から「この内容を避けては通れない・・・・ いつかは書かなければならない」と考えていたエントリーを、このインタビューがキッカケでようやく書くことが出来た。かなり長い内容だが、ぜひともPerfumeのファンの方々にはお付き合い頂ければと思う。
さて、オレにとって重い言葉だったのが、やはりあ~ちゃんが語ったこのことだった。
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「あ~ちゃん : 15周年のアニバーサリーをやることを決めた3年前、このライヴで1回立ち止まって、自分を見つめなおして、人生を考えようとも思っていました。」
「ライター : 考えるって?」
「あ~ちゃん : 私たち、ずっと走り続けてきたから、普通の毎日を過ごして、Perfumeが自分にとって何なのか立ち止まって考えてみたこと、一度もなかったと思うんです。だからそれをやってみよう、って。」
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2015年現在から逆算して3年前となると、2012年に彼女達は15周年のアニバーサリー・イベントを行うことを決め、そこまでは "Perfumeとして走り続けよう" と決めたという事になると思うが、同時に「それを終えたらいったん立ち止まろう・・・」ということも考えていたということだろう。
このことは過去のインタビューでも "Amuseの大里会長と27歳まではPerfumeとして走り続けるということを約束した" といった趣旨のことを彼女達は語っていることもあり、符号が合う。
しかし"Perfumeが人生のすべて" 、"Perfumeのあ~ちゃんは、西脇綾香と一心同体"とまで語っていた彼女が、
「Perfumeが自分にとって何なのか立ち止まって考えてみよう・・・・」
という心境に至るまでどのような経緯があったのか・・・・ やはりそのカギは今現在から3年前の2012年前後のエピソードが関係しているのではないかとオレは考えている。
では2012年にはPerfumeにとって何があったのか・・・・ やはり一番大きい出来事は、徳間ジャパンから Universal Music へのレーベル移籍ということになるだろう。
このレーベル移籍は我々ファンにとっては当時、電撃的なものだった。2月末で徳間ジャパンとの契約が満了し、3月1日からは Universal Music に移籍するとの発表が、なんと2月29日にいきなり発表されたからである(ちなみに首都圏にかなり雪が降った日だった)。
しかも翌日の3月1日は『Perfume 3rd Tour 「JPN」』の名古屋公演・二日目が開催され、オレは参戦予定だったため、その戸惑いと興奮を抱えたまま、名古屋に向かったことを今でも昨日のことのように思い出す。
しかし我々ファンにとっては電撃的なレーベル移籍だったが、今考えるとその予兆は、さまざまなところで窺える。最も象徴的なのは、Perfumeの公式ファンクラブ『P.T.A.』の2011年12月17日にかしゆかが書いたBLOGだ。有料サイトなので直接的な引用は控えるが、
"効率を考えて行動することはいけないことなのか?"
"現実を提示することは、人につまらない気持ちを抱かせることになるのか?"
といったニュアンスの問いかけだった(現『P.T.A.』会員の方は原文をぜひお読み頂ければと思う)。実は前日の12月16日にPerfumeを支える主要ブレーンが集結して、Perfumeの今後の行く末を決める重要な会議があったことも、のっちのBLOGで報告されている。さらに12月16日のMIKIKO氏と関和亮氏のtweetからもそのような状況が伝わり、両氏がその会議に参加していたことも窺えた。
おそらく時系列から考えても、2011年12月16日の "Perfumeを支える主要ブレーンが集まった会議" がレーベル移籍をするかどうかを決断する会議だったことは想像に難くない。
ではなぜPerfumeはレーベル移籍をするという決断に至ったのか。これも昔からのファンの方々はもうお分かりだとは思う。そう、前年2011年に「ポリリズム(2007年)」が映画『カーズ2』の全世界挿入歌となって、Perfumeとして彼女達がアメリカに初上陸し、このエンターテイメントの本場アメリカで、PerfumeのLiveを待ち望み、願う現地ファンの声を生で聞いたことだろうか。
"日本から遠く離れたこのアメリカでも、Perfumeを知っていてくれた人がいた。しかもLiveをやって欲しいと涙を流しながら懇願していた・・・・ "
" アメリカで、いや世界中でPerfumeを観たい人がいるのなら・・・・ 観せてあげたい。いや観てほしい・・・・ "
彼女達はそう考えたのだろう。最近のインタビューで、メンバーの彼女達は、Perfumeの海外での反響や反応はかなり昔から把握していたようで。しかし海外で具体的にはLiveをやろうということまでは考えていなかったようだ。
2010年にPerfumeは自身初となる東京ドーム公演を成功させた後・・・・ メンバーは次の目標と夢を見つけ出すのに苦労していたようだ。しかしstaffレベルでは2010年よりも以前から海外進出を想定した青写真が既にあったようで。そこで今後のPerfumeの目標として海外展開がstaff側から提案された。
その提案の中に "海外展開を視野に入れたレーベル移籍" という選択肢が既にあったようだ。過去の『音楽と人』・2012年5月号のインタビューであ~ちゃんはこのように語っている。
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※レコード会社移籍に関する話の流れから。
「あ~ちゃん : 今はもっと貪欲になって、自分の欲しいものや欲しい環境は自分で作っていかないとな、って思っています。だからもっと自分はちゃんとしないといけないし、そのために移籍という決断もしたので。ただ勇気は必要でしたけど・・・ 決断するのに2年くらいかかりました。話はもっと前に出ていたんですけど、私たちにとって初めてのことなので、なかなか踏み切れなかった。」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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ということは、2010年前後には既に海外進出を視野に入れた展開をstaff側から提案されていたがメンバーの彼女達、特にあ~ちゃんは海外の反響にも実感が無く、半信半疑だったという感じだろうか。そしてむしろ、
"日本国内だってまだまだおぼつかないのに、ましてや海外進出なんて・・・・"
といったようなことでその提案をかわしていたのだろう。そして海外でLiveを行おうと具体的に考え始めたのは、やはり2011年の映画『カーズ2』がキッカケだったそうだ。何にせよ、彼女達は海外進出を模索し始める。
海外でLiveをするといっても、彼女達が取り組んでいることは慈善事業ではなく、エンターテイメント・ビジネスだ。やはり採算を考えなければならない。しかも東京ドーム公演を成功させ、日本国内で優良コンテンツになっていたPerfume。国内で稼動しなくとも海外の活動で、それなりの効果や成果、そして収益が期待できなければ、おいそれと海外で稼動させるわけにはいかないのが、Amuse側としては至極当然の経営判断だろう。
そこで問われたのが徳間ジャパンの海外展開の能力だろうか。もちろんスタジオジブリ関連である程度は海外展開のチャンネルはあるだろうが・・・・ 少し弱い気がオレにはする。徳間ジャパン所属で海外展開を仕掛けても成果を引き出せる可能性はあるが、その一方でそれには一定の時間が掛かることも考えられる。
しかし2011年の彼女達は22~23歳だ。2012年から本格的に海外展開するとして、5年でようやく成果というようなタイムスパンでは遅すぎる。やはり2~3年で急速展開し、それなりの効果と成果が欲しいだろう。そうなると、海外にチャンネルとネットワークを豊富に持った外資系レコード会社のレーベルがベストの選択肢だろうと思う。
そして徳間ジャパンとの契約のリミットが迫り、2012年2月末で満了するとならば・・・・ 2012年春から外資系レコード会社のUniversal Music に移籍し、海外での急速展開が仕掛けられる。この流れは願ったり叶ったりだろう。しかもプライベートレーベルの「Perfume Records」を新たに創設するという高待遇の条件だ。
そこで2011年12月16日に、最終意思決定をするためにPerfumeを支える主要ブレーンが集結する。そこでの多くの意見は、
"海外進出を成功させるなら、Universal Musicへのレーベル移籍が妥当"
という声が多かったことも想像出来るが・・・・・ ただ彼女はその意見が腑に落ちず、抵抗感を示したこともオレは想像に難くない。そう、あ~ちゃんだ。
もしかすると、あ~ちゃんは今後の海外展開が不利になったとしても、これまで世話になってきた徳間ジャパンとの "恩義と情" の方を取ろうとしたかもしれない。しかしやはり彼女達が取り組んでいるのはエンターテイメント・ビジネス。
"恩義と情" だけでは効果や成果を手にすることは出来ない・・・・ このことをあ~ちゃんは、かしゆかに説得された可能性がある。そこで翌日12月17日のかしゆかが書いたBLOGへと繋がるのだろう。実はこのときの心境を、かしゆかは後日にやはり『音楽と人』・2012年5月号のインタビューでこのように語っていた。
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「ライター : そして(世界進出)と同時に、レーベル移籍という選択をしましたね。」
「かしゆか : はい!」
「ライター : さっきの話にも出てきたように、Perfumeがここまで来るには、スタッフの支えは不可欠だったわけで。この別れをどう思っていますか。」
「かしゆか : 私・・・・ すごく冷たい人間なんですね。」
「ライター : ・・・・・・・・・・・・ ん?」
「かしゆか : それがちょっとわかった。情に厚い部分もあるけど、人として考えたら冷酷な部分もすごい持ってた。驚くほどに。でも何のためにPerfumeをやってるかを考えたら、仲間と楽しく過ごすためじゃないんですよ。Perfumeを成長させることが私の生きがいだし、そのために大事にするのは情じゃないんだ、と思って。次に進むためにその選択が必要だったら、もう仕方ない。今の場所に留まっていたら安らげるかもしれないけど、新しいものを求められないんだから。」
「ライター : だから、冷たいな私、と思ったけど、しょうがない、と。」
「かしゆか : 仕事を別にして考えると、売れてない昔から知ってるし、共有した記憶がすごく多い。何も言わなくてもわかってくれるし、みんな大好き。でもそういうことを考えると、後しか見れない。一緒に歩きたいけど、それを選んで同じところにずっといるわけにはいかなかった。だから間違っていないと思います。だって可能性が目の前にあるんだもん ・・・・ 泣いたけどね。」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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結果的には2012年3月のレーベル移籍となるのだが、あ~ちゃんの心境は複雑だったことは想像に難くない。そして今回のインタビュでこのように語っているところが、当時の心模様を表しているような気がする。
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「あ~ちゃん : ここ数年のPerfumeは、やらなきゃいけないこと、やったほうがいいことを選択しなくちゃいけない瞬間がたくさんあったんです。どれも凄いことだったけど、それを自分が心から楽しめているかって問われたら、そうじゃないことも多かった。 < やったほうがいいんだもんね > って自分を納得させていたところもありました。」
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実は当時の心境も、やはり『音楽と人』・2012年5月号のインタビューであ~ちゃんは率直に語っている。
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「ライター : でも今やりたいことが、海外への挑戦なのは間違いなくて。」
「あ~ちゃん : やりたいことと言うより、やるべきことなんだなって思います」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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2010年のPerfume初の東京ドーム公演を終え、Perfumeとしては目標設定が難しい状態に突入し、さらに海外進出とそれを考慮したレーベル移籍は、あ~ちゃんとっては、
「やりたいことと言うより、やるべきことなんだなって思う」
「< やったほうがいいんだもんね > って自分を納得させていた」
ということなのだろう。さらに海外展開を考慮したstaffの入れ替え・・・・ このときの心模様をあ~ちゃんはこのように語っている。
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「ライター : 昔からずーっと一緒にやってきたもんね。」
「あ~ちゃん : 一緒に夢を叶えてきた同志ですよね。だから腕をもぎ取られて、大事なものを置いてきちゃう感覚で、振り切れない思いがたくさんあった。でもこれは、Perfumeの夢を・・・・ Perfumeの夢イコールみんなの夢を叶えるための1つなんだって捉えたら、ウジウジしていてはいけないと思ったんです。 < Dream Fighter > を思い出して、自分のお尻を叩いて(笑)。」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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また海外展開を考慮した新staffの投入や増員が、当時のあ~ちゃんはこのような感じで危機感を覚えていたようだ。
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「あ~ちゃん : テレビに出たり、ライヴの会場が大きくなると、たくさんの人の前でやることになるし、Perfumeが引き受けるビジョンがどんどん大きくなっていって。関わってくれて考えてくれるスタッフさんの数も増えてるから、自分たちの意思で決められないことが多くなってきて。これまでは3人とMIKIKO先生とマネージャーのもっさんとでやってきたチームだったのに、それだけじゃ決められなくなっちゃったり・・・・。 」
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この "海外進出を考えてのレーベル移籍" という経緯がメンバーの間にも微妙に影を落とし、そしてメンバーの目指している方向に食い違いが見え隠れした時期なのかもしれない。実は『音楽と人』のインタビュアーは昔から一貫して金光裕史氏であり、今回のインタビューも金光氏である。彼はこの頃の三人の変化を見逃さず、当時を振り返ってこのように語りかけていたことが興味深い。
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「ライター : でもそんなPerfumeにも、3人が見ている方向がちょっとズレてるな、と思えた時期があったけどね。」
「かしゆか : 悩んでた時期もありましたね(笑)。武道館やって、東京ドームやって、じゃあこれからPerfumeをどうしていこうってなって、規模や大きさじゃないところで何を目標にしていけばいいんだってなった時、みんな一生懸命探してて、もがいていました。」
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この2011~2012年という時期は、Perfumeにとってそういう季節だったのだろう。そして "Perfumeが人生のすべて" 、"Perfumeのあ~ちゃんは、西脇綾香と一心同体" とまで語っていた彼女が、
「3年後にいったん立ち止まろう・・・ Perfumeが自分にとって何なのか立ち止まって考えてみよう・・・・」
そう考えたのが2012年という年だったのだ。
さて11月1日に好評を得ながら閉幕した『Perfume展』。ご覧になられた方々も多いと思うが、その企画の中で "メンバーの部屋" というものがあった。各メンバーが思い出深い私物を持ち寄って、飾り付けをする。それはメンバーの性格やキャラクターが如実に表現されているようでもあった。特に "かしゆかの部屋" と "あ~ちゃんの部屋" は対照的であり、非常に興味深い。
*『Perfume展』・"かしゆかの部屋"(2015年9月18日・パワーわんこの撮影)
*『Perfume展』・"あ~ちゃんの部屋" (2015年9月18日・パワーわんこの撮影)
この二人の部屋を見ると、その性格やキャラクターが伝わってくるようだ。 例えば、かしゆかは自分を表現する方法として、メンバー二人からもらった大切なプレゼントを1つだけ展示する。余計なものは一切置かないという感じだ。
このことから、かしゆかは非常に合理的な思考の持ち主のように思える。かしゆかはゴールが設定されていたら"どうやったら最短距離で確実にゴールできるか?" ということを考える傾向に感じられる。そして目標を達成するために、余分だったり不必要なものは取り除いていくという傾向だろうか。
ということは、例えば実際の部屋の物でも "使わなくなったものは捨てることが出来る" ということでもあるような気がする。
一方、あ~ちゃんは自分を表現する方法として、これまで自分が関わってきた物をふんだんに展示していた。要するに "ここまで西脇綾香を作り上げてきたものは、私に関わってきたものたちすべてだ・・・" と言わんばかりだった。そうなると、あ~ちゃんはやはり過去の思い出や "恩義と情" を重視する性格であることが想像できる。
ということは、あ~ちゃんはゴールが設定されているとしても、 "恩義と情のためなら遠回りしても構わない" という傾向があるように感じられるのだ。
したがって、実際の部屋の物でも、あ~ちゃんはたとえ使わなくなったものであったとしても、これまでの思い出に思いを馳せてしまって・・・・ なかなか捨てられない。結局、部屋に物がどんどん溜まっていくという状態なのではないかと思う。
このことは実はオレの家庭でも垣間見ることが出来る(笑)。嫁さんはかしゆかタイプで、物に執着はなく、したがって使わなくなったものはどんどん捨てられるが、オレはどちらかというとあ~ちゃんタイプで、たとえ使わなくなったとしても今までの経緯や思い出に思いを馳せてなかなか捨てられない・・・・ したがってどんどんコレクションしたり、アーカイブにしたりしてしまうのだ(苦笑)。
どちらにせよ、ビジネスのシーンでは合理的な思考だけでも、恩義と情を重視する考え方でも成立しない。両方のバランスが必要になることは言うまでもないだろう。したがってかしゆかとあ~ちゃんという対照的な二つの個性が存在しているPerfumeは、非常にバランスが良く、そしてある意味 "強さを備えている" と言っても良いと思う。
しかし2012年のレーベル移籍に端を発した、二人の考え方の食い違いは・・・・ お互いにいろいろと思うことはあったのだろうと思う。その当時の二人の間を取り持つパイプ役になっていたのが・・・・ オレはのっちだったのではないのだろうかと考えている。
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「ライター : ちょっとお互いに距離感があった頃もあったけどね。」
「のっち : ありましたねー。やっぱりライヴハウスツアーだとか、武道館とか、東京ドームとか、同じ目標をちゃんと見ている時は強いんですよ。脇目も振らないし、それをやるためにはどうすればいいか、ちゃんとわかるから。」
「のっち : でもくっついたり離れたりいろんな距離感の時期はありましたね。それがあって、今は近い状態に落ち着いている。そこがすごくいいですね。今、愛がピークです」
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メンバーの二人からも、そして山本史朗マネージャーからも "不思議な存在で何を考えているのか未だにわからない" と評されるのっち。
しかしそのような曖昧模糊とした雰囲気は "メンバー間や支えるstaff間などの軋轢を緩衝し、Perfumeに対する求心性をなるべく維持しておきたい" という、彼女なりの計算された身の振舞い方なのかもしれないと感じているのだ。
のっちがいたからこそ・・・・ Perfumeは空中分解しなかった・・・・
このような紆余曲折を経験して・・・・ 3年という月日が経過し、彼女達はまた一段高いステージに歩みを進めたとオレは思う。その要因はこれまでとは違って、彼女達の中での "Perfumeでやりたかったこと、表現したかったこと" がかなり明確になってきていることが大きいのではないかと思う。
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「ライター : じゃああえて聞くけど、自分がPerfumeでやりたかったこと、ってなんだったと思う?」
「かしゆか : うーん、Perfumeって、いろんなテクノロジーと一緒にやってきたじゃなんですか? プロジェクションマッピングとか。今度は何を見せてくれるんだろうって評価もあるだろうし、これからもやっていくとは思う。だけどPerfumeって、そういう部分じゃなくて3人が自然体で喋っている部分とか笑っているとことか、人間味があるグループだと思うんです。なんかそれを、ずっと素直に出したかったんですよね。そういうとこかな」
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『LIVE 3:5:6:9』・日本武道館公演を会場で観たときにオレは、
"『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」(2014年)』より、さらに彼女達は一皮向けた"
と感じた。それは技術的なものやステージング自体のブラッシュアップというよりかは・・・・ 彼女達の内面の変化がステージングに表れて、Perfumeは総合エンターテイメントとして、一皮向けて"次世代のエンターテイメント領域に踏み入れた" という手ごたえがあったのだ。その要因としては、かしゆかが語っているようにテクノロジーとの融合もしっかりと観せつつ、
"3人が自然体なところや人間味が感じられる部分を素直に表現していこう・・・・ "
という内面の滲み出てくるようなステージが驚くほど味わい深いものに変化させ、オレは「こんなLiveをかつて今まで観たことがない」という感覚に陥ったのだろうと思う。そう彼女達は表現者としてさらに高いステージ歩みを進めた。その総決算が『LIVE 3:5:6:9』だったのだろう。
そして彼女達の絆は以前にも増して、より強固になっている。
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「かしゆか : 15年もやっていると、どうしても気持ちが離れたり、個々の目標が出来たりするんだろうけど、今はそうじゃなくて、一緒に居ることが楽しくて」
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「のっち : 今、信じられないくらい楽しいんですよ。ライヴも仕事も、何より3人でいることがどんどん楽しくなってきてて、ちょっと怖いくらいです(笑)。2人への愛がどんどん深まっているし」
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「あ~ちゃん : 前省略・・・・ でもロサンゼルスのステージに立った時、私、次の夢を口にしていたんです。いつの間にか口から出ていた。そんな自分にびっくりしたんですよ。ただですら海外は苦手で、自分を奮い立たせてアメリカに行った私が、あの情景を見たらこんな言葉が出てくるんだ、って・・・・」
「ライター : 驚いた?」
「あ~ちゃん : 驚くより引いた(笑)。そんな事いうのやめときんさい、って」
「ライター : もうひとりのあ~ちゃんが言うんだ(笑)。」
「あ~ちゃん : そう。でもその言葉にメンバー2人は引かなかったんです。逆にその言葉を聞いて、涙流しながら、よしやろう! って決心してくれたんです。スタッフさんも同じようにそうだった。その姿を見て、まだPerfumeに捧げよう、って」
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「あ~ちゃん : 遠回りはしてきたけど・・・・ 『今日のステージはホンマに楽しかった』っていう表情のメンバー二人が側にいて。昔は『楽しかったよね』と言いながら、本当は悔しい思いもしたことがあったから、本当に楽しそうなメンバー二人の表情を見れば、ステージングに課題が残ったとしても、最高な気分になれる。」
「あ~ちゃん : これからもメンバー二人が喜ぶことをやっていきたいと思っています。」
*day8・『LIVE 3:5:6:9』・日本武道館最終日でのMC(9月30日)
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紆余曲折によって絆を深くし、心をひとつにした今の彼女たちに、もう怖いものは何もない・・・・
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「かしゆか : 純粋に3人が心から楽しめることをやっていきたいです。やっぱり本人が楽しいのって、お客さんに伝わるし、それがいちばん大事なんですよね。3人が楽しいと思える、笑顔でいられる空間を作り続けていけたら、って思う。そしてそれをみんなが一緒に楽しいと思ってくれる・・・・ それが夢かな。」
「かしゆか : 夢って、そうやってみんながひとつの気持ちになれることで叶う気がするんです。だからそういう光景を見たら、ひとりじゃないんだなって思えるんですよね。」
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「あ~ちゃん : 会場の大きさとか動員じゃない。海外でやることでも、テレビに出ることでもない。ひとりひとりの心の中で、Perfumeという存在がずっと生き続けていてほしい。そういうことが明確となったので、今のPerfumeは無敵だな、と思います。」
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Perfumeはまだまだ道なき道を切り開き、"みんなの夢" となって心の中を走り続ける・・・・
<○追記・8日pm20:00>
今回のエントリーを書いていて「このエントリーに関連する三人の個性と人柄が垣間見れるインタビューが、たしかこの他にもあったよなぁ・・・・」と考えていたが・・・・ ようやく思い出した。
"メンバー個々の2万字インタビュー" の合計6万字インタビューが掲載された『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号だ。
例えば、かしゆかとあ~ちゃんは対照的な個性であり、Perfumeは、その対照的な二つの個性が存在するから非常にバランスが良く、そしてある意味 "強さを備えている" とオレは考えているのだが、当のかしゆかもそのように考えているようだ(笑顔)。
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※メンバー三人に共通した感性や個性があるのかという問いに対して
「かしゆか : いや、全然違うと思います。あ~ちゃんとは対極にいると思いますね。だからバランスが取れてるっていうのはあると思う。だからおもしろいグループっていうのもあるし。」
「かしゆか : 性格も個性も違って、全然別の感覚を持っている3人が集まって同じものを作って同じ感覚を持ってやってるっていうのはすごい不思議だし、奇跡だと思いますね。」
○『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号より
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また、メンバーの二人や山本史朗マネージャー、そしてファンの間からも "不思議な存在で何を考えているのか未だにわからない" と評されるのっち。
しかしオレは "メンバー間や支えるstaff間などの軋轢を緩衝し、Perfumeに対する求心性をなるべく維持しておきたい" という、彼女なりの計算された身の振舞い方なのかもしれないと考えていたが・・・・ 本人もそのように考えた上での身の振舞い方であることを語っていることが興味深い。
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「ライター : のっちは『自分は考えないから』っていう言うじゃない? で、『かしゆかは考える子だから』って言う。で、あ~ちゃんも当然考える人だよね。のっちは、考えないでいることの大事さも感じてるんじゃないですか、自分の中で。そういう役割を持ってくことの大事さっていうか。」
「のっち : う~ん、そうですね、柔軟でいたいんですね。突然の出来事にすぐ対応したいとか、突然海外行きましょうとか、『ドームやらない?』 ってあ~ちゃんが言った時とかに、ついていきたいし、あんまりこう、頑固になりたくないっていうか。頑固になりたくないっていう気持ちがめっちゃ頑固なんですけど。柔軟でいたいんですね」
「ライター : 柔軟でいるための自分が『考えない』って思う自分だったわけだ。」
「のっち : はい。だと思います」
「ライター : たまたま考えない自分だったから柔軟に振舞えるんではなくて、柔軟に振舞うための自分とはなんなのかっていう。」
「のっち : うん、うん、ですねえ」
○『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号より
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のっちは考えていないんじゃない・・・・・ 柔軟でいるために・・・・ すべてを緩衝するためにそのように振舞っているだけだ(笑顔)。
そしてこののっちの言葉には・・・・ 胸が熱くなった。
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※のっちは「メンバー二人の喜びを自分のことのように共有したいと思っている」という話の流れから
「ライター : それ逆の目から見たりはしないんですか。つまり自分が楽しい時にふたりは楽しんでくれているのかなって。」
「のっち : 前省略・・・・ 『共有して、一緒に喜んでよ』みたいなことは思わないかも。でも喜んでくれたら超嬉しい。でもなんか私が悲しいことがあったら一緒に悲しんでくれるって思ってはいます」
「ライター : それは信じてるって感じなの?」
「のっち : うん。そういう子たちだろうと信じてる」
「ライター : すごいですね、3人はやっぱり。」
○『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号より
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やっぱり・・・・ この三人で良かった。そしてPerfumeのファンになれて・・・・ 本当に良かった(笑顔)。
<○追記2・12日pm19:24>
レーベル移籍直前の当時の状況をアーカイブとして書き残しておこうと思う。
昔からのファンの方々はご存じかもしれないが・・・ 実は前所属レーベルの徳間ジャパンには「Team Perfume部」という部署があったことをご存じだろうか。おそらくPerfumeのプロモーションを重点的に行う組織として創設されたようだ。
しかし・・・ 2012年2月24日に徳間ジャパンの人事異動が公表され、Team Perfume部の部長と副部長が移動。事実上、"Team Perfume部が解体された" ことが判明したのだった。
*徳間ジャパンの組織改正および人事異動(2012年)
この情報を得たとき・・・・ オレはPerfumeのレーベル移籍は間違いないと確信したのだった。このことは当時のこのBLOGのエントリーとして取り上げている。
実はこの情報を知る前にオレは気になっていたことがことが既にあった。これまではPerfumeのワンマンLiveには後援として徳間ジャパンが名を連ねていたが、『Perfume 3rd Tour 「JPN」(2012年)』が公表されたとき、既に徳間ジャパンの名前が後援には入っていなかったからだ。
こういう情報から状況証拠的にはレーベル移籍は間違いなかったが・・・・ さすがにこの5日後に急転直下で移籍が発表されるとは考えていなかった。
当時の状況とその雰囲気を知りたい方々はご参考までに。
音楽と人 2015年 12 月号 [雑誌]/音楽と人
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一番大事な気持ちに
嘘は付かないと決めた
遠回りをしたけど
これが本当の願い
○『願い(2008年)』
作詞 : 中田ヤスタカ
作曲 : 中田ヤスタカ
歌唱 : Perfume
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Perfumeのインタビューが掲載された『音楽と人』 2015年12月号を読んだ感慨が心に深く刻み込まれて・・・・ 心から離れない。
そして、いつかは書きたい・・・ いや、かなり以前から「この内容を避けては通れない・・・・ いつかは書かなければならない」と考えていたエントリーを、このインタビューがキッカケでようやく書くことが出来た。かなり長い内容だが、ぜひともPerfumeのファンの方々にはお付き合い頂ければと思う。
さて、オレにとって重い言葉だったのが、やはりあ~ちゃんが語ったこのことだった。
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「あ~ちゃん : 15周年のアニバーサリーをやることを決めた3年前、このライヴで1回立ち止まって、自分を見つめなおして、人生を考えようとも思っていました。」
「ライター : 考えるって?」
「あ~ちゃん : 私たち、ずっと走り続けてきたから、普通の毎日を過ごして、Perfumeが自分にとって何なのか立ち止まって考えてみたこと、一度もなかったと思うんです。だからそれをやってみよう、って。」
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2015年現在から逆算して3年前となると、2012年に彼女達は15周年のアニバーサリー・イベントを行うことを決め、そこまでは "Perfumeとして走り続けよう" と決めたという事になると思うが、同時に「それを終えたらいったん立ち止まろう・・・」ということも考えていたということだろう。
このことは過去のインタビューでも "Amuseの大里会長と27歳まではPerfumeとして走り続けるということを約束した" といった趣旨のことを彼女達は語っていることもあり、符号が合う。
しかし"Perfumeが人生のすべて" 、"Perfumeのあ~ちゃんは、西脇綾香と一心同体"とまで語っていた彼女が、
「Perfumeが自分にとって何なのか立ち止まって考えてみよう・・・・」
という心境に至るまでどのような経緯があったのか・・・・ やはりそのカギは今現在から3年前の2012年前後のエピソードが関係しているのではないかとオレは考えている。
では2012年にはPerfumeにとって何があったのか・・・・ やはり一番大きい出来事は、徳間ジャパンから Universal Music へのレーベル移籍ということになるだろう。
このレーベル移籍は我々ファンにとっては当時、電撃的なものだった。2月末で徳間ジャパンとの契約が満了し、3月1日からは Universal Music に移籍するとの発表が、なんと2月29日にいきなり発表されたからである(ちなみに首都圏にかなり雪が降った日だった)。
しかも翌日の3月1日は『Perfume 3rd Tour 「JPN」』の名古屋公演・二日目が開催され、オレは参戦予定だったため、その戸惑いと興奮を抱えたまま、名古屋に向かったことを今でも昨日のことのように思い出す。
しかし我々ファンにとっては電撃的なレーベル移籍だったが、今考えるとその予兆は、さまざまなところで窺える。最も象徴的なのは、Perfumeの公式ファンクラブ『P.T.A.』の2011年12月17日にかしゆかが書いたBLOGだ。有料サイトなので直接的な引用は控えるが、
"効率を考えて行動することはいけないことなのか?"
"現実を提示することは、人につまらない気持ちを抱かせることになるのか?"
といったニュアンスの問いかけだった(現『P.T.A.』会員の方は原文をぜひお読み頂ければと思う)。実は前日の12月16日にPerfumeを支える主要ブレーンが集結して、Perfumeの今後の行く末を決める重要な会議があったことも、のっちのBLOGで報告されている。さらに12月16日のMIKIKO氏と関和亮氏のtweetからもそのような状況が伝わり、両氏がその会議に参加していたことも窺えた。
おそらく時系列から考えても、2011年12月16日の "Perfumeを支える主要ブレーンが集まった会議" がレーベル移籍をするかどうかを決断する会議だったことは想像に難くない。
ではなぜPerfumeはレーベル移籍をするという決断に至ったのか。これも昔からのファンの方々はもうお分かりだとは思う。そう、前年2011年に「ポリリズム(2007年)」が映画『カーズ2』の全世界挿入歌となって、Perfumeとして彼女達がアメリカに初上陸し、このエンターテイメントの本場アメリカで、PerfumeのLiveを待ち望み、願う現地ファンの声を生で聞いたことだろうか。
"日本から遠く離れたこのアメリカでも、Perfumeを知っていてくれた人がいた。しかもLiveをやって欲しいと涙を流しながら懇願していた・・・・ "
" アメリカで、いや世界中でPerfumeを観たい人がいるのなら・・・・ 観せてあげたい。いや観てほしい・・・・ "
彼女達はそう考えたのだろう。最近のインタビューで、メンバーの彼女達は、Perfumeの海外での反響や反応はかなり昔から把握していたようで。しかし海外で具体的にはLiveをやろうということまでは考えていなかったようだ。
2010年にPerfumeは自身初となる東京ドーム公演を成功させた後・・・・ メンバーは次の目標と夢を見つけ出すのに苦労していたようだ。しかしstaffレベルでは2010年よりも以前から海外進出を想定した青写真が既にあったようで。そこで今後のPerfumeの目標として海外展開がstaff側から提案された。
その提案の中に "海外展開を視野に入れたレーベル移籍" という選択肢が既にあったようだ。過去の『音楽と人』・2012年5月号のインタビューであ~ちゃんはこのように語っている。
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※レコード会社移籍に関する話の流れから。
「あ~ちゃん : 今はもっと貪欲になって、自分の欲しいものや欲しい環境は自分で作っていかないとな、って思っています。だからもっと自分はちゃんとしないといけないし、そのために移籍という決断もしたので。ただ勇気は必要でしたけど・・・ 決断するのに2年くらいかかりました。話はもっと前に出ていたんですけど、私たちにとって初めてのことなので、なかなか踏み切れなかった。」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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ということは、2010年前後には既に海外進出を視野に入れた展開をstaff側から提案されていたがメンバーの彼女達、特にあ~ちゃんは海外の反響にも実感が無く、半信半疑だったという感じだろうか。そしてむしろ、
"日本国内だってまだまだおぼつかないのに、ましてや海外進出なんて・・・・"
といったようなことでその提案をかわしていたのだろう。そして海外でLiveを行おうと具体的に考え始めたのは、やはり2011年の映画『カーズ2』がキッカケだったそうだ。何にせよ、彼女達は海外進出を模索し始める。
海外でLiveをするといっても、彼女達が取り組んでいることは慈善事業ではなく、エンターテイメント・ビジネスだ。やはり採算を考えなければならない。しかも東京ドーム公演を成功させ、日本国内で優良コンテンツになっていたPerfume。国内で稼動しなくとも海外の活動で、それなりの効果や成果、そして収益が期待できなければ、おいそれと海外で稼動させるわけにはいかないのが、Amuse側としては至極当然の経営判断だろう。
そこで問われたのが徳間ジャパンの海外展開の能力だろうか。もちろんスタジオジブリ関連である程度は海外展開のチャンネルはあるだろうが・・・・ 少し弱い気がオレにはする。徳間ジャパン所属で海外展開を仕掛けても成果を引き出せる可能性はあるが、その一方でそれには一定の時間が掛かることも考えられる。
しかし2011年の彼女達は22~23歳だ。2012年から本格的に海外展開するとして、5年でようやく成果というようなタイムスパンでは遅すぎる。やはり2~3年で急速展開し、それなりの効果と成果が欲しいだろう。そうなると、海外にチャンネルとネットワークを豊富に持った外資系レコード会社のレーベルがベストの選択肢だろうと思う。
そして徳間ジャパンとの契約のリミットが迫り、2012年2月末で満了するとならば・・・・ 2012年春から外資系レコード会社のUniversal Music に移籍し、海外での急速展開が仕掛けられる。この流れは願ったり叶ったりだろう。しかもプライベートレーベルの「Perfume Records」を新たに創設するという高待遇の条件だ。
そこで2011年12月16日に、最終意思決定をするためにPerfumeを支える主要ブレーンが集結する。そこでの多くの意見は、
"海外進出を成功させるなら、Universal Musicへのレーベル移籍が妥当"
という声が多かったことも想像出来るが・・・・・ ただ彼女はその意見が腑に落ちず、抵抗感を示したこともオレは想像に難くない。そう、あ~ちゃんだ。
もしかすると、あ~ちゃんは今後の海外展開が不利になったとしても、これまで世話になってきた徳間ジャパンとの "恩義と情" の方を取ろうとしたかもしれない。しかしやはり彼女達が取り組んでいるのはエンターテイメント・ビジネス。
"恩義と情" だけでは効果や成果を手にすることは出来ない・・・・ このことをあ~ちゃんは、かしゆかに説得された可能性がある。そこで翌日12月17日のかしゆかが書いたBLOGへと繋がるのだろう。実はこのときの心境を、かしゆかは後日にやはり『音楽と人』・2012年5月号のインタビューでこのように語っていた。
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「ライター : そして(世界進出)と同時に、レーベル移籍という選択をしましたね。」
「かしゆか : はい!」
「ライター : さっきの話にも出てきたように、Perfumeがここまで来るには、スタッフの支えは不可欠だったわけで。この別れをどう思っていますか。」
「かしゆか : 私・・・・ すごく冷たい人間なんですね。」
「ライター : ・・・・・・・・・・・・ ん?」
「かしゆか : それがちょっとわかった。情に厚い部分もあるけど、人として考えたら冷酷な部分もすごい持ってた。驚くほどに。でも何のためにPerfumeをやってるかを考えたら、仲間と楽しく過ごすためじゃないんですよ。Perfumeを成長させることが私の生きがいだし、そのために大事にするのは情じゃないんだ、と思って。次に進むためにその選択が必要だったら、もう仕方ない。今の場所に留まっていたら安らげるかもしれないけど、新しいものを求められないんだから。」
「ライター : だから、冷たいな私、と思ったけど、しょうがない、と。」
「かしゆか : 仕事を別にして考えると、売れてない昔から知ってるし、共有した記憶がすごく多い。何も言わなくてもわかってくれるし、みんな大好き。でもそういうことを考えると、後しか見れない。一緒に歩きたいけど、それを選んで同じところにずっといるわけにはいかなかった。だから間違っていないと思います。だって可能性が目の前にあるんだもん ・・・・ 泣いたけどね。」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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結果的には2012年3月のレーベル移籍となるのだが、あ~ちゃんの心境は複雑だったことは想像に難くない。そして今回のインタビュでこのように語っているところが、当時の心模様を表しているような気がする。
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「あ~ちゃん : ここ数年のPerfumeは、やらなきゃいけないこと、やったほうがいいことを選択しなくちゃいけない瞬間がたくさんあったんです。どれも凄いことだったけど、それを自分が心から楽しめているかって問われたら、そうじゃないことも多かった。 < やったほうがいいんだもんね > って自分を納得させていたところもありました。」
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実は当時の心境も、やはり『音楽と人』・2012年5月号のインタビューであ~ちゃんは率直に語っている。
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「ライター : でも今やりたいことが、海外への挑戦なのは間違いなくて。」
「あ~ちゃん : やりたいことと言うより、やるべきことなんだなって思います」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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2010年のPerfume初の東京ドーム公演を終え、Perfumeとしては目標設定が難しい状態に突入し、さらに海外進出とそれを考慮したレーベル移籍は、あ~ちゃんとっては、
「やりたいことと言うより、やるべきことなんだなって思う」
「< やったほうがいいんだもんね > って自分を納得させていた」
ということなのだろう。さらに海外展開を考慮したstaffの入れ替え・・・・ このときの心模様をあ~ちゃんはこのように語っている。
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「ライター : 昔からずーっと一緒にやってきたもんね。」
「あ~ちゃん : 一緒に夢を叶えてきた同志ですよね。だから腕をもぎ取られて、大事なものを置いてきちゃう感覚で、振り切れない思いがたくさんあった。でもこれは、Perfumeの夢を・・・・ Perfumeの夢イコールみんなの夢を叶えるための1つなんだって捉えたら、ウジウジしていてはいけないと思ったんです。 < Dream Fighter > を思い出して、自分のお尻を叩いて(笑)。」
○『音楽と人』・2012年5月号より
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また海外展開を考慮した新staffの投入や増員が、当時のあ~ちゃんはこのような感じで危機感を覚えていたようだ。
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「あ~ちゃん : テレビに出たり、ライヴの会場が大きくなると、たくさんの人の前でやることになるし、Perfumeが引き受けるビジョンがどんどん大きくなっていって。関わってくれて考えてくれるスタッフさんの数も増えてるから、自分たちの意思で決められないことが多くなってきて。これまでは3人とMIKIKO先生とマネージャーのもっさんとでやってきたチームだったのに、それだけじゃ決められなくなっちゃったり・・・・。 」
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この "海外進出を考えてのレーベル移籍" という経緯がメンバーの間にも微妙に影を落とし、そしてメンバーの目指している方向に食い違いが見え隠れした時期なのかもしれない。実は『音楽と人』のインタビュアーは昔から一貫して金光裕史氏であり、今回のインタビューも金光氏である。彼はこの頃の三人の変化を見逃さず、当時を振り返ってこのように語りかけていたことが興味深い。
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「ライター : でもそんなPerfumeにも、3人が見ている方向がちょっとズレてるな、と思えた時期があったけどね。」
「かしゆか : 悩んでた時期もありましたね(笑)。武道館やって、東京ドームやって、じゃあこれからPerfumeをどうしていこうってなって、規模や大きさじゃないところで何を目標にしていけばいいんだってなった時、みんな一生懸命探してて、もがいていました。」
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この2011~2012年という時期は、Perfumeにとってそういう季節だったのだろう。そして "Perfumeが人生のすべて" 、"Perfumeのあ~ちゃんは、西脇綾香と一心同体" とまで語っていた彼女が、
「3年後にいったん立ち止まろう・・・ Perfumeが自分にとって何なのか立ち止まって考えてみよう・・・・」
そう考えたのが2012年という年だったのだ。
さて11月1日に好評を得ながら閉幕した『Perfume展』。ご覧になられた方々も多いと思うが、その企画の中で "メンバーの部屋" というものがあった。各メンバーが思い出深い私物を持ち寄って、飾り付けをする。それはメンバーの性格やキャラクターが如実に表現されているようでもあった。特に "かしゆかの部屋" と "あ~ちゃんの部屋" は対照的であり、非常に興味深い。
*『Perfume展』・"かしゆかの部屋"(2015年9月18日・パワーわんこの撮影)
*『Perfume展』・"あ~ちゃんの部屋" (2015年9月18日・パワーわんこの撮影)
この二人の部屋を見ると、その性格やキャラクターが伝わってくるようだ。 例えば、かしゆかは自分を表現する方法として、メンバー二人からもらった大切なプレゼントを1つだけ展示する。余計なものは一切置かないという感じだ。
このことから、かしゆかは非常に合理的な思考の持ち主のように思える。かしゆかはゴールが設定されていたら"どうやったら最短距離で確実にゴールできるか?" ということを考える傾向に感じられる。そして目標を達成するために、余分だったり不必要なものは取り除いていくという傾向だろうか。
ということは、例えば実際の部屋の物でも "使わなくなったものは捨てることが出来る" ということでもあるような気がする。
一方、あ~ちゃんは自分を表現する方法として、これまで自分が関わってきた物をふんだんに展示していた。要するに "ここまで西脇綾香を作り上げてきたものは、私に関わってきたものたちすべてだ・・・" と言わんばかりだった。そうなると、あ~ちゃんはやはり過去の思い出や "恩義と情" を重視する性格であることが想像できる。
ということは、あ~ちゃんはゴールが設定されているとしても、 "恩義と情のためなら遠回りしても構わない" という傾向があるように感じられるのだ。
したがって、実際の部屋の物でも、あ~ちゃんはたとえ使わなくなったものであったとしても、これまでの思い出に思いを馳せてしまって・・・・ なかなか捨てられない。結局、部屋に物がどんどん溜まっていくという状態なのではないかと思う。
このことは実はオレの家庭でも垣間見ることが出来る(笑)。嫁さんはかしゆかタイプで、物に執着はなく、したがって使わなくなったものはどんどん捨てられるが、オレはどちらかというとあ~ちゃんタイプで、たとえ使わなくなったとしても今までの経緯や思い出に思いを馳せてなかなか捨てられない・・・・ したがってどんどんコレクションしたり、アーカイブにしたりしてしまうのだ(苦笑)。
どちらにせよ、ビジネスのシーンでは合理的な思考だけでも、恩義と情を重視する考え方でも成立しない。両方のバランスが必要になることは言うまでもないだろう。したがってかしゆかとあ~ちゃんという対照的な二つの個性が存在しているPerfumeは、非常にバランスが良く、そしてある意味 "強さを備えている" と言っても良いと思う。
しかし2012年のレーベル移籍に端を発した、二人の考え方の食い違いは・・・・ お互いにいろいろと思うことはあったのだろうと思う。その当時の二人の間を取り持つパイプ役になっていたのが・・・・ オレはのっちだったのではないのだろうかと考えている。
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「ライター : ちょっとお互いに距離感があった頃もあったけどね。」
「のっち : ありましたねー。やっぱりライヴハウスツアーだとか、武道館とか、東京ドームとか、同じ目標をちゃんと見ている時は強いんですよ。脇目も振らないし、それをやるためにはどうすればいいか、ちゃんとわかるから。」
「のっち : でもくっついたり離れたりいろんな距離感の時期はありましたね。それがあって、今は近い状態に落ち着いている。そこがすごくいいですね。今、愛がピークです」
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メンバーの二人からも、そして山本史朗マネージャーからも "不思議な存在で何を考えているのか未だにわからない" と評されるのっち。
しかしそのような曖昧模糊とした雰囲気は "メンバー間や支えるstaff間などの軋轢を緩衝し、Perfumeに対する求心性をなるべく維持しておきたい" という、彼女なりの計算された身の振舞い方なのかもしれないと感じているのだ。
のっちがいたからこそ・・・・ Perfumeは空中分解しなかった・・・・
このような紆余曲折を経験して・・・・ 3年という月日が経過し、彼女達はまた一段高いステージに歩みを進めたとオレは思う。その要因はこれまでとは違って、彼女達の中での "Perfumeでやりたかったこと、表現したかったこと" がかなり明確になってきていることが大きいのではないかと思う。
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「ライター : じゃああえて聞くけど、自分がPerfumeでやりたかったこと、ってなんだったと思う?」
「かしゆか : うーん、Perfumeって、いろんなテクノロジーと一緒にやってきたじゃなんですか? プロジェクションマッピングとか。今度は何を見せてくれるんだろうって評価もあるだろうし、これからもやっていくとは思う。だけどPerfumeって、そういう部分じゃなくて3人が自然体で喋っている部分とか笑っているとことか、人間味があるグループだと思うんです。なんかそれを、ずっと素直に出したかったんですよね。そういうとこかな」
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『LIVE 3:5:6:9』・日本武道館公演を会場で観たときにオレは、
"『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」(2014年)』より、さらに彼女達は一皮向けた"
と感じた。それは技術的なものやステージング自体のブラッシュアップというよりかは・・・・ 彼女達の内面の変化がステージングに表れて、Perfumeは総合エンターテイメントとして、一皮向けて"次世代のエンターテイメント領域に踏み入れた" という手ごたえがあったのだ。その要因としては、かしゆかが語っているようにテクノロジーとの融合もしっかりと観せつつ、
"3人が自然体なところや人間味が感じられる部分を素直に表現していこう・・・・ "
という内面の滲み出てくるようなステージが驚くほど味わい深いものに変化させ、オレは「こんなLiveをかつて今まで観たことがない」という感覚に陥ったのだろうと思う。そう彼女達は表現者としてさらに高いステージ歩みを進めた。その総決算が『LIVE 3:5:6:9』だったのだろう。
そして彼女達の絆は以前にも増して、より強固になっている。
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「かしゆか : 15年もやっていると、どうしても気持ちが離れたり、個々の目標が出来たりするんだろうけど、今はそうじゃなくて、一緒に居ることが楽しくて」
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「のっち : 今、信じられないくらい楽しいんですよ。ライヴも仕事も、何より3人でいることがどんどん楽しくなってきてて、ちょっと怖いくらいです(笑)。2人への愛がどんどん深まっているし」
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「あ~ちゃん : 前省略・・・・ でもロサンゼルスのステージに立った時、私、次の夢を口にしていたんです。いつの間にか口から出ていた。そんな自分にびっくりしたんですよ。ただですら海外は苦手で、自分を奮い立たせてアメリカに行った私が、あの情景を見たらこんな言葉が出てくるんだ、って・・・・」
「ライター : 驚いた?」
「あ~ちゃん : 驚くより引いた(笑)。そんな事いうのやめときんさい、って」
「ライター : もうひとりのあ~ちゃんが言うんだ(笑)。」
「あ~ちゃん : そう。でもその言葉にメンバー2人は引かなかったんです。逆にその言葉を聞いて、涙流しながら、よしやろう! って決心してくれたんです。スタッフさんも同じようにそうだった。その姿を見て、まだPerfumeに捧げよう、って」
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「あ~ちゃん : 遠回りはしてきたけど・・・・ 『今日のステージはホンマに楽しかった』っていう表情のメンバー二人が側にいて。昔は『楽しかったよね』と言いながら、本当は悔しい思いもしたことがあったから、本当に楽しそうなメンバー二人の表情を見れば、ステージングに課題が残ったとしても、最高な気分になれる。」
「あ~ちゃん : これからもメンバー二人が喜ぶことをやっていきたいと思っています。」
*day8・『LIVE 3:5:6:9』・日本武道館最終日でのMC(9月30日)
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紆余曲折によって絆を深くし、心をひとつにした今の彼女たちに、もう怖いものは何もない・・・・
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「かしゆか : 純粋に3人が心から楽しめることをやっていきたいです。やっぱり本人が楽しいのって、お客さんに伝わるし、それがいちばん大事なんですよね。3人が楽しいと思える、笑顔でいられる空間を作り続けていけたら、って思う。そしてそれをみんなが一緒に楽しいと思ってくれる・・・・ それが夢かな。」
「かしゆか : 夢って、そうやってみんながひとつの気持ちになれることで叶う気がするんです。だからそういう光景を見たら、ひとりじゃないんだなって思えるんですよね。」
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「あ~ちゃん : 会場の大きさとか動員じゃない。海外でやることでも、テレビに出ることでもない。ひとりひとりの心の中で、Perfumeという存在がずっと生き続けていてほしい。そういうことが明確となったので、今のPerfumeは無敵だな、と思います。」
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Perfumeはまだまだ道なき道を切り開き、"みんなの夢" となって心の中を走り続ける・・・・
<○追記・8日pm20:00>
今回のエントリーを書いていて「このエントリーに関連する三人の個性と人柄が垣間見れるインタビューが、たしかこの他にもあったよなぁ・・・・」と考えていたが・・・・ ようやく思い出した。
"メンバー個々の2万字インタビュー" の合計6万字インタビューが掲載された『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号だ。
例えば、かしゆかとあ~ちゃんは対照的な個性であり、Perfumeは、その対照的な二つの個性が存在するから非常にバランスが良く、そしてある意味 "強さを備えている" とオレは考えているのだが、当のかしゆかもそのように考えているようだ(笑顔)。
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※メンバー三人に共通した感性や個性があるのかという問いに対して
「かしゆか : いや、全然違うと思います。あ~ちゃんとは対極にいると思いますね。だからバランスが取れてるっていうのはあると思う。だからおもしろいグループっていうのもあるし。」
「かしゆか : 性格も個性も違って、全然別の感覚を持っている3人が集まって同じものを作って同じ感覚を持ってやってるっていうのはすごい不思議だし、奇跡だと思いますね。」
○『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号より
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また、メンバーの二人や山本史朗マネージャー、そしてファンの間からも "不思議な存在で何を考えているのか未だにわからない" と評されるのっち。
しかしオレは "メンバー間や支えるstaff間などの軋轢を緩衝し、Perfumeに対する求心性をなるべく維持しておきたい" という、彼女なりの計算された身の振舞い方なのかもしれないと考えていたが・・・・ 本人もそのように考えた上での身の振舞い方であることを語っていることが興味深い。
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「ライター : のっちは『自分は考えないから』っていう言うじゃない? で、『かしゆかは考える子だから』って言う。で、あ~ちゃんも当然考える人だよね。のっちは、考えないでいることの大事さも感じてるんじゃないですか、自分の中で。そういう役割を持ってくことの大事さっていうか。」
「のっち : う~ん、そうですね、柔軟でいたいんですね。突然の出来事にすぐ対応したいとか、突然海外行きましょうとか、『ドームやらない?』 ってあ~ちゃんが言った時とかに、ついていきたいし、あんまりこう、頑固になりたくないっていうか。頑固になりたくないっていう気持ちがめっちゃ頑固なんですけど。柔軟でいたいんですね」
「ライター : 柔軟でいるための自分が『考えない』って思う自分だったわけだ。」
「のっち : はい。だと思います」
「ライター : たまたま考えない自分だったから柔軟に振舞えるんではなくて、柔軟に振舞うための自分とはなんなのかっていう。」
「のっち : うん、うん、ですねえ」
○『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号より
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のっちは考えていないんじゃない・・・・・ 柔軟でいるために・・・・ すべてを緩衝するためにそのように振舞っているだけだ(笑顔)。
そしてこののっちの言葉には・・・・ 胸が熱くなった。
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※のっちは「メンバー二人の喜びを自分のことのように共有したいと思っている」という話の流れから
「ライター : それ逆の目から見たりはしないんですか。つまり自分が楽しい時にふたりは楽しんでくれているのかなって。」
「のっち : 前省略・・・・ 『共有して、一緒に喜んでよ』みたいなことは思わないかも。でも喜んでくれたら超嬉しい。でもなんか私が悲しいことがあったら一緒に悲しんでくれるって思ってはいます」
「ライター : それは信じてるって感じなの?」
「のっち : うん。そういう子たちだろうと信じてる」
「ライター : すごいですね、3人はやっぱり。」
○『ROCKIN'ON JAPAN』・2013年11月号より
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やっぱり・・・・ この三人で良かった。そしてPerfumeのファンになれて・・・・ 本当に良かった(笑顔)。
<○追記2・12日pm19:24>
レーベル移籍直前の当時の状況をアーカイブとして書き残しておこうと思う。
昔からのファンの方々はご存じかもしれないが・・・ 実は前所属レーベルの徳間ジャパンには「Team Perfume部」という部署があったことをご存じだろうか。おそらくPerfumeのプロモーションを重点的に行う組織として創設されたようだ。
しかし・・・ 2012年2月24日に徳間ジャパンの人事異動が公表され、Team Perfume部の部長と副部長が移動。事実上、"Team Perfume部が解体された" ことが判明したのだった。
*徳間ジャパンの組織改正および人事異動(2012年)
この情報を得たとき・・・・ オレはPerfumeのレーベル移籍は間違いないと確信したのだった。このことは当時のこのBLOGのエントリーとして取り上げている。
実はこの情報を知る前にオレは気になっていたことがことが既にあった。これまではPerfumeのワンマンLiveには後援として徳間ジャパンが名を連ねていたが、『Perfume 3rd Tour 「JPN」(2012年)』が公表されたとき、既に徳間ジャパンの名前が後援には入っていなかったからだ。
こういう情報から状況証拠的にはレーベル移籍は間違いなかったが・・・・ さすがにこの5日後に急転直下で移籍が発表されるとは考えていなかった。
当時の状況とその雰囲気を知りたい方々はご参考までに。
音楽と人 2015年 12 月号 [雑誌]/音楽と人
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音楽と人 2012年 05月号 [雑誌]/音楽と人
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